セミナーレポート

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2018.09.21

2018年7月29日開催 専任教諭を目指す方への選考突破セミナー

平成30年7月29日(日)AM開催
教員人材センター セミナー

講師・学校紹介

神奈川学園中学校・高等学校(以後 神奈川学園)
本校は神奈川県横浜市にあります。横浜駅から歩いて10分、中高一貫の女子高です。各学年は5クラスで、中高合わせて1150人の生徒が在籍しています。教職員116名、事務職員も含めて、専任78名非常勤が38名です。
本校が大事にしていることは、自立した女性を育てるということです。生きる力と判断力を大事にしています。もう一つの特色は、宗教がないことです。社会に出て人と出会うことを大切にしています。中3では海外研修に行きます。今はオーストラリアとニュージーランドです。そして高校1年生の国内研修では、5方面から選択し、1年間事前学習を行い、現地でいろいろな方との交流を深めます。生きる目標を見付ければ子どもは勉強を頑張るものです。そのモチベーションを持たせることを大事にしている学校です。
神奈川学園中学校・高等学校 HP

千葉日本大学第一中学校・高等学校(以後 千葉日大)
本校は日本大学の付属校です。付属校には「正付属」、「準付属」、「特別付属」という種類がありまが、正付属は大学が設置した付属高校です。「特別付属」は戦前は正付属であったが戦後独立して別法人となった学校で、日大一、日大二、日大三があり、本校は日大一高と同じ学園のため「特別付属」となっています。また、地名が先に来る「準付属」は日本大学と提携している学校です。
津田沼駅よりバスで20分ほどのところにあります。
開校当時は男子校でしたが、平成10年より共学化しました。中学から入学した生徒達は、5~6割が日本大学へ進学し、それ以外の2~3割が国公立・早慶上理・GMARCHへ進学します。現役進学率が高いです。高校から入学した生徒達は、部活もがんばり、日本大学へ進学する生徒が多いです。
千葉日本大学第一中学校・高等学校 HP

明治大学付属中野八王子中学高等学校(以後 明中八王子)
本校は中野学園という学校法人によって設置されました。兄弟校に中野校があり、中野校の方が有名です。八王子の駅から20分ほど、拝島駅からバスで25分ほどのところにあり、自然が豊かです。
東京には明治大学の付属が3校あります。本校はそのうちの一校で準付属校です。本校の卒業生は明治大学に8割強進学します。中学から入学した生徒の中には国公立や早慶上智等へも進学を目指す生徒もいます。3年前から教員採用の説明会も実施しています。学生さんでしたら4年生だけでなく、3年生にも来てもらいたいですね。5月の上旬から中旬にかけて行っています。そこで学校の良いところや悪いところも知ってもらいたいです。
明治大学付属中野八王子中学高等学校 HP

=パネルトーク開始=
― 提出書類は自身の「経験してきたこと」を「文字」を通してやり取りするもの。


神奈川学園
本校は、基本的に応募された方全員とお会いします。多い時には50名の方が応募されます。そこから3、4名に絞ります。
そのために中心として見させていただくものの一つは履歴書です。履歴書の中に書いて頂きたいのは、教育にかかわる経験。塾や家庭教師の経験を書いて頂きたいです。ご自身がどういう経験されて、その中でなぜ教員を目指しているのか、それを見たいと考えています。
書類については参考扱いです。ただ、印象については丁寧に書いてあるかどうかは気になります。鉛筆の下書きを消してない、写真を丁寧に貼ってない、こういう履歴書は印象が悪いですね。同じ能力の2名のうち、1名を選ばなければならない場合、丁寧な書類を提出頂いた方を選びます。そこにきちんと向き合っているかどうか、人柄が表れると思います。

千葉日大
採用選考は4次まであります。1次から点数化しています。最初の筆記で点数を取れないと難しいですね。
最終面接は校長、理事長が行います。結構圧迫されます。
提出書類は履歴書、免許状、大学の成績証明書、英語については公正な資格として、TOIEC、TOEFLのスコアも提出頂きます。
履歴書には、自分がしてきたことを書いていただきたいです。部活動、委員会も含めてです。
字の上手い下手で落とすことはありません。

