小学校の先生を目指す課程で避けて通れないのが、面接で志望動機を答えなければならないことです。志望動機がはっきりしていて、しかも望ましいものであれば、面接の本番でも有利に働きます。
この記事では、教員採用試験で受かるための志望動機の書き方を紹介します。志望動機を書くうえで確認しておきたいポイントと併せて参考にしてください。
志望動機はその職業を希望する理由を明らかにするものです。教員採用試験では受験者がなぜ教員になりたいのか、教員として働くうえでどのような価値観を持っているのか、志望動機から審査する側がイメージできます。
説得力のある志望動機を書くためにはどうすればいいのか、迷うことも珍しくありません。以下の段落ではどうすれば面接官を納得させられるのか、志望動機をどのように組み立てるべきかなど、説得力のある志望動機の作り方を解説します。
志望動機を作成するうえで押さえておきたいポイントの一つが、ストーリー性を持たせることです。過去だけではなく、未来の姿も結びつけて志望動機を作成するようにしましょう。
例えば過去に尊敬できる先生に出会ったことがきっかけで、自信を持ってこれまで頑張れた経験があったとします。自身の経験から、自分も教員になれたら「子どもたちに自信を持たせるような指導がしたい」との思いを抱くこともあるはずです。
志望動機では教員になりたいと思った理由から自分が将来なりたい教員像まで、つながったストーリーにすると伝わりやすくなります。過去のきっかけだけではなく、どのような教員になりたいのか、未来まで考えて書くのがポイントです。
子どもに教えるのが仕事という職業柄、教員採用試験の志望動機には「教える」経験を盛り込むとさらに効果的です。学習塾の講師や家庭教員として教えたことがあるなら、ぜひ書きましょう。
教えた経験は勉強に関するものだけではなく、例えばスポーツなどのインストラクターとしてアルバイトした経験でも大丈夫です。他にも教育実習に行ったときの経験や、自分が身に付けた経験を活かして、地域の子どもたちに音楽やダンスを教えた経験などでもかまいません。誰かに教えた経験があれば説得力が増します。
志望動機の書き方について基本的なポイントを解説したところで、具体的に作成していく際に確認しておくべきことも押さえておきましょう。
志望動機を書くためには自己分析が必要であるとともに、受験する地域や学校の状況、求められる教員像も把握しておく必要があります。加えて、教育問題にも関心を持っておくことが大事です。
自分のことをあらためて分析することなど、必要ないと考えるかもしれません。自分のことは自分が一番よくわかっていると思いがちですが、実はあまり分かっていないものです。
自己分析をおろそかにしたまま教員採用試験に臨むと、志望動機の作成に苦戦するのはもちろん、面接での質問にスラスラ答えられないこともあります。
自分がどのような人間であるのか、強みはなにか、判断軸をどこに置いているのかなどを明らかにしておくことが大事です。自己分析は面接対策になるばかりでなく、私立学校のように個性のある学校への志願を検討するときなどにもミスマッチを防げます。
地域や学校によって、教員になってからどのように子どもたちと関わっていくべきなのかが違ってくることがあります。公立小学校の場合は、受験する都道府県や市区町村の歴史、教育事情について調べておくことが大事です。
例えば僻地赴任がある場合、その地域に根ざした教育を大事にしているところがあります。戦争惨禍の歴史がある地域では、平和教育に力を入れていることも珍しくありません。
私立小学校では独自の教育理念や生徒像など掲げていることが多いため、理念や宗教を必ずチェックしましょう。独自の教育活動のある学校では指導力向上が目指せるか、理念に共感できるかも考えなければなりません。
いくら自分でこうなりたいと思っている教員のイメージがあったとしても、求められている教員像に合わなければ採用されない可能性もあります。齟齬が起きないように、あらかじめ求められている教員像をチェックしておくことが大切です。
大きく社会が変動する現代において、学校に求められる期待を満たすために教員の資質や能力が問われています。文部科学省や自治体では求める教員像を公開しているため、チェックしておくとよいでしょう。
例えば文部科学省のホームページでは、「これからの社会と教員に求められる資質能力」が掲載されています。
※参考:1.これからの社会と教員に求められる資質能力:文部科学省
教員採用試験で質問されるのは、志望動機や長所・短所などの本人に関する質問だけではありません。教育論や教育現場を取り巻く問題などについても問われます。これから教育に携わろうとしている者として、教育にまつわる話題には関心を持っておくことが大切です。
例えばいじめ問題や不登校、英語教育など、現代の学校が抱えている教育問題について自分なりの考えをまとめておくようにしましょう。志望動機を作成するためだけではなく、面接対策としても役立ちます。普段からテレビや新聞などで教育にまつわる問題に関心を持ち、情報を集めておくことが大事です。
