
教員を目指す方の中には「民間企業の経験を積んでから教員になりたい」という方がいます。今回は、民間企業から教員への転職について解説します。
1. 民間企業→教員はありなのか?
公立・私立ともに、民間企業出身者の転職はしやすくなっているようです。公立学校では、教員採用試験で「社会人経験者」の試験区分が設けられている自治体があります。また、私立学校でも教員経験がない方を採用するケースがあります。実際、教員人材センターでも未経験の民間企業出身者の私立学校への転職が増えています。
2. どんな人が転職するのか?
教員へ転職する方は、主に社会人経験2~3年の方や、30~35歳前後のある程度キャリアを積んできた方が多いです。
社会人2~3年の方は、新卒で教員になるよりも社会人経験を積んだ方が良いと考えた方や、数年働いてやはり教員が良いと考えている方が多く見受けられます。
30~35歳前後の方は、今まで働いてきた分野である程度実績を積んできて、その経験を学校で生かしたいとお話される方が多いです。
また、転職とは異なりますが、定年退職された方が今後の活動の一つとして、学校の非常勤講師として働く場合もあります。
3. 転職時のポイントは?
教員への転職であっても、いわゆる一般的な転職と大きな違いがあるわけではありません。転職の場合、今までの経験を転職先でどのように生かせるかが重要になります。そのため、学校で生かせることを整理する必要があります。
学校との共通点が見つかりやすい仕事(業種・職種)としては、同じ教育業界の「塾や予備校」などは経験が直結しやすいです。また、英語の教員であれば、国際線のCAや旅行会社など海外と接点がある仕事や英語を使用する仕事は、経験が強みとなりやすいです。理系分野であれば、研究職・開発職についていると、他には負けない分野があるということで評価されます。養護教員では、近年看護師資格や看護師の実務経験が重視される傾向にあり、看護師の方が学校で働くケースも増えています。
仮に学校とはあまり接点のない会社に就職した場合でも、営業職などの人に関わる仕事は私立学校との親和性が高いお仕事といえます。また、人によっては社内研修などに関わる機会もあると思います。それらの経験もアピールできますので、応募書類等には忘れずに書くようにしましょう。
履歴書や職務経歴書には、今までの経験を事実として書くことも大切ですが、学校で生かせる点を意識して書くことも大切です。そうでないと、採用担当者は「この方はなぜ応募したのだろうか?」と疑問に感じてしまいます。
また、働いている間にも自己研さんはできます。資格の取得はもちろん、教科の勉強も行いましょう。
4. まとめ
近年、学校を取り巻く環境が変化しており、教員も多様な人材が必要になってきています。私立学校の中には民間企業出身者を積極的に採用している学校もあります。
冒頭で触れた「民間企業の経験を積んでから教員になりたい」という方には注意してほしいことがあります。いわゆるブラック企業は別かもしれませんが、まずは入社した会社で一生懸命働いてください。その会社で何をしてきたかを語れる状態になっていなければ、積んだ経験が学校で生かせないかもしれません。
どの会社に入社したとしても、そこで経験できる「社会」が全てではありません。また、閉鎖的に見える学校も、いざ働いてみると、多くの方と関わって働くことになります。
もちろん教員が第一志望だという場合は、はじめから教員の就職活動にチャレンジして問題ありません。あえてチャレンジを先延ばしにする必要はないでしょう。