
私立学校の応募書類における自己PRの書き方・考え方について、3つの重要なポイントを解説します。採用担当者の心に響く、効果的な自己PRを作成するためのヒントが満載です。
1. 自己PRの目的を理解する:採用担当は何を見ているのか?
自己PRを作成するにあたって、まず重要なのはその目的を正しく理解することです。採用担当者は、単にあなたの華々しい経歴を知りたいのではなく、あなたが仕事をする上でどのような思考や行動様式を発揮するのかを知りたいと考えています。
特に注目しているのは、過去の経験、特にトラブルや困難、挫折をどのように乗り越えてきたかというプロセスです。どのように考え、どのように行動したのかを知ることで、「この人を採用した場合、困難に直面した時に適切に対応してくれるだろう」という判断材料とするのです。逆に、そういった対応力が見えてこないと、採用を見送る可能性もあります。
つまり、採用担当者は自己PRを通して、あなたの問題解決能力や対応力を見極めようとしているのです。この点を理解しているかどうかで、自己PRの内容は大きく変わってきます。派手な成果や実績は必ずしも重要ではなく、むしろ困難にどう向き合ってきたのかというプロセスが重要なのです。
2. 教員としての視点を反映する:経験を教員職にどう生かすか?
自己PRの題材を選ぶ際には、教員としてふさわしいトピックを選ぶことが重要です。一般企業への就職活動でよくある「学生時代に力を入れたこと」をそのまま使うのではなく、それを教員として働き始めた時にどのように生かすのかという視点で考える必要があります。明確な意図を持ってテーマを選び、自己PRを組み立てていきましょう。
私立学校の採用担当者から伺った意見をもとに、自己PRに取り上げやすいトピックを以下にまとめました。
- 集団をマネジメントした経験: 部活動やサークル活動でのリーダー経験は、学級担任や部活動指導に生かせる経験として高く評価されます。具体的な取り組みや役割、成果を示すことで、マネジメント能力を効果的にアピールできます。
- 専門的な研究や資格取得、留学経験: 専門知識やスキルは、担当教科に対する専門性の高さを示す重要な要素です。英語教員志望であればTOEICや英検などの資格、特定の教科に関する深い知識は、授業の質を高めることにつながることをアピールしましょう。
- アルバイト経験: 特に塾講師や家庭教師の経験は、教えることの準備段階として評価されます。「集団指導でどのように教えたか」「個別指導でどのように生徒に寄り添ったか」といった具体的なエピソードは非常に効果的です。
- ボランティア経験: 新入生支援や海外ボランティアなどは、生徒指導や学校運営における広い視野や人間性をアピールするのに役立ちます。特に、地理や社会科など特定の教科と関連するボランティア経験は、専門性のアピールにもつながります。公立学校での学習支援ボランティア経験は、生徒理解や教育活動の流れに関する知見を示す良い機会となります。
これらのトピックを参考に、教員としての適性や実績を具体的に伝えることで、自己PRの説得力は格段に向上します。
3. 自己PRは具体的にする:「○○力」に頼らない表現を
自己PRを作成する上で、最も重要なポイントの一つは「具体性」です。抽象的な表現は避け、具体的なエピソードに基づいて記述するように心がけましょう。
よくある問題点:抽象的な表現「○○力」の使用
例:
「私の強みは傾聴力です。私はアルバイトで集団塾の講師を3年間務めてきました。主に中学生の社会科を指導しており、授業では生徒の話をよく聞きながら、生徒にとって身近な事例を挙げて分かりやすく説明するよう心がけています。また、授業後には生徒が積極的に質問に来てくれるため、雑談を交えつつ、1人ひとり丁寧に話を聞いて対応しています。 その結果、生徒の成績が向上し、保護者からも満足の声をいただきました。この経験を生かして、教員になった際には、生徒の興味や関心を引き出し、一緒に楽しく学べる参加型の授業を行いたいと考えています。」
例えば、「私の強みは傾聴力です」という書き出しは、一見問題ないように見えますが、「傾聴力」が具体的にどのような行動や成果につながっているのかが伝わりにくいという欠点があります。「雑談を交えつつ、1人ひとり丁寧に話を聞いて対応していること」が傾聴に近い内容だとしても、それだけでは自己PRとして弱い印象を与えてしまいます。
改善例:具体的な行動と成果を示す
抽象的な表現を避け、具体的な行動や成果を冒頭に持ってくることで、聞き手に強い印象を与えられます。
例:
「私は中学生の社会科を指導する中で、生徒が主体的に学べる環境作りに注力してきました。具体的には、授業中に生徒1人ひとりの発言に注意深く耳を傾け、その理解度に合わせて授業内容や説明の仕方を柔軟に変えるように工夫しました。また、授業後には質問に来る生徒に対して、雑談を交えながらも丁寧に質問に答えるだけでなく、関連する知識や学習方法などもアドバイスするように心がけました。その結果、生徒の授業への参加意欲が高まり、定期テストの平均点が以前よりも15点向上しました。また、保護者の方からも『授業が分かりやすくなった』『以前より勉強に意欲的になった』といった感謝の言葉を頂けました。この経験をもとに、教員として生徒の興味を引き出し、主体的に学べる授業を実現したいと考えています。」
このように、具体的な行動、具体的な数字、具体的な評価などを盛り込むことで、自己PRは格段に説得力を増します。
まとめ:自己PR作成3つのポイント
効果的な自己PRを作成するための3つのポイントを改めてまとめます。
- ① 自己PRの目的を理解する: 採用担当者に自分の思考様式や行動様式を伝えることが目的です。
- ② 教員としての視点を反映する: 自分の経験を教員の仕事にどのように生かすのかを具体的に述べましょう。
- ③ 自己PRは具体的にする: 「○○力」といった抽象的な表現は避け、自分の考えや行動を具体的なエピソードを通して表現しましょう。
これらのポイントを意識して、採用担当者の心に響く、効果的な自己PRを作成してください。