GIGAスクール構想とは?現状や課題点・学校でのICT環境について

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政府をあげて取り組みが進められている、GIGAスクール構想。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、構想実現に向けた準備が前倒しで進められています。教員として働く人や目指している人なら、一度は聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、GIGAスクール構想について紹介します。実現のために何が必要なのか、現状や課題点を解説します。また教員として準備すべきことも説明するので役立ててください。

GIGAスクール構想とは

GIGAスクール構想とは、一言でいうと義務教育を受ける児童・生徒1人に対して、1台のデジタル端末・通信ネットワークを整備する計画です。Global and Innovation Gateway for Allという言葉の略です。それを活用し、全国の学校現場にて創造性をはぐくむための教育の実現を目指します。

なおGIGAスクール構想は文部科学省が打ち出した構想です。2018年に掲げられた、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画を受け、2023年の完全実現を目指してスタートしました。

しかし新型コロナウイルス感染拡大を経て、オンライン授業の必要性が高まったこともあり、2021年末実現を目標に前倒しで取り組みが進められています。文部科学省がその重要性を訴えていることもあり、全国の教育現場で取り入れられている状況です。

またSociety 5.0時代を生きる子どもたちの多様性を大切にし、誰一人取り残すことなく創造性をはぐくむことが求められています。そのためには、GIGAスクール構想を実現させICT教育で次世代の人材を育てる必要性があるのです。

Society 5.0とは

Society 5.0とは、仮想(サイバー)と現実(フィジカル)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会のことです。これまで人類の歩んできた狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会として提唱されたものです。

Society 5.0では、IoTでこれまでにない新たな価値を生み出せるとされています。必要な情報が必要なときに提供され、現代の日本社会が抱える少子高齢化や貧富の格差などの課題克服も実現できます。

※参考:Society 5.0|内閣府

Society 5.0の仕組み

Society 5.0の大きな特徴として、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、システムを実現させることが挙げられます。

これまでの情報社会(Society 4.0)では人がサイバー空間内のクラウドサービスにアクセスし、情報やデータを入手して分析を行ってきました。人が解析した情報に価値のあった時代です。

しかしSociety 5.0では、人間ではなくAI(人工知能)によってビッグデータを解析します。フィジカル空間からサイバー空間に集積された情報をもとに解析した結果を、フィジカル空間にいる人間へとさまざまな形で提供して活用されます。

Society 4.0では実現できなかった新たな価値が産業や社会にもたらされ、問題解決へとつながるのです。

変化の激しいSociety 5.0時代。子どもたちには従来の教育ではなく、Society 5.0を生き抜くための教育を行う必要があります。人間ではなくAIがビッグデータを解析するSociety 5.0を生きる子どもたちに必要なのは、デジタル端末と通信ネットワークを活用したICT教育です。そのため、ICT教育を取り入れたGIGAスクール構想が注目されています。

GIGAスクール構想が進められる理由とは

文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想。なぜ、実現が進められているのでしょうか。

まず挙げられるのは、従来の日本社会が抱えていた問題を解決するためです。従来の日本社会では、知識や情報がうまく共有されなかったり、分野を横断した連携が難しかったりとさまざまな問題を抱えていました。

例えば人の手では膨大な情報の中から、必要な情報のピックアップと分析に時間と手間がかかり、限界があります。さらに少子高齢化や過疎化が進む社会では、うまく対応できない問題も多く抱えています。

そこでSociety 5.0を実現することで、新たな価値が生み出されます。IoTですべての人とモノが連携され、実現できることも増え、従来の問題解決へとつながるでしょう。これを実現するためにはGIGAスクール構想を実現させ、将来の日本を支える人材の育成が必要不可欠です。

さらにGIGAスクール構想は子どもたちの教育だけでなく、教員の働き方改革につながるという指摘もあります。これまで紙やExcelで管理していた成績や健康データなどをIoT化することで、業務効率化実現が目指せます。

しかし日本の教育現場は世界と比べて、ICT環境の整備が遅れている実情から目を背けられません。地域や格差にかかわらず、すべての子どもたちに必要な教育です。そのため政府が資金源を確保し、全国で取り組みが進められています。

GIGAスクール構想に必要なもの・環境とは

日本の教育現場で進められているGIGAスクール構想。ここからはGIGAスクール構想に必要なものや環境を解説します。

端末

1人ひとりの子どもに合わせた教育やコミュニケーションを実現するGIGAスクール構想のもとでは、パソコンなどのデジタル端末が必要不可欠です。まずは学習者(子ども)用の端末をひとり1台導入するところがスタートです。

端末導入のために、担当者は自治体や学校の状況を踏まえ、調達仕様書を作成します。その際には、ソフトウェアや通信ネットワークの状況をもとに子どもたちや教員がストレスなく使えるかを見極める事が必要になります。