志望動機にたいした特徴がなく他の人と横並びのレベルでは、せっかく頑張って作成しても多くの志願者のなかに埋もれてしまうかもしれません。 以下の段落では、他の受験者と差がつく6つのポイントについて詳しく解説していきます。志望動機を作成する際の参考にしてください。
教員といっても小学校・中学校・高校はもちろん、特別支援学校教員まで複数の種類があります。そのなかでなぜ小学校の教員を目指すのか、説得力のある説明ができるようにしておくことが大事です。
小学校の教員は、1年を通してクラスの子どもたちと近い距離で関り、深く接することができます。まだ人間性が確立しておらず成長過程にある小学生の場合、心を育てることが大切です。
人間性の育成が大事であることを踏まえ、どのような取り組みをしようと考えているのかなどをアピールするといいでしょう。
教員は教えるのが仕事ですが、ただ教えるだけなら教員である必要はありません。人になにかを教える仕事は、塾講師やさまざまなジャンルのインストラクターなど、他にいくらでもあります。志望動機を作成するときは、なぜ他の教える仕事ではなく、教員を目指すのかをはっきり説明できるようにしておくことが大事です。
例えば先述したように、小学校の教員は心を育てることが大事な役目のひとつです。塾講師のように学力さえアップさせられればいいわけではありません。教員でなければできないことや、教員だからこそできることなど、志望度の高さを盛り込みましょう。
教員採用試験は筆記試験や実技試験などのほかに面接試験も行われ、重要なウエイトを占めます。面接の方法は個人面接や集団面接など複数の方法があり、状況はさまざまです。ただし、どの面接方法でも、受験者の人格や教育に対する考え方などをチェックされているのは共通しています。
志望動機についての質問に対しては、熱意が伝わるようにアピールすることが大事です。話す内容だけではなく、話し方や所作なども評価の対象になっていることを忘れないでください。ときには想定外の質問に対する対応力を見られることや、集団面接で協調性をチェックされていることもあります。
面接では人格や教育に対する考え方などをチェックされていると先述しました。しかし「自分はこういう人間である」、教育に関する話題に対して「自分はこう思う」、「こうしたい」とだけ述べたところで、本当にそうなのか言葉だけでは判断がつきません。
述べた内容を実証する具体的なエピソードを添えれば、根拠になります。向上心があるとアピールするなら、実際に「~を目指して、◯◯を学んだ、◯◯の資格を取得した」など根拠になるエピソードを加えることで説得力が増します。根拠になる具体的なエピソードがあれば、自信を持って受け答えできるのはもちろん、より面接官にも伝わるでしょう。
公立小学校の教員は公務員です。一度採用されれば、将来にわたって経済的に安定した生活を送れるメリットがあります。その点を見据えて公立小学校の教員を志望する人もいるでしょう。本音として給与面や待遇面のよさを一番の志望動機として考えていたとしても、面接の場で発言するのはおすすめしません。
そもそも面接の場は、教員になりたいという熱意をアピールする場であり、自身の人間性を評価してもらうところです。待遇面や収入面を志望動機として挙げてしまうと、いくら教育や理想の教員像を熱く語っても真実味が感じられない可能性もあるため、控えめにしておくほうがよいでしょう。
小学校の6年間は社会性を身に付けつつ人間形成を行う時期として、非常に影響が大きい時期です。そのような成長過程にある子どもたちに対し、一番近いポジションで教育する立場になるのが小学校の教員です。
「子どもが好き」という理由を志望動機として挙げる受験者は多いかもしれませんが、ただ子どもが好きなだけでは務まりません。ただ教えるのが好きなだけでもできない、責任ある仕事です。
子どもが好き、教えるのが好きという気持ちが大事であるとともに、子どもの将来を大きく左右する人格形成の時期に向き合う重大さを理解していることも求められます。
小学校教員をなぜ目指すのか、アピールするための手段のひとつが志望動機です。説得力のある志望動機を作成するためには徹底した自己分析を行い、面接でどのような質問を受けてもスムーズに返せる自信をつけておく必要があります。
受ける地域や学校に関するリサーチ、求められている教員像、教育に関する話題などについても知っておかなければなりません。そのうえでなぜ教員になりたいのか、なぜ小学校の教員を選ぶのか、熱意を持って伝えることが大事です。具体的なエピソードをも盛り込みながら、伝わりやすい志望動機を考えましょう。
教員人材センター編集部
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