
学校の採用担当者の方々に向けて、採用活動における重要な課題である「選考・内定辞退」について解説します。辞退が起こるタイミングと理由を分析し、対策を検討することで、採用活動の成功率向上を目指しましょう。
1. 辞退が起こるタイミング
辞退は大きく分けて「面接前辞退」「面接後辞退」「内定辞退」の3つのタイミングで発生します。民間企業(エン・ジャパン)の調査でも、どのタイミングでも辞退は起こり得る状況であることが示されています。どのタイミングでも共通して言えることは、応募者は「他校や他の用事を優先した」ということです。
参考:https://partners.en-japan.com/special/jitainosinri/)
2. 選考スケジュールが合わない
選考スケジュールが合わないことは、辞退理由の一つとして多く挙げられます。例えば次のような状況です。
- 選考の候補日が少なく、応募者の都合と調整がつかない。
- 選考回数が多いため、他の選考スケジュールとの調整が難しい。
- 応募者は就活以外の予定の調整が難しい。
タイミングが合わないことが辞退の直接的な理由になってしまう可能性もあります。また、他校の選考が通過した場合、そちらを優先することもあります。
選考結果の連絡が遅いことも辞退につながる要因となります。教員人材センターへの相談事例の中にも、「連絡が来ないので他の選考を受けても良いか」といった相談があります。選考日程だけでなく、選考結果も早めに伝えることが、選考辞退防止につながります。
3. 待遇条件面が予想や希望と異なる
待遇条件面が応募者の予想や希望と異なる場合も、辞退につながります。
給与や福利厚生、入職後に担当する仕事内容など、条件面で折り合いがつかない。学校の場合は、ポジションで折り合いがつかないことはまれなため、給与や仕事内容が想定と異なることで辞退が起こりがちです。
私立学校の場合、求人によっては「専任教諭」「常勤講師」「非常勤講師」を同じ求人票で募集することもあります。応募者は自分が望む雇用形態で応募し、そのつもりで選考を受けるため、希望と異なると分かった段階で辞退が起こる可能性があります。
同様に、給与等も「給与規定による」と記載されている場合、具体的な給与のイメージがつきにくいことがあります。応募者は「少なくともこれくらいは出るだろう」というイメージで応募することになり、実際の給与がそれよりも低いと分かった場合に辞退につながります。
インターネット上の口コミなどで、実際とは異なるネガティブなイメージを持ってしまい、選考を辞退することもあります。教員人材センターを利用して応募した方とそうでない方を比較すると、利用した方の方が学校に対して好印象を持つ傾向があります。求職者向けの情報をどれだけ提供できるかが重要です。
4. 他校を優先した
応募者は複数校に応募し、場合によっては並行して選考を受けていることが一般的です。
他校と比較して何かが劣っていた場合、特に応募者にとって重要な要素が劣っていた場合に辞退につながる可能性が高いです。特に内定辞退の場合は、学校と応募者の双方に「採用したい」「働きたい」という意思があるにもかかわらず、応募者がどこかで不安を抱えたまま選考が進んでいたということになります。
選考を通じて、応募者の学校への興味を高めることが可能です。教員人材センターが新卒を対象にしたアンケートによると、選考を受けた約88%が、選考を通じて学校の印象が良くなったと回答しています。一方で、12%は選考を通じて印象が変わらない、または悪くなったと回答しています。
(※「採用選考を通じて印象が良かった学校はありましたか」2024年3月 教員人材センター調べ 回答者58名)
教員人材センターのアンケートによると、内定の決め手としては、「建学の理念・学校の方針」「教育内容」が上位を占めています。「面接担当者の印象」「職場の雰囲気」も4人に1人は決め手にしたと回答しています。私立の内定者からは「校長先生との面接で、校長先生の学校をよくしていきたいという熱意が伝わってきて、私もこの先生のもとで働いてみたいと思いました」というコメントもありました。
選考は、応募者に仕事のやりがいや学校の魅力を直接伝えられる貴重な機会です。このような職場の様子が応募者に伝わることで、不安を払拭し、志望度を高める可能性があります。
5. まとめ
せっかく応募してくれた方が選考の途中で辞退することは、学校側としても避けたい事態です。待遇などはなかなか変更しにくい点ですが、求人情報などの掲載方法を工夫したり、面接の対応を改善したりするなど、取り組み次第で学校への志望度を高める選考にすることは可能です。