
今回は、現在働いている方が教員免許を取得する方法について詳しく解説します。教員になる夢を諦めずに、働きながらでも免許取得を目指せる方法を見ていきましょう。
1. 大学に通う
働きながら教員免許取得を目指す場合、通信制大学がおすすめです。
(ア) 通信制大学のメリット
- スキマ時間で学べる: 通信制大学の学習は、主に①テキスト学習、②レポート作成、③試験という流れで進みます。場所を選ばずに学習でき、近年は試験も自宅受験(オンライン受験)が可能な大学が増えています。
- スクーリングは土日や短期集中: 対面講義(スクーリング)が必要な場合もありますが、土日や短期集中で実施されるため、仕事の都合をつけやすいです。大学によってはオンライン講義の場合もあります。
(イ) 正科生か科目等履修生か
通信制大学で学ぶ場合、正科生と科目等履修生のどちらで受講するかを選択する必要があります。
- 正科生: 大学に入学し、卒業に必要な単位を取得する形態です。卒業すると学士号が授与されます。
- 科目等履修生: 教員免許取得に必要な単位だけを取得する形態です。教員免許取得に必要な単位をある程度取得済みの場合、科目等履修生でも問題ありません。
2. 教員資格認定試験に合格する
教員資格認定試験は、試験だけで教員免許を取得できる制度です。大学などで学ぶ時間を確保するのが難しい方におすすめです。現在は、幼稚園二種、小学校二種、特別支援学校一種の試験が行われています。今後、高等学校の「情報科」が追加される可能性もあります。
試験の概要
- 試験時期は例年7月の最終日曜日です。
- 試験は一次試験(筆記)と二次試験(面接・実技)の2段階で実施されます。
今年度行われた小学校教員資格認定試験を例に取ると、一次試験は以下の4種類です。
- 「教職に関する内容」(マークシート)
- 「教科に関する内容」(マークシート)
- 「授業場面に関する内容」(論述)
- 「小学校教員としての理解や意欲に関する内容」(論述)
二次試験では、指導案作成や模擬授業などの実技、グループ討議や個別面接が行われます。また、課題論文作成もあります。なお、教員資格認定試験の合格率は例年20%弱となっています。
出典:教員資格認定試験過去の実施結果について~独立行政法人教職員支援機構 https://www.nits.go.jp/shiken/notice/20230926_001.html
試験の詳細はこちら:独立行政法人教職員支援機構 https://www.nits.go.jp/shiken/
3. 特別免許制度を活用する
特別免許制度は、教員免許状を持っていなくても、優れた知識経験等を有する社会人等が教員として働けるように設けられた制度です。教員としての業務内容に普通免許状との差はありません。ただし、授与された都道府県内のみで有効です。
特別免許は、取得したいと申し出れば誰でも取得できるものではありません。まず、教育委員会や学校の推薦が必要です。その上で教育職員検定(書類審査と面接)に合格する必要があります。
4. 後から免許を取得する流れ
近年、教員採用試験で免許がなくても受験できる制度を設ける自治体が増えてきました。例えば、東京都では、教員採用試験合格後2年間で免許を取得することを条件としています。さいたま市では、合格者には特別免許を授与します。
(イ) 私立学校での特別免許採用
私立学校でも特別免許で採用するケースがあります。令和3年度のデータでは、特別免許の授与件数は私立の方が公立よりも多くなっています。中学校では、公立20件に対し、私立63件。高校では、公立71件に対し、私立132件です。
神奈川県私立中学高等学校協会では、特別免許取得の支援を開始しています。
神奈川私学 教員特別募集枠 https://phsk.or.jp/recruitment/
5. まとめ
大学で免許を取得していなかったとしても、教員免許を取得する方法はいくつかあります。
通信制大学では、大学によって取得できる免許が異なるため、事前に確認が必要です。また、教員資格認定試験も取得できる免許が限られるため、注意が必要です。
近年では、応募時に免許がなくても選考を受けられるケースが増えてきており、公立・私立ともにこの動きは広まる可能性があります。
ご自身の状況に合った方法で、教員への夢を実現させてください。