教員を目指す方にとって、教育実習がひとつのステップであることはよく知られています。それに加えて近年では、「学校インターンシップ」というプログラムが教育系の大学を中心に広がっているのをご存じですか?
学校インターンシップは、学校サポート活動や学校ボランティアなど名称はそれぞれですが、学校という職場を体験して子どもと直接ふれあう機会を得ることができます。教育実習よりも前のタイミングに行われることが多いので、教員志望の方にとっては早い段階で学校現場を体験できる機会になるでしょう。
この記事では、教員を目指している方向けに、学校インターンシップの内容や、参加するメリットについて、教育実習との違いも踏まえて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
まず、「インターンシップ」とは何でしょうか。インターンシップは一言で表すと「就労体験」です。実施期間は短期と長期があり、短期は1日~2週間ほどが一般的。
長期は3カ月~1年にわたり週2,3日、定期的に参加するなどのように行われます。
インターンシップに参加する一番のメリットは、実際に会社という空間や社会人とのコミュニケーションを体感できる点です。他にも下記のような点がメリットとして挙げられます。
特に1、2年生の早い段階からインターンシップに参加すれば、今後の学生生活を送る上での目標ができたり、学びたいことの方向性を見つけることができたりと非常に有益なものになるでしょう。
学校インターンシップとは、主に教員志望の学生が一定の期間、実際に小中学校・高校の教育現場に参加することができる就労体験のことです。大学によっては教員志望ではない学生も参加することができます。
学校インターンシップの目的は「学校という職場を体験する」「先生の仕事を知る」ことが主なので、教育実習のように直接授業を担当することはありません。学校で行われる子どもたちの日常生活や行事などに、先生のサポートをしながら参加し、学校という職場について理解を深めていく機会になります。
学校インターンシップに参加することで、教員志望の意欲が強くなったり、逆に想像していた教育現場とのギャップを感じて志望を見直したり、学校現場を体感することで自分自身の進路や適性について考えるきっかけになるでしょう。
また学校インターンシップは、学校によって単位認定される場合もありますが、そうではなく完全にボランティアになる場合があることを留意しておく必要があります。教育系の大学をはじめとして、学校インターンシップ制度を教職課程と切り分けて単位認定する取り組みが進められているところです。
教育実習とは、教職課程を履修している学生が4年次に取り組む必修課程です。中学校課程は3週間以上、高等学校課程は2週間以上、中学校・高等学校の両方を取得するには3週間以上の教育実習を行い、必要な単位の取得をしなければなりません。
教育実習では、専任の先生の指導のもと教育指導案を作成したり実際に授業を行ったりして、教員になるための実践を積みます。教育実習の最後には、実習の集大成として多くの先生の前で研究授業を行います。
学校インターンシップは、学校現場の体験や教員という職業についての理解という点が目的ですが、教育実習は教員になるための実践的な技術を身に着けることが目的です。
学校インターンシップに参加することの一番のメリットは、早い段階から実際に学校現場を体験できることです。 学校インターンシップを通して得られることを次に挙げてみます。
また学校インターンシップの経験は、教員としてどのように働くかという方向性を考えるきっかけにもなります。教員志望の学生なら、教育実習を見据えて自分には何が必要か把握できたり、理想の教員像がより具体的に考えられるようになったり、現場を知ることで何かしら得るものがあるはずです。
あえてデメリットを挙げるとすれば、一般的なインターンシップも同様ですが、部活動やサークル活動、アルバイトなどのスケジュール調整が難しくなる場合があることです。
学校インターンシップに興味を持ったら、ぜひ参加することをおすすめします。まだ本格的に教員を志望しているわけではないという方は、短期のインターンシップを選んで、学校現場の雰囲気を見るところから始めるとよいでしょう。
すでに教員になることを志望している方なら、長期のインターンシップに参加して教育実習やその先を見据えて活動すれば、有益な体験になるはずです。
学校インターンシップへ参加するには、まず所属大学のホームページで情報を探してみましょう。募集概要が掲載されていれば、参加資格やインターンシップの時期、申込期限などを確認して申込を行います。
参加資格は大学によって、教職課程の登録者のみとする場合と、教職課程の登録は問わない場合とありますので、よく確認しましょう。
民間企業が運営しているインターンシップ情報サイトにも掲載されることがあります。また教育業界に特化した人材会社の場合は学校インターンシップの情報も扱っている場合があります。
民間企業のインターンシップには、余力があれば参加すると、自分自身の視野を広げるチャンスになります。教員志望の方も教員として働くようになってからは、なかなか一般企業の職場を体験できる機会はありません。
一見自分のキャリアに関係が無いようでも経験したことは必ず生かすことができます。例えば学生に、「会社ってどんなことをしているのか?」や、「一般企業のインターンに行ってみたいがどうか?」など聞かれることがあるかもしれません。
実際に一般企業を見たことがない状態で答えるよりは、ずっと具体的で現実的な回答ができるでしょう。
インターンシップという形で在学中にさまざまな仕事を経験できるのは、限られたチャンスです。社会人になれば、一般企業の社員や教員など職業問わず、他の職場を体験することはほぼできません。就職し転職する際にも、選考前の段階で職場を見学することはほぼありません。
学生時代に仕事を体験する機会を得て、視野を広げ自分自身の興味関心や適性を探ることは非常に貴重な経験です。
また、在学中にインターンシップに参加すると、多くの社会人とコミュニケーションを取ることになります。歳が離れた目上の人と話しをすることに慣れて、社会人のマナーや言葉使いなどが身に付くため、就職活動をする際や教員採用試験の面接を受ける際にもプラスになるでしょう。
インターンシップに参加すると、たとえ短期であっても自分自身がその仕事や職場の好きな部分がなんとなく分かってくるはずです。もしかすると想像していたものと違っていて、残念に感じることもあるかもしれません。
そのような経験を踏まえた上で、なぜ自分がその職業につきたいのか、その職場で働きたいのかを掘り下げていくと志望動機が深まります。志望動機を考える際に業界研究や自己分析はもちろん大切ですが、インターンシップで実際に経験したことは、より志望動機に具体性を持たせてくれるでしょう。
教員という仕事に少しでも興味があるなら、1,2年生の早いうちから学校インターンシップに参加すると多くのメリットがあります。学校インターンシップに参加することで、教員になりたい気持ちがより強くなる場合もありますし、またその逆もあるかもしれません。
教員になるためにこれから何を学んでいけばよいか、はっきりと目標を持つきっかけにもなるでしょう。
「百聞は一見に如かず」とよく言われますが、学校インターンシップは、学問だけでは分からないことを多く学べる機会であるため、積極的に参加することをおすすめします。
教員人材センター編集部
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