2026年度(令和8年度)採用の教員採用試験、今年の夏に行われた試験の最終結果が公表されました 。 今回は、近畿、中国・四国、九州沖縄地方の28自治体のデータをもとに、西日本エリアの採用状況についてお伝えします。
1. 全体の傾向:倍率は低い水準で推移
西日本全体の傾向としては、引き続き低い倍率水準となっています 。
特に小学校に関しては、今回対象とした28自治体のうち、半数以上の自治体で倍率が2.0倍を下回りました 。これは、受験者側にとって有利な「売り手市場」が続いていることを示しています 。
エリア別:関西エリアの状況
関西エリアでは、自治体によって動きに違いが見られました 。
- 大阪府
全体の最終倍率は2.8倍となり、前年度の3.8倍から1.0ポイント低下しました 。これは採用予定者数を増やしたことが主な要因です。志願者数は前年より増加しましたが、実際の受験者数は減少しており、出願後に受験を見送るケースが増えているようです。
- 神戸市
全体の実質倍率は3.5倍と、比較的高い水準を維持しています。都市部での勤務を希望する受験者の受け皿になっている可能性があります。
- 大阪市
小学校の倍率は1.5倍でした。採用者数を増やした一方で、志願者数・受験者数が減少したことが影響しています。
このように、同じ関西エリアであっても、自治体ごとの採用計画によって状況は異なります。
2. データで見る自治体の動向
西日本エリアにおける小学校の採用倍率と、受験者数の変化について見ていきます。
小学校の採用倍率(低い順)
小学校の倍率が低い自治体は以下の通りです。佐賀県をはじめ、九州エリアでの倍率低下が見られます。
| 順位 | 自治体 | 採用倍率 | 前年度比 |
| 1 | 佐賀県 | 1.1倍 | -0.1 |
| 2 | 長崎県 | 1.2倍 | -0.1 |
| 3 | 宮崎県 | 1.2倍 | ±0 |
| 4 | 福岡県 | 1.3倍 | ±0 |
| 5 | 鹿児島県 | 1.3倍 | +0.1 |
倍率が1.1〜1.2倍という状況は、現場の負担増や代替講師不足など、学校運営への影響も懸念される数値と言えます。
受験者数の増加率
一方で、受験者数が増加した自治体もあります。
| 順位 | 自治体名 | 受験者数 | 増加率 |
| 1 | 大分県 | 1,054人 | +22.4% |
| 2 | 島根県 | 1,066人 | +11.1% |
| 3 | 長崎県 | 975人 | +9.4% |
大分県や島根県では、大阪、福岡、東京などに学外受験会場を設けたことが、受験者数の増加に寄与したと考えられます。
まとめ
データを見ると、これから教員を目指す方にとっては、以前よりも挑戦しやすい環境になっていると言えます 21。社会人経験者や特定のスキルを持つ方に向けた選考も増えています 22。
ただし、倍率の数値だけで判断するのではなく、教員という仕事の実際を理解した上で志望することが、採用後のミスマッチを防ぐためにも大切です 23。


