
来年度(2024年度実施)の教員採用試験(教採)は、早期化や受験資格の拡大など、多くの変更点が予想されます。今回は、現時点(2024年1月16日時点)で発表されている自治体の動向をまとめました。特に来年受験を検討している方は必見です。
1. 大学3年受験の実施拡大
2023年には、東京、千葉、富山、福井、横浜、川崎、相模原の7自治体が大学3年次受験を実施しました。2024年には、政令指定都市を含め新たに28自治体が大学3年次受験を行う旨を発表しています(1/15時点)。
2023年実施分も含めると、全国の約半数の自治体で大学3年次受験が実施されることになります。これにより、大学3年生の段階で教員採用試験の一部を受験し、不合格だった場合でも4年生で再挑戦できる機会が設けられます。
2. 教採の早期化
文部科学省は2023年5月、全国の教育委員会に対し、来年度の教員採用試験の第一次試験を、6月16日を基準日として実施するよう呼びかけました。これに伴い、多くの自治体で教採日程の前倒しが発表されています。
1ヵ月程度、またはそれ以上前倒しされる自治体の例:
自治体 | 日程 |
静岡県・静岡市・浜松市 | 7/1 → 5/11 |
愛知県・名古屋市・三重県 | 7/22 → 6/15 |
九州各県(福岡県、福岡市、北九州市、佐賀県、長崎県、熊本県、熊本市、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県) | 7/9 → 6/16 |
- ほぼ変更なしの自治体の例:
自治体 | 日程 |
埼玉県・東京都・横浜市・川崎市・相模原市・山梨県 | 7/9 → 7/7 |
岡山県・岡山市 | 7/8 → 7/6 |
香川県 | 7/15 → 7/13 |
- 12月受験:北海道、宮城県、茨城県、山口県、高知県、北九州市は、2024年実施の教採を昨年12/17に一部前倒しで実施しました。
3 秋採用の実施
北海道、高知県、佐賀県などが夏採用に加えて、秋の教採を実施しました。2023年は、文部科学省が複数回の採用試験を実施する自治体向けに教養試験問題を提供する取り組みを始めたため、秋採用に踏み切った自治体が増えたようです自治体によって秋採用の対象者が異なります。
- 高知県・佐賀県:夏に不合格だった方の再チャレンジを認めています。
- 北海道:一次試験合格者で二次試験を受けられなかった方が対象です。
高知県は例年他の自治体よりも早く教採を実施しているため、受験者の他自治体との併願が多く、合格後の辞退も発生しており、追加合格を出す状況が見られます。
4. 免許なし受験の拡大
企業などで働く社会人などを対象に、普通免許状を取得・取得見込みでなくても受験できる選考を導入する自治体が増えてきています。
- 教採合格後、一定期間(2年間)で免許を取得することを条件とする自治体の例:東京都(対象年齢の緩和:40歳→25歳)、埼玉県(新設)、山口県(教職チャレンジサポートの新設)、福岡県。山口県では免許取得に費用補助(年26万円)があります。
- 特別免許を授与する自治体の例:大阪市、さいたま市など、一部の教科に限定して実施するケースがあります。
ペーパーティーチャー対象の説明会が各自治体で行われています(非常勤講師向けの情報提供も含まれています)。
教採合格者の中で社会人経験者の割合は4%弱(2023年度実施)と低いため、まずは受験者数を増やしたいという意図があると考えられます。
東京都の場合、今年の社会人受験者:149名、合格者:88名(昨年度 受験者数15名、合格者:9名)、埼玉県(セカンドキャリア特別選考)では、受験者:187名、合格者:57名と、増加傾向にあるようです。
5. 他県教員対象の特別選考拡大の可能性
現職教員向けの選考として、筆記試験がなく面接のみのケースも増えています。 滋賀県では12名、岡山市では10名、徳島県では6名、福岡県では20名が合格しています。また青森県では、昨年11月に他県の現職対象の交流会を東京で開催しました。
岡山県では2024年実施から「私立学校」教員も対象になります。今後、このような現職教員向けの特別選考が他の自治体にも広がる可能性が高いです。
6. まとめ
今年度(2024年度実施)の教採は、時期や回数の変更を中心に、受験資格の拡大が多く見られます。試験内容の変更などもあるため、受験を検討している方は、各自治体の教育委員会からのお知らせを定期的に確認するようにしてください。早めの情報収集と対策が合格への鍵となります。