リベラルアーツ教育とは?その意味と注目される理由を簡単に解説

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びす太(KJC-01)
・リベラルアーツ教育とは?
・なぜ今リベラルアーツ教育が必要なのか?

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近年、大学教育の場を中心に、リベラルアーツ教育に注目が集まっています。リベラルアーツ教育は、言葉通りの「一般教養教育」を指すものではなく、急速に変化するグローバル社会に対応する人材を育てるために必要不可欠な教育です。

リベラルアーツ教育に力を注ぐことで、幅広い知識を持った人材の育成につながるのです。この記事では、リベラルアーツ教育の本当の意味や必要性、国内外での事例を詳しく紹介していきます。


リベラルアーツ教育とは?簡単に解説

リベラルアーツ教育とは、現代社会のさまざまな問題に立ち向かうための「総合力」を養う教育のことです。日本語に訳すと「一般教養教育」になりますが、明確な定義はありません。

従来の日本の大学における「教養教育」は、「専門教育」を学ぶ前段階に学習するものだと捉えられていました。しかし、本来のリベラルアーツ教育は、そのイメージとは少し異なります。実際、欧米ではリベラルアーツは専門教育の下位に位置するものではなく、それ自体がひとつの学問体系として確立されているのです。

リベラルアーツの起源は、古代ギリシャ・ローマ時代の「自由七科(じゆうしちか)」にあります。自由七科とは、「文法」「弁証」「修辞」「算術」「幾何」「天文」「音楽」の7つを指します。当時リベラルアーツは、人間が自由に生きていくため、束縛から解放されるための素養とされていました。単に知識を身につけるだけでなく、実践的な知性や創造力を養うための学問なのです。

時代の変化によって、近年日本でもリベラルアーツ教育が注目され、主に大学教育で取り入れられています。実際の授業内容は大学によって違いますが、学部・科目横断的に幅広い分野を学び、問題発見・課題解決型の実践的な学習スタイルが採用されているのが主な特徴です。


なぜ今リベラルアーツ教育が必要なのか?

テクノロジーの発展やグローバル化によって複雑化する社会における「答えのない難問」を解決するには、単一の専門領域に関する知見だけでは足りません。幅広い知識を持ち、さまざまな角度から物事を考えられる柔軟な思考が必要です。

実際に近年の大学教育では、「即戦力」を育てようと早い段階で専門教育を行い、スペシャリストを育てようとする傾向が見られました。そうなると、専門以外のことについてはあまり詳しくないという人材が生み出される可能性が高まります。しかし、専門領域に特化しただけでは、現実にある複合的な問題に対処することが難しくなってしまうのです。

例えば、エネルギーに関する課題においては、機械工学、化学、経済学、国際関係など文系・理系問わず幅広い知識を要します。「特定の領域で専門知識がある=社会で役立つ」とは限らないのです。これからの時代は、物事を多角的に判断できる幅広い教養を持った人材が求められています。

経済産業省では、平成26年3月に「『社会人基礎力を育成する授業30選』実践事例集」のなかで、リベラルアーツ教育について言及しており、日本国内でもその重要性が高まりつつあるのです。


社会人基礎力を育成する授業30選

P7.社会人基礎力を育成する授業30選 受賞団体一覧

大学名:名古屋工業大学
学部・学科名 等:工学部
取組の概要:本学正課授業を受講させる中で彼らの社会人基礎力を向上させようとするプログラムである。彼らが進路選択を迷い始める(きっかけ)3年生の前期にリベラルアーツ系科目「キャリアデザイン」と夏季休暇のインターンシップ、更には後期専門科目である「環境高分子化学」を通してグループワークで課題設定型プログラムを執り行わせる。


「社会人基礎力を育成する授業30選」実践事例集 平成26年3月:経済産業省

アメリカではリベラルアーツ・カレッジが人気

日本では、リベラルアーツ教育は最近まであまり重要視されていませんでした。しかしアメリカでは、以前からリベラルアーツ教育に積極的に取り組んでいます。ハーバード大学などの名門をはじめとして、MITなどの専門性の高い研究系大学でも広く実施されているのです。

