教員採用試験で押さえたい用語“ウェルビーイング”

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2023.06.20

今回は、これからの教育のキーワードとなる「ウェルビーイング」とはどんな意味なのか、教育振興基本計画に沿ってお話しします。

1. 教育振興基本計画とは

教育振興基本計画は、教育基本法第17条で定められた、政府が教育の発展のために立てる計画です。5年に一度の中期計画で、数値目標や成果を定めて、政策の効果を測定できるようになっています。社会情勢など教育を取り巻く事情も踏まえ、子どもの実情や、前期計画期間中の評価に基づく改善点などをもとに策定されます。

2008年に第1期計画が策定され、2013年には第2期計画、2018年には第3期計画が策定されました。

2. ウェルビーイングとは

教育振興基本計画にコンセプトとして“日本社会に根差したウェルビーイングの向上”が挙げられています。

いわゆる幸せを表す言葉で、WHO(世界保健機関)では、

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.)

身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念です。

また、多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、個人を取り巻く場や地域、社会が幸せや豊かさを感じられる良い状態にあることも含む包括的な概念です。

京都大学の内田由紀子氏によれば、happinessとWell-beingは

  • happiness = より短期的で個人的な状況評価・感情状態
  • Well-being = より包括的で、個人のみならず個人を取り巻く「場」が持続的によい状態であること

と区別されています。

3. なぜウェルビーイングが求められるのか

きっかけはOECD(経済協力開発機構)で、GDP(国内総生産)のみを指標とすることが適切なのかという疑問が出たことです。 2008年にこの課題を検討する委員会が作られ、ノーベル経済学賞受賞者が多数加わり、厚生経済学の知見をもとに、多元的指標から測定されるウェルビーイングが提案されました。

2011年にOECDが、創立50周年を機とするパラダイム転換と称してウェルビーイング追求を宣言しました。

経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える考え方が重視されてきています。

4. 日本発ウェルビーイングとは

日本発・日本社会に根差した「調和と協調(Balance and Harmony)」に基づくウェルビーイングを世界に向けて発信しています。日本発ウェルビーイングでは、日本の社会・文化的背景を踏まえ、「自己肯定感や自己実現などの獲得的な要素」「人とのつながりや利他性、社会貢献意識などの協調的な要素を調和的・一体的に育む協調的要素」を一体的に向上させることが重要としています。

国際調査では、自己肯定感や自己実現が高いと人生の幸福をもたらすとの考え方が強い時があり、その場合、日本の結果が悪くなることがあります。人とのつながりや、社会貢献意識などの協調的な要素は、日本の調査結果は悪くなく、また日本では重要だと考えています。このような背景が日本発ウェルビーイングにはあるようです。

5. まとめ

ウェルビーイングはこれからの教育のコンセプトとなる重要な言葉です。一般的なウェルビーイングと日本発のウェルビーイング、どちらも押さえてほしいです。教育振興基本計画では、「子どもたちのウェルビーイングを高めるためには、教師のウェルビーイングを確保することが必要であり、学校が教師のウェルビーイングを高める場となる」と述べています。

参考

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