
今回は、実際に私立専任教諭の内定を獲得した先輩がどのような就職活動を行ったのか、具体的な事例を通してご紹介します。
1. プロフィール
今回ご紹介するのは、ミサキさん(仮名)です。
- 大学4年生(女性)
- 取得免許:中学社会、高校地歴公民
- 中高ともに公立出身
- 教員採用試験受験予定
- 私立の就活における希望:
- 自宅から通える距離
- 公立よりも高い給与
- ある程度の学力レベルの学校
2. 就活スケジュール
ミサキさんの就活スケジュールは以下の通りです。
- 4月: 教員人材センターに登録、就活講座受講、男子A校に応募、本格的に就活勉強開始
- 5月: 男子A校の選考開始、通信制B校、共学C校に応募、一次選考通過
- 6月: 教育実習、男子A校最終選考で不合格、女子D校応募、書類選考で不合格
- 7月: 教員採用試験一次受験、通信制B校選考、大学附属E校応募
- 8月: 教員採用試験二次受験(辞退を検討)、通信制B校内定、大学附属E校最終選考で不合格、女子F校応募・選考
- 9月: 女子F校内定(就職先決定)
3. 就活開始時期のポイント~情報収集をして自分の行動プランを立てた!
ミサキさんの就活開始時期のポイントは以下の通りです。
- (ア) 就活の流れを確認して、スケジュールの目安を立てた!
- 教員人材センターの研修で、私立の求人の特徴や就活の流れを確認しました。その情報を参考に教育実習や教員採用試験など、すでに決まっているスケジュールを確認し、私立の就活に力を入れられる時期を把握しました。
- (イ) 複数の求人ツールを活用!
- 人材会社、大学のキャリアセンター、私学教育研究所(公募ページ)など複数のツールを活用しました。
自分から探しに行くタイプと、オファーが来るタイプ、両方の求人ツールを活用している点が重要です。特にオファーが来るタイプは、専門のエージェントがその人に合う学校を案内するため、選択肢が広がります。最初に応募したA校は教員人材センターから勧められた学校でした。また、私立の就活をすると決めてからの行動が早く、情報収集を始めてから4月中に実際に応募までしている点もポイントです。
- (ウ) 私立の求人でどのポイントを優先すべきか整理した!
- 応募先選びのポイントを整理し、効率よく求人を探せるようにしました。応募するかどうか悩む時間を減らすことで、応募のチャンスを逃さないようにしました。また、整理する際にエージェント(教員人材センター)に相談しました。私立の就活は情報不足になりがちなので、相談して自分の考えを整理しておくと、後々の行動がスムーズになります。
4. 選考スタート!就活本格化へ~できることの優先順位づけが大切!
選考が始まってからのポイントは以下の通りです。
- (ア) 就活に力を入れやすい時期にできることをする!
- 教育実習が控えているため、5月にできることを済ませておきました。具体的には、複数校への応募と筆記試験対策です。
- (イ) 複数校を同時に応募!
- 1校の選考期間は概ね1ヵ月程度かかるため、1校の選考が終わるのを待っていると、他の学校のチャンスを逃してしまいます。
ミサキさんの場合は、応募校を決める際に、自宅からの距離、公立よりも高い給与、ある程度の学力レベルの3点を重視していました。通信制B校のように、全てに当てはまらなくても「近いから応募してみた」という学校もありました。
- (ウ) 時間がない場合や追い込みは「専門教科」を中心に!
- 私立の一次試験で筆記試験を行う学校は多く、教員採用試験の対策がそのまま生きます。私立の筆記試験は専門教科だけのところも多いです。特に理科や社会などは「応募する分野」の問題がメインになります。なお、問題の難易度はいわゆる学校の学力レベルに比例する傾向があります。
ミサキさんは教員採用試験対策で教職教養と専門教科の両方を勉強していましたが、この時期は専門教科に力を入れました。実際の問題は用語を書く問題などが多かったそうですが、記述問題も出題されました。中には「生徒に史跡を紹介するならどこか」「指導案を書く」といった問題も出題されたため、暗記するだけでなく「生徒にどう説明するか」という視点も入れて勉強すると良いでしょう。6~7割ほど取れれば通過する学校が多いようです。
5. 教育実習期間は実習に専念!
