教員の働き方はどう変わる?~文部科学省予算案「骨太の方針」から考える~

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2023.07.11

2024年度の予算案方針となる「骨太の方針」が発表されました。今回は、この中で学校の働き方改革に関わる内容を詳しく解説します。

1. 骨太の方針原案~学校の働き方改革などに関わる事項

骨太の方針原案では、学校の働き方改革に関して以下の点が示されています。

  1. 教員勤務実態調査の結果等を踏まえ、働き方改革のさらなる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進める。
  2. 教師の時間外在校等時間の上限を定めている指針の実効性向上に向けた具体的検討、学校運営協議会等も活用した社会全体の理解の醸成や慣習にとらわれない廃止等を含む学校・教師が担う業務の適正化等を推進する。
  3. 教師不足解消の必要性等を踏まえ、教職調整額の見直しや、真に頑張っている教師が報われるよう、各種手当の見直しにより、職務の負荷に応じたメリハリある給与体系を構築する。
  4. 35人学級等についての小学校における多面的な効果検証等を踏まえつつ、中学校を含め、学校の望ましい教育環境や指導体制を構築する。

参考:経済財政運営と改革の基本方針 2023(仮称)原案 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0607/shiryo_01.pdf

2. 指導・運営体制の充実の主な検討内容

中央教育審議会(中教審)では、以下の事項が主な検討事項として挙げられています。

  1. 教育の質の向上と教師の負担軽減のための小学校高学年における教科担任制の在り方
  2. 教員業務支援員などの支援スタッフの配置の在り方

3. 教師の時間外在校等時間の上限を定めている指針とは?

2020年に文科省が示した指針では、教員の時間外勤務について、「1ヵ月の時間外勤務は45時間以内」「1年間の時間外勤務は360時間以内」と定め、各自治体の条例や規則に反映するよう求めています。しかし、2023年2月時点では、条例等に反映する見通しが立っていない自治体も存在します。条例の整備は都道府県の10.6%(5自治体)、規則の整備は都道府県の2.1%(1自治体)、市区町村の21.9%(379自治体)が見通しが立っていません。文科省はこれらの自治体に対し、2023年度中に条例や規則への反映を行うよう強く求めています。

4. 学校・教師が担う業務の適正化

教員1人当たりの授業に係る負担の軽減を実効的に図ることが求められています。これは政府の「規制改革推進会議」でも取り上げられており、教員の授業時間が一貫して増加していることが問題視されています。

検討項目としては、

  1. 教員1人当たりの授業に係る負担の軽減
  2. 教員免許を持たない者が行える業務の明確化などにより、これまで教員が担ってきた業務を支援スタッフなど教員以外の者が担えるようにすること
  3. 授業や学習指導・生徒指導などの教師が本来担うべき業務に集中することのできる環境を構築すること

などが挙げられています。

※出典:第16回規制改革推進会議資料 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/230601/230601minutes.pdf

学校の働き方改革に関する3分類は以下の通りです。

  1. 基本的には学校以外が担うべき業務: 登下校に関する対応、学校徴収金の徴収・管理
  2. 学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務: 調査・統計等への回答等、部活動
  3. 教師の業務だが、負担軽減が可能な業務: 授業準備、学習評価や成績処理、進路指導

5. 教職調整額の見直し

教職調整額を現行の4%から「少なくとも10%以上に増額」する方針が示されました。これは、給特法制定時に当時の時間外勤務時間であった8時間に対して4%と算定されていた背景を踏まえたものです。

その他、「管理職手当の改善(管理職に優れた人材を確保するため)」「学級担任手当の創設(学級担任の職務の重要性を考慮)」「主任手当の改善・拡充」なども検討されています。

平均の時間外在校等時間が月20時間程度となることを目指しており、そのためには、まず、「全ての教師の時間外在校等時間を月45時間以内とすること」。そのために、「教員以外の学校に関わる人材を増やす」といった施策が重要となります。教職調整額の10%という数字は、月20時間程度の時間外勤務時間を根拠としています。

6. まとめ

骨太の方針では、「学校の働き方改革」に関わるポイントとして、

  1. 時間外労働時間の上限の厳守
  2. 学校・教員の業務の見直し
  3. 外部人材の活用
  4. 教職調整額の見直し

が挙げられ、学校に関わる人手を増やすことが必須であることが示されています。

原案には、「社会全体の理解を通じて慣習にとらわれない業務の適正化」とあります。今まで子どもに関することは取りあえず学校へ連絡・相談・解決を求めていたような考え方も、今後は見直す必要が出てくるでしょう。

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