【教員採用力研究会】教員志望者を“集める”ための効果的アプローチ

# 中途採用# 採用手法# 新卒採用# 動画+記事
2026.02.19

「最近、思うような人材からの応募が少なくなってきた」「採用活動が年々難しくなっているように感じる」。私立学校の運営を支える人事・採用担当者の皆様の中には、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回は、教員志望者を「集める」という最初のステップに焦点を当て、候補者の心に届く新たな採用アプローチについて解説してまいります。

1. 「教員採用力」を改めて見つめ直す

まず、私たちが考える「教員採用力」という言葉の意味を整理しておきましょう。それは、各学校が「自校にふさわしい、求める人材を採用できる力」を指します。

この力は、大きく分けて2つの要素から成り立っています。

  1. 職場の魅力:学校が本来持っている環境、教育理念、教職員の雰囲気など。
  2. 採用コミュニケーション:その魅力を候補者に適切に伝え、繋がりを築く力。

これまでの採用活動は、求人サイトに情報を掲載して応募を待つ「プル型(待ちの採用)」が中心でした。しかし、候補者数が限られる現代においては、学校側から積極的に候補者へと歩み寄る「プッシュ型(能動的な採用)」を組み合わせたハイブリッドな戦略を検討するタイミングに来ているのかもしれません。

欠員が出てから動き出すのではなく、年間を通じて潜在的な候補者の皆様と緩やかな繋がりを持ち続ける「能動的な体制」を整えることが、安定した採用成功への一歩となります。

2. 質の高い母集団を形成するための「4つの柱」

質の高い母集団、すなわち「自校の教育方針に共感してくれる候補者」を集めるためには、4つの基本的な柱が必要であると考えています。

  1. 「求める人材像」の明確化:どのような強みや価値観を持った先生を求めているのか。
  2. 「従業員価値(EVP)」の確立:自校で働くことで、先生方はどのような価値を得られるのか。
  3. 「採用広報」:情報を適切に届けるための手法。
  4. 「候補者体験」:説明会や選考を通じて候補者が抱く印象。

実はこの考え方は、皆様が日々取り組まれている「生徒募集」と非常に近い構造を持っています。

例えば、「求める人材像」は生徒募集における「アドミッションポリシー」に、「採用広報」は「受験広報」に置き換えることができます。採用活動を、生徒募集と同じように「学校のファンを増やすマーケティング活動」として捉え直すことで、新たな改善のヒントが見えてくるはずです。

3. 自校の魅力を言語化する「従業員価値(EVP)」という視点

4つの柱の中でも、現代の採用において特に意識したいのが「従業員価値(EVP:Employee Value Proposition)」です。これは、学校が教職員に対して提供できる価値を指します。

「自校が提供できる価値」を整理する際は、以下の5つの視点で棚卸しをしてみるのが効果的です。

  • 報酬(Rewards):給与や手当などの条件面。
  • 福利厚生(Benefits):休暇の取りやすさやサポート体制。
  • キャリア(Career):研修制度や、専門性を高めるための成長機会。
  • 職場環境(Work Environment):ICT設備の充実や、働きやすさの工夫。
  • 企業文化(Organization Culture):教育理念、挑戦を尊ぶ風土、温かい人間関係。

給与などの条件面も大切ですが、それ以上に「この学校なら自分の理想とする教育ができる」「自己成長が期待できる」といった、文化的な価値や成長の機会を具体的に発信していくことが、志望意欲を高める鍵となります。

4. オンラインとオフラインを融合させた広報活動

整理した自校の魅力を、どのように候補者に届けるべきでしょうか。ポイントは、オンラインとオフラインそれぞれの特性を活かすことです。

SNSを活用した多角的なアプローチ

現代の就職活動では、消費者の購買モデルである「AISAS(アイサス)」、すなわち「認知→興味→検索→行動→共有」という流れが一般的です。候補者は公式サイトだけでなく、SNSで「学校の日常」を検索しています。

  • Instagram / TikTok:写真やショート動画を通じて、校内の活気ある「雰囲気」や「熱気」を直感的に伝えます。
  • Facebook / X:最新の採用情報や、学校としての公式な取り組みを正確に届けます。
  • YouTube / note:先生方のインタビューや教育理念への想いを深く語ることで、より専門性の高い層や想いに共感する層へアピールします。

実は、生徒募集のために運用しているアカウントは、教員志望者にとっても貴重な情報源です。「この学校で生徒たちがどう育っているか」を知ることは、教員として働くイメージを膨らませることに繋がるからです。

5. 心を通わせる「体験型」採用イベントのデザイン

最後に、対面でのコミュニケーション、特に「採用イベント」について触れたいと思います。

教員人材センターが行ったアンケート(※1)によると、採用に関するイベントに参加した経験がある方は全体の40%強に留まっており、教員採用においてこのようなイベントはまだ一般的とは言えない状況にあります。

しかし、同アンケート内でイベントに参加した方の約9割が「志望意欲が高まった」と回答しています。これは、直接学校の空気に触れる機会が、候補者の意思決定に極めて大きな影響を与えることを示唆しています。

イベントを成功させる秘訣は、一方的な「説明」の場から、双方向の「体験」と「対話」の場へと変えていくことです。パンフレットに載っている情報の解説に留まらず、以下のような「リアル」を共有することが効果的です。

  • 仕事のやりがいと、その裏にある大変さ、それをどう乗り越えてきたかというストーリー。
  • 若手教員による「本音のトークセッション」を通じた、等身大の働き方の提示。
  • 職員室の実際の雰囲気や、先生同士の連携の様子。

校長先生のお話だけでなく、ぜひ若手の先生方にも登壇していただき、日々の実感値を語っていただく場を設けてみてください。候補者にとって「ここで働く未来の自分」を鮮明にイメージできる貴重な機会となるはずです。

また、イベント終了後の丁寧なフォローアップも欠かせません。一人ひとりに合わせたメッセージを送るなど、その後の繋がりを大切にすることで、将来的に貴重なご縁へと育っていくことが期待できます。

(※1)2025年3月卒対象 進路に関するアンケート(89名回答)

おわりに

これからの教員採用は、短期間の募集活動という枠を超え、年間を通じた「関係構築」のプロセスへと進化しています。

まずは、皆様の学校が先生方に提供できる「独自の価値」とは何か、その棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。本コラムが、皆様の学校における採用活動の一助となれば幸いです。

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