教員採用試験前倒しの効果は?2024年度教採志願者数・倍率分析(2024年7月3日時点情報に基づく)

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2024.07.30

この記事では、今年度(2024年実施)の教員採用試験の応募状況を分析し、試験日程の前倒しが志願者数にどのような影響を与えたのかを検証します。
※2024年7月1日時点の情報 ※未発表の自治体を除く ※倍率は“応募者数/採用予定者数”で算出(昨年の倍率も同様)

1. 志願者数はそもそも増えた?

今年度から教員採用試験の日程が最大2ヵ月早まりました。これは受験生確保を目的とした施策でしたが、実際の志願者数は昨年(12万7547名)に対し、今年は11万7878名と約10,000名減少しています(愛媛県が未公開のため、実際にはあと1,000名ほど増える見込みです)。

2. 志願者数が増えた自治体は?

志願者数が増加したのは11自治体です。昨年からの増加率で並べると以下の通りです。東京都を除けば、政令指定都市が5つも含まれています。

  • 東京都では、特に新卒の応募者が大幅に増加し、前年度より1,063名増となる5,273名(前年度比125.2%)でした。一方、既卒者は前年度より114名減となる5,141名(前年度比97.8%)となっています。
  • 11自治体のうち、教採実施日を大きく変更しているのは、福岡市、浜松市、佐賀県、静岡市、静岡県の5つです。
都道府県2023年日程2024年日程2023年志願者数2024年志願者数増減昨年比
東京都7/97/79,46510,414949110.0%
神戸市6/246/151,8421,981139107.5%
福岡市7/96/161,3721,46694106.9%
岡山市7/87/670675145106.4%
浜松市7/15/1164969041106.3%
山形県7/227/1378281432104.1%
香川県7/157/131,2731,31340103.1%
佐賀県7/96/1674776417102.3%
静岡市7/15/114204299102.1%
栃木県7/87/61,9291,94112100.6%
静岡県7/15/112,2362,2415100.2%

3. 志願者数が減った自治体は?

愛媛県が未公開のため完全なデータではありませんが、志願者数が増加した11自治体以外はすべて志願者数を減らしています。特に昨年から15%以上志願者を減らしている自治体は以下の通りです。

都道府県2023年日程2024年日程2023年志願者数2024年志願者数増減昨年比
高知県6/176/11,9441,472-47275.7%
熊本市7/96/16615493-12280.2%
新潟県7/26/16(小)<br>7/71,196964-23280.6%
大分県7/96/161,3741,120-25481.5%
茨城県6/255/123,5582,911-64781.8%
さいたま市7/97/71,3081,073-23582.0%
川崎市7/97/71,2161,003-21382.5%
北海道6/186/162,7972,332-46583.4%
相模原市7/97/7547460-8784.1%
神奈川県7/97/74,4533,769-68484.6%

4. 倍率が高い自治体は?

倍率も全体的に低下傾向にありますが、その中でも高い自治体TOP5は以下の通りです。高知県は昨年よりも低くなっていますが、依然として高い倍率となっています。さいたま市は昨年よりも1ポイント以上倍率を上げています。これは、さいたま市が採用見込み数を前年度400名から今年度220名と大きく減らした影響と考えられます。

都道府県2024年倍率2023年倍率
高知県5.87.5
沖縄県5.56.4
鳥取県5.25.1
奈良県55.6
さいたま市4.93.3

5. 倍率が低い自治体は?

一方、倍率が低い自治体、いわゆるワースト5は以下の通りです。新潟県、熊本市、長崎県はすべての校種を含めた全体で2倍を切っています。新潟県は、小学校・高校が1.4倍、特別支援が0.7倍とどの校種も低くなっています。北海道、熊本県、長崎県も小学校は1.2倍となっています。

都道府県2024年倍率2023年倍率
新潟県1.52.6
熊本市1.61.9
長崎県1.72
富山県22.5
北海道2.12.8

6. 倍率が下がらなかった自治体はあるの?

全体的に倍率は低下傾向ですが、全体の倍率では、14の自治体が昨年と同様かやや上昇しています。中でもさいたま市は突出して倍率が上がっています。

7. 小学校・特別支援の倍率の低さが目立つ

  • 小学校では14自治体が1.5倍を切っています。最も低いのは秋田県の1倍です。
  • 14自治体中8自治体が九州(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、熊本市、大分県、宮崎県、鹿児島県)です。
  • 特別支援では8自治体が1.5倍を切っています。さらに北海道と新潟県は1倍を切っています。

8. 大学3年次受験はおおむね増えている

現在夏に大学3年次受験を行う自治体は39あります。

  • 39自治体の応募総数は約15,000名です。
  • 受験者数が多い自治体TOP5は以下の通りです。
都道府県20232024昨年比
東京都28583433+575
千葉県・千葉市7391386+647
埼玉県1339
愛知県1295
大阪府668

9. まとめ

  • 2025年度採用の志願者数が約10,000名減少し、一方で2026年度の大学3年次受験は約15,000名と、合わせると受験総数は昨年よりも上回る結果となりました。
  • 全国的に志願者減に歯止めがかからない状況です。
    • 教員採用試験の時期前倒しが今回の大きな取り組みではありますが、その効果は実感しにくいと言えるでしょう。
    • もともと大学生の受験者数は極端に減っているわけではありません。
    • 教員採用試験の時期を民間の就職活動と同じ時期にした場合、仕事の魅力や職場の魅力で勝負することになります。

今回のデータからは、試験日程の前倒しが志願者数全体の大幅な増加にはつながっていないことが示唆されます。今後は、教員の仕事自体の魅力向上や、働き方改革など、より根本的な課題への取り組みが求められるでしょう。

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