特に、質の高いリベラルアーツ教育を提供するリベラルアーツ・カレッジ(LAC)は、アメリカ国内のみならず、日本からの留学生にも人気の大学です。この大学では、特定の職に直結する専門知識の習得よりも、幅広い教養の習得を重視した教育を行い、将来的にさまざまなフィールドで活躍する人材を育てることを教育の目的としています。

学生の細やかなニーズに応じるため、リベラルアーツ・カレッジの多くは小規模な私立大学であることが特徴です。各学生には進路カウンセラーがつき、将来の進路や専攻の選び方など相談に乗ってくれます。総合大学では難しいような学生に寄り添った指導を行い、高い教養を持つバランスの取れた人材を育てているのです。


リベラルアーツ教育を実践している日本の大学

最近では、日本でもリベラルアーツ教育を取り入れる大学は増えています。ここからは、その実践事例を紹介します。


桜美林大学

桜美林大学のリベラルアーツ学群では、人文科学や社会科学、自然科学などを学びながら多角的な視野と思考力を養えるのが特徴です。学年ごとにカリキュラムが異なり、1年〜2年次は、リベラルアーツの基礎となる知識を身につけることを目的とし、3年〜4年次は、より専門性を高めて複数の学問を学んでいくといった流れになっています。

専攻科目は英語学、コミュニケーション学、哲学、キリスト教学、ビジネスエコノミクス、地球科学、国際協力など、7つの学問分野にわたる33のプログラムで構成されており、学生は目的に合わせて自由に学ぶことが可能です。例えば哲学の授業では、グループを組んでコントを発表し、「人はなぜ笑うのか」を考察するといったユニークな講義も行っています。


早稲田大学

早稲田大学では、全学共通で2,000以上のリベラルアーツ科目を提供しており、さまざまな分野をカバーしているのが特徴です。

例えば、「リーダーシップ科目」では、実社会で活躍するための基礎体力というべきリーダーシップを習得するための知識を学ぶことができます。リーダーシップを習得する授業は世界的に見れば常識ですが、日本ではまだまだ新しい科目です。早稲田大学では、2016年度から開始しています。

また、「プロフェッショナルズ・ワークショップ科目」は、各業界で活躍する社会人と学生が一緒になって課題解決に取り組む実践方式の科目です。社会人と一緒に学べることから、実践に基づいたビジネススキルが身につき、仕事の本質も体感できます。


東京大学

東京大学では日本の歴史や文化を理解し、国際的であらゆる角度から物事を考えられる視野を持ちながら、自ら率先して行動できる人材の育成を目的としています。この教育理念を実践するために、すべての学生は最初の2年間教養学部に所属してリベラルアーツ教育を受けます。東京大学では、日本の大学でリベラルアーツ教育が注目されるずっと前、戦前の時代からこの方式を続けているのです。

同大学の教養学部には専門後期課程として、「超域文化科学分科」など3分科からなる文系の教養学科、「科学技術論」など4つのコースからなる学際科学科、「数理自然科学」「スポーツ科学」などからなる統合自然科学科の3つの学科があり、さらに大学院総合文化研究科も存在します。このように教養学部が専門学部として成り立っていることから、いかに東京大学がリベラルアーツ教育を重視しているかが分かるでしょう。


関西学院大学

関西学院大学では、急速に変化する社会を読むための知識や技術などを提供する「リベラルアーツ・プログラム(KGLP)」を設けています。このプログラムでは、事前に設定されている11のテーマのなかから興味のあるものを1つ選択することで、特定の領域に関する授業を効率的に受けられます。

各テーマの授業はさまざまな学部から提供されているため、学部・学際横断的な思考も養えるのです。2020年度のテーマには、「キリスト教と聖書」「地域とコミュニティ」「心理とカウンセリング」「経済を知る、視る、考える」「いのちとターミナルケア」といったものがラインナップされています。


リベラルアーツ教育は社会人にとっても重要

リベラルアーツは、急速に変化する時代に対応していくという意味では、すべての社会人にとって必要な知識です。これから教員を目指す人も含め、大学教育に限らず教育現場に携わる人は基本的な知識を身につけておくことが大切です。ぜひ、自身で積極的に教養を深めていきましょう。

びす太(KJC-01)

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