教員養成フラッグシップ大学とは?目的や役割、指定大学を紹介

#基礎知識

監修者

田坂圭吾

教員人材センター キャリアコンサルタント

教員の採用
教員養成フラッグシップ大学は、2022年から採用されるようになった文部科学省が指定する取り組みです。この取り組みは、これからの日本の教員養成の在り方をアップデートしていくための先頭バッターとして誕生しました。
本記事では、教員養成フラッグシップ大学について、採用に至った目的やその役割、現在指定されている大学について解説いたします。

※本記事は2022年5月時点での情報です。最新の情報は文部科学省のWebサイトをご確認ください。

「教員養成フラッグシップ大学」とは?

教員養成フラッグシップ大学で用いられているフラッグシップとは、日本語で「旗艦」を指します。言葉をそのまま読み取るのであれば、教員養成を行っていくうえで戦略的にメインとなる大学という意味合いです。
このことから教員養成フラッグシップ大学とは、これからやってくるSociety5.0時代に備え、教員養成を行う日本国内の大学を先導する立場の大学を意味します。
当初、教員養成フラッグシップ大学は2021年度から制度の開始を目指し、2020年度中に最初の公募および選定を行う予定でした。

教員養成フラッグシップ大学構想について

教員養成フラッグシップ大学を作り上げていくための構想について、6つのポイントを順に見ていきましょう。

1.教員養成フラッグシップ大学の役割

先述のとおり教員養成フラッグシップ大学は、これからやってくる新しい時代に向けた教員養成のために重要な役割を持っています。具体的には、新しい教員養成プログラムや教職科目の研究・開発、幅広い教員養成ネットワークの作成および成果の共有、教職課程に関する制度の改善に向けた貢献などが挙げられています。

2.公募・指定の方法

教員養成フラッグシップ大学に指定される大学は、公募に対して申請のあった大学の中から、以下の4つの観点で審査を行った上で指定されます。

  • 全学体制
  • 教育研究についての計画および構想
  • 教員養成や教育研究における実績
  • 成果の発信・共有

3.制度上の特例

教員養成フラッグシップ大学制度によって、教員免許および教職修士の取得に関する特例がつくられました。(※注1)
例えば文部科学大臣が指定した大学であれば、大学が新たに設けた「教科及び教職に関する科目」に準じる科目の修得によって、幼稚園から高等学校までの教員免許の取得が特例で認められます。
また、文部科学大臣が指定した教職大学院であれば、大学が新たに設けた領域科目の修得によって、教職修士の取得が上記と同様に特例で認められます。 (※注1)文部科学省|教員養成フラッグシップ大学構想の今後の進め方について(2022.05.23)

4.新たな教職課程の開発への参画

教員養成フラッグシップ大学に指定された大学は、文部科学省や国立教育政策研究所、教職員支援機構、そして有識者などから作られる教員養成フラッグシップ大学推進委員会へ参画することになります。
教育養成フラッグシップ大学に指定されてからは、教員養成フラッグシップ大学として実践していることに関してのエビデンスを提供し、アドバイスを受けます。加えて、今後の新しい教職課程の開発に協力が必要です。

5.指定期間と成果の検証

教員養成フラッグシップ大学は、その指定期間を1つの区切りとして5年間設けており、その間の成果によって今後の継続が決定されます。
また、必要に応じて教職課程に関する制度改善にも貢献します。

6.スケジュール

教員養成フラッグシップ大学の制度は、2022年から開始されました。制度開始前にあたる2021年の8〜11月の間で大学側からの申請を受け付けており、その後11月から翌年2022年の2月まで評価および選定が行われていました。

なぜ「教員養成フラッグシップ大学」は必要なの?

