
学校を調べていると目にする教育関係の用語を説明します。今回は、グローバル教育に関する言葉です。学校の特徴をつかむことにもつながりますので、ぜひ押さえましょう!
1. SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)
まずは、スーパー・グローバル・ハイスクール、通称SGHです。文部科学省から指定を受けた学校は、グローバル・リーダーの育成のために各学校それぞれ特徴的な取り組みを行い、その成果を発表します。
その構想の概要は、「グローバル・リーダー育成に資する教育を通して,生徒の社会課題に対する関心と深い教養,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身につけ,もって,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることとする。」とあります。
SGHに指定される学校の特徴として、英語を中心とした語学力を高めることのみが目的ではないことです。SGH指定校は6つの取り組みを行います。
- 目指すグローバル人物像の設定
- 研究開発テーマ
- グローバルなビジネス課題・社会課題
- 課題研究(探求型の学習、海外フィールドワーク)
- 大学との連携(必須)
- 国際機関・企業等との連携
※参考:https://sgh.b-wwl.jp/#section1
例えば、以前指定を受けていたある学校(法政大学国際)は、「持続可能な社会の実現を担うグローバル・リーダー育成プログラム(GLP)の開発」をテーマに、「多文化共生」「グローバルキャリア」「エンバイロンメンタル・スタディーズ」の3つの領域で教育活動を行いました。
なお、今まで指定された学校数は、約120校です。2021年以降指定されている学校はありません。
2. IB(国際バカロレア)
続いて、国際バカロレア、通称IBです。スイスのジュネーブにある国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムです。つまり日本独自の教育プログラムではありません。なお「バカロレア」は、フランスの大学入学試験を指します。
IBの最終試験を経ると国際的に認められる大学入学資格を得られることも大きな特徴です。その他の特徴として、IBは目指す10の学習者像を明示しています。
- 探究する人
- 知識のある人
- 考える人
- コミュニケーションができる人
- 信念をもつ人
- 心を開く人
- 思いやりのある人
- 挑戦する人
- バランスのとれた人
- 振り返りができる人
IBの教育プログラムはこの10の学習者像を目指す内容となっています。
気になる学校が「IB認定校がどの年齢層のプログラムの認定を受けているか」は押さえてほしいです。対象年齢層別に以下の3つに分かれます。
- PYP (Primary Years Programme):3-12歳
- MYP (Middle Years Programme):11-16歳
- DP (Diploma Programme):16-19歳
中高の場合は、MYPとDPが当てはまります。なお、DPを経ないと世界の大学入学資格は得られません。IB認定校のすべてが両方持っているわけではありませんので、学校がどの認定を受けているかは、ぜひ確認しましょう。
なお、令和4年5月時点で、IB認定校のうち、一条校は57校あります。
内関東にある私立中高の例:茗溪学園中学校高等学校、ぐんま国際アカデミー、昌平中学校・高等学校、開智日本橋学園中学・高等学校、玉川学園中学部・高等部、武蔵野大学附属千代田高等学院、法政大学国際高等学校、三浦学苑高等学校
※参考:https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/
3. ダブルディプロマ
近年登場した取り組みとして「ダブルディプロマ」があります。「ディプロマ」は卒業証書を表す言葉です。それが「日本」と「海外」の2種類取得できる取り組みです。取り入れている学校により、提携している国や地域は異なります。例えばカナダと提携している場合は、日本の高校卒業資格とカナダの高校卒業資格を得られ、海外大学の進学も視野に入りやすくなります。英語で他教科を学ぶイマージョン教育や、長期の海外留学も行われます。
4. まとめ
今回はグローバル教育に関わる主な用語を紹介しました。グローバル教育=英語というわけではありません。これらのキーワードは、「学校が生徒をどのように育てようと考えているか」理解することに役立ちます。ぜひ押さえてください。