文部科学省が掲げる、GIGAスクール構想の実現パッケージでは学習者用端末の標準仕様として端末のモデル仕様を示しています。

構内のネットワーク

安定したネットワーク環境はICT教育の土台となります。

GIGAスクール構想では、動画を教材にした授業やオンライン授業が想定されています。円滑に進めるためにも、大容量で通信速度が速いWi-Fiを用意する必要があります。複数人が同時に使っても途切れず、不具合の起こりにくいものが必要です。

さらに全校で導入を進めるには、体育館や職員室など校内のどこからでも端末からインターネットへアクセスできる環境が望ましいです。そのためネットワークを整備する際には、校内のどこからでも通信できるような校内LANの整備も必要です。

校内LANを整備することで学習用ソフトウェアを一括管理することが可能になり、教員の働き方改革にもつながります。

ツール・クラウド

ネットワーク環境や端末とあわせて、ツールやクラウドも整備も重要です。

GIGAスクール構想では、クラウドの活用が推奨されています。クラウドとはインターネットを通して、情報を必要なときに必要なだけ活用できるシステムです。

例えば授業に必要な教材や成績・出欠席の管理などは、クラウドの活用が可能な部分です。これらはクラウド型のものも検討するようにしましょう。クラウド型のものを使うことによって、子どもたちの教育だけでなく教員の働き改革につながります。

クラウド型のツールの例として挙げられるのが、グループウェアです。グループウェアとは児童・生徒とはもちろん、教員同士でのコミュニケーションを円滑にするためのソフトウェアのことです。業務効率化には欠かせません。特に人数が多い教育の場では、グループウェアが重宝することでしょう。

クラウドを活用できるツールはさまざまです。グループウェアや学習支援ツールだけではなく校務の様々な場面の活用が進んでいます。

なおクラウドはインターネットを通して初めて利用できます。そのため安全に導入する場合はセキュリティ対策が必要不可欠です。

ICTの活用方法

ネットワーク環境や端末、クラウドなどのICTツールを充実させただけでは、GIGAスクール構想の実現にはつながりません。しっかりと活用しICT教育を実践しましょう。ICTツール導入後も、継続的に活用計画を見直し、フォローアップを行うことが大切です。

また個別学習やグループ学習など、異なる場面においてどのようにICTを活用するか理解し、実践していくことが求められます。必要に応じてICT教育に関する研修を行うのもいいでしょう。

GIGAスクール構想の現状と課題

2018年に文部科学省が掲げたGIGAスクール構想ですが、2023年の実現目標よりも前倒しして進められているのが現状です。この背景には、新型コロナウイルス感染拡大があります。全国の学校が休校措置を取らざるを得なくなり、教育現場は混乱に陥りました。

そこで必要とされたのがオンライン授業。オンライン授業が可能な環境であれば、休校による学習の遅れを最小限にとどめることができます。このオンライン授業はGIGAスクール構想が押し進める取り組みの一つでした。オンライン授業の必要性が高まるとともに、GIGAスクール構想実現が急ピッチで進められるようになりました。

一方で、GIGAスクール構想実現に向け課題も抱えています。例えばICT教育に必要不可欠な端末。端末導入を含め環境整備には費用がかかるため、学校や自治体によって導入スピードに差が出ている現状があります。特に公立高校のICT端末の整備は喫緊の課題として挙げられます。

さらにICT教育は従来までの教育方法とは大きく異なる側面もあるため、指導する側がITリテラシーを向上させる必要があります。

また活用の仕方は、学校や自治体によって差が出る部分です。差を埋めるための、活用事例の共有が不十分な点も課題の一つです。

GIGAスクール構想を実現していくためのポイント

GIGAスクール構想を実現する上では、端末や環境の整備だけでなく児童・生徒を指導する教員側にもITリテラシーが必要不可欠です。デジタルネイティブな子どもたちはすぐに慣れることができても、パソコンが苦手な教員にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。

また教員側にもITリテラシーがないと、かえって業務を複雑にすることが考えられます。教員側もGIGAスクール構想やICT教育の重要性を理解し、根気よく取り組むことが大切です。

なお教員のITリテラシーを向上させるためには、IT活用のスペシャリストから学ぶなどの対策が効果的です。ワークショップや説明会に参加したり、学校にICT支援員を配置するなど、ITリテラシーを学ぶ機会が増えています。

GIGAスクール構想の成功には教員のスキルアップが必要

児童・生徒に1人1台の端末を配布し、ICT教育を行うGIGAスクール構想。現代の教育現場において、避けては通れない道です。GIGAスクール構想がうまく機能すれば、これからの日本を担う子どもたちによるSociety 5.0の実現や教員の働き方改革につながるでしょう。

GIGAスクール構想の成功は、端末や環境の整備だけでなく教員自身のスキルアップも大切です。教員もICTを活用できるようITリテラシーを身に付けましょう。教員のITリテラシー向上には、IT活用のスペシャリストから学ぶことが効果的です。

びす太(KJC-01)

教員人材センター編集部

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