教員養成フラッグシップ大学は、日本が目指す未来であるSociety5.0を実現するための取り組みでもあります。
人類が築いてきた社会は、時代の変化に合わせて常に進化してきました。獲物を狩ることで日々の生活を成り立たせてきた狩猟社会をSociety1.0とし、その次となる農耕社会がSociety2.0、工業社会がSociety3.0、そして高度な技術力によってさまざまな情報が飛び交う現代がSociety4.0とされます。
これらに次いで、日本がこれから目指す未来の姿として提唱されたのがSociety5.0です。Society4.0の現代では、インターネット上の仮想空間でクラウドサービスに接続することで多くの情報を扱います。
これからやってくるSociety5.0は、現実空間の情報がセンサーなどによって仮想空間に蓄積され大きな情報体となり、それをAIが解析して現実の世界にフィードバックします。
Society5.0に対応するためには、教師の ICT 活用指導力の向上、アクティブ・ラーニング、個別最適化などが必要となります。これらを実現するために、これまでにはない新しい体制となる教員養成フラッグシップ大学が必要なのです。

「教員養成フラッグシップ大学」の課題

2022年から始まった教員養成フラッグシップ大学ですが、これからやってくる社会に向けて取り組むべき課題について具体的にどういったものが挙げられるのでしょうか。
さまざまな部分で多様化が広がる現代社会は、今後もますます時代の変化に対する予測が困難になるでしょう。そのような時代に対応していくには、新たな学習観や授業観を担うことができる教員の育成が必要です。
まずは、令和の時代における日本ならではの学校教育を担う教員として相応しい資質や能力について、養成段階における目標の設定が挙げられています。
次に、教員養成のためのプログラムの見直しおよび開発です。そこでは、以下7点の取り組みが具体的に挙げられています。(※注1)

  • 学習を受ける児童を中心とした授業や学習活動のデザインについての理解増進
  • 「仮説を立て、実践し、反省して次に繋げる」を徹底した教員側の学ぶ意識と態度の育成
  • 学習を受ける児童の目線に立った教職科目の見直し
  • 保護者や地域、専門家などと協働する姿勢や協働環境を整える能力の育成
  • データサイエンスやSTEAM教育などを先頭に立って活用する人材の育成
  • ギフテッドを含む障害を抱えた生徒、外国人生徒、不登校、経済的事情のある生徒に対する理解と対応
  • 学部に加えて教職大学院が一体となった教員養成カリキュラムの検討や教員研修との連携の検討
また、これら以外にも、4つの取り組みの実践が求められています。
オンラインを活用した先導的プログラムを大学間で幅広く共有できるプラットフォームの構築
大学教員のFDなどを活用した人材育成や能力開発における目標の設定と実施
取り組みを実践した学生の資質や能力の習得、その効果についてエビデンスに基づいた評価を行う
今後に向けた新しい教職課程の開発への協力
(※注1)文部科学省|教員養成フラッグシップ大学構想の今後の進め方について(2022.05.23)

「教員養成フラッグシップ大学」に指定された大学はどこ?

教員養成フラッグシップ大学制度設立の公募に対して、全部で15大学からの申請がありました。
このうち、2つの大学が連名で申請していたため実際の件数は14件です。

  • 東京学芸大学
  • 福井大学
  • 大阪教育大学
  • 兵庫教育大学
  • 北海道教育大学
  • 上越教育大学
  • 金沢大学・富山大学(連名)
  • 信州大学
  • 静岡大学
  • 愛知教育大学
  • 愛知大学
  • 熊本大学
  • 玉川大学
  • 常葉大学
このうちの東京学芸大学と福井大学、大阪教育大学、兵庫教育大学の計4つの大学が教員養成フラッグシップ大学として正式に指定されました。
今後、上記の4大学はSociety5.0に対応した教員養成ができるように新たなカリキュラムを開発、実施していきます。また、これら4大学で実践された取り組みは他の学びの現場でも共有され、今後の教員養成カリキュラムや教員免許制度の見直しに活用されます。

新たな社会の到来に向けた制度「教員養成フラッグシップ大学」

狩猟社会から始まった我々人類の社会は、ここにきて新たな進化をまた迎えようとしています。ますます予測が困難となる時代の変化に対応するために必要なものとして、日本は「教員養成フラッグシップ大学」の制度を採用しました。
これから教員を目指す身として、社会がどのように変化しているのか、そして環境がどの方向に向かっていこうとしているのかを、敏感に読み取っていきましょう。

びす太(KJC-01)

教員人材センター編集部

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