教育実習期間は就活ができないため、その前に応募できる学校には応募しておきました。もし実習期間に選考日が指定された場合は、学校に相談してみるのも一つの方法です(ミサキさんの場合はそのようなことはありませんでした)。
6. 応募・選考・結果が目まぐるしい時期~切り替えが大切!
選考期間中は、結果が目まぐるしく変わるため、切り替えが重要になります。
- (ア) 不合格の場合は次の学校への切り替えが大切!
- 就活ではどこかで不合格になる経験をします。「自分がダメだった」わけではなく、「その学校と合わなかった」のだと考え、次の学校に気持ちを切り替えましょう。切り替えやすくするためにも、応募校はある程度多い方が良いです。
- (イ) 周りのサポートは積極的に活用!
- 面接や模擬授業は練習しておいた方が良いです。特に現場経験がない学生は、人前でやってみることが大切です。友人や教授など、さまざまな人に見てもらいましょう。
ミサキさんは就活開始から8月頃まで面接や模擬授業の練習をしました。模擬授業に関しては、資料の相談を教授にし、指導案を作成したら教授や教員人材センターの前で実際にやってみたそうです。そのフィードバックをもとに修正を重ね、本番に臨みました。
模擬授業後の質問では必ず「授業の感想」を聞かれます。模擬授業をして一安心ではなく、今回の授業がどうだったかを自分の言葉で話せるように練習しておきましょう。
面接では履歴書などの書類に書かれていることから質問されることが多いです。ミサキさんは、面接で聞いてほしい内容をできるだけ書類に書くようにしていました。
「最後に何か質問はありますか(逆質問)」は、いくつか用意しておきましょう。ミサキさんはその一つとして「学校ならではの制度など」を詳しく聞いたそうです。ホームページにも概要は書いてありますが、「詳しく」聞くことがポイントのようです。面接官の先生も快く教えてくれるでしょう。その際、笑顔で大きな反応をすると良い雰囲気になります。
7. 内定が出始める時期~就職先はどう決めた?(続き)
- (ア) 8月に通信制B校から内定!→「就活を継続するか」を整理する!
- B校は「近さ」は魅力でしたが、他の条件では当てはまらない部分もありました(B校が悪い学校というわけではありません)。内定はもちろんうれしいですが、落ち着いてその学校について整理することが大切です。
- (イ) F校は、学力、待遇、働き方、学校や周りの雰囲気が良かった!
- F校は自宅からは遠い(1人暮らしになる)ですが、他の点が良かったため、就職を決めました。その他の条件(学力、給与)も希望に近く、働き始めた時の仕事内容(初年度は副担任や部活動を複数担当)、学校や周辺の雰囲気も良いと感じました。
内定を得る方の多くは就活メモを取っています。内容は、
- 選考の内容(筆記試験の内容、面接の質問や回答、模擬授業の様子など)
- 学校の情報や選考時の印象
などです。このメモが次の選考や就職先を判断する際に非常に役立ちます。ミサキさんも詳細なメモを取っており、それが最終的な決断に繋がりました。
8. まとめ~ミサキさんが内定につながったポイント
ミサキさんの就活が成功した要因をまとめると、以下のようになります。
- (ア) 早め早めの行動: 就活の準備や情報収集、応募など、あらゆる段階で早めに行動していました。
- (イ) 情報収集をして自分の行動プランを立てた: やみくもに行動するのではなく、しっかりと情報を集め、計画的に就活を進めていました。
- (ウ) 応募範囲を極端に狭くしなかった: 最初の希望条件に合致しない学校にも応募するなど、幅広い視野を持って就活に取り組んでいました。
- (エ) 周りのサポートはうまく活用した: 教員人材センターのエージェントや大学の教授など、周りのサポートを積極的に活用し、面接や模擬授業の対策を行っていました。
ミサキさんの例から、教員就活、特に私立学校の専任教諭を目指す場合は、早めの準備と情報収集、そして周りのサポートをうまく活用することが重要だということが分かります。また、内定を得た後も、冷静に判断し、自分にとって最適な選択をすることが大切です。