明中八王子
採用は、専任と講師の採用を別々に行っています。専任は4月には募集要項を各大学、私学協会に通知しています。
提出書類は履歴書、教員免許状、成績証明書、卒業証明書、教科別のエントリーシートです。
書類で選抜をする場合があります。提出書類に不備がある場合は書類の段階で落とします。また、履歴書の字が雑な場合は落とすことがあります。教員の仕事は、文字で子どもとやり取りをすることもあるので、その気持ちが伝わるかどうかも大切です。

 

― 面接では「なぜ学校の先生になりたいのか」を伝え、「一緒に働きたい」と思ってもらうことが大切。


明中八王子
選考は「一緒に働く仲間」を探しているわけで、選考者が一緒に働きたいと思うかがポイントです。
まずは教科で面接をします。教科によって異なりますが、英語科は少人数にクラスを分けて、2名の先生が同時に同じ授業を行います。自分の思いや考え方を持ちつつ、チームで授業展開ができる協調性がある方を特に求めています。
管理職面接になると、学校全体の人事上のバランスを考慮します。中高のバランス、男女のバランス、教科の年齢構成等です。また保護者との関わり方をどう考えているかも確認します。就業規則を理解してもらうこと確認します。本校は業務として講習や、部活顧問はやって頂くことになるので、決して休みが多いとは言えません。その点も理解しているかは確認します。加えて、公立採用試験、他私立校、企業の就職状況の確認をします。「うちで採用が決まったらどのように考えますか?」など、どのような優先順位で就職を考えているかも聞きます。
なぜ学校の先生になりたいのかも聞きます。子どもに勉強だけ教えたいなら「塾の先生でいいでしょ、予備校の先生でいいでしょ、なぜわざわざブラックと言われる学校の先生になりたいの?」といった感じで。また「あなたがうちに勤めると、本校にはどんなメリットがありますか」と聞くこともあります。学校は先生方のやる気によってガラッと変わります。若い先生が意欲をもって学校業務に取り組むと学校は変わります。そういった意欲等も面接で見るようにしています。

千葉日大
面接と模擬授業を一緒に行います。面接官は校長と事務長です。事務長は給与など条件について、校長は人柄について質問します。必ず聞くのは、その教科が苦手な生徒にどう声かけをするかです。あとは、部活の経験、公立や他校の採用選考の状況も聞きます。ストレスをどう解消しているかも聞きます。良い先生でも、過去にストレスに耐えられず退職されてしまった方もいたためです。
専任の方の面接のポイントは一緒に働きたいかどうかです。長く働いてもらうので、転職を繰り返しているかたはちょっと心配ですね。もちろん、若い方が講師で1年ごとに勤務校が変わっているのは大丈夫です。
最後の理事面接のポイントは、はきはき話すことです。基本的に理事とはその場でしか会いません。過去に、「最後に残った2名、どちらともほしい」と思ったことがありましたが、最終的に決まった方は、理事面接での声の大きさで決まりました。そういうこともありますので、話し方も大切です。
他のポイントでは、廊下での挨拶、遅刻の際の連絡があるかどうかは重要ですね。遅刻の際の連絡がない方はまず採用しません。

神奈川学園
面接は教科の面接、理事の面接を兼ねています。本校の場合は模擬授業の後に行います。
最初は教科からの質問です。その中で聞くのは、教育での経験、部活動の経験、頑張ったこと、できない子にどう対応するかなどです。
1次で小論文を課し、教育観を聞いています。こういうトラブルがありました、あなたはどう対応しますか、と具体的に書いてもらっていますが、それを面接で掘り下げて聞きます。もちろん他校、公立の選考状況なども聞きます。専任の方の面接では、なぜ他校ではなく、本校なのかは聞いています。学校のことはもちろん知って頂きたいですが、HPでとってつけたことを聞きたいわけではありません。
「自分でこんなことがやりたくて、それと本校の理念が合うから」と言った、他校ではなく本校を選ぶ理由を聞きたいですね。

 

― 教員を目指す方へ


神奈川学園
若い方の力が、学校を変えていくと考えています。今教育現場が大変、ブラックと言われていますが、生徒の変わる瞬間に立ち会えるのは、時間に代えられない喜びだと思います。まずは教育現場でどういう力を発揮したいか、みなさんそれぞれがもって頂き、現場で発揮して頂きたいと思います。

千葉日大
教員の仕事は、長いスパンで考えることになると思っています。授業にしろ、担任にしろ、分掌にしろ、長いスパンで考えることを楽しめる方と、ぜひ一緒に働きたいと思います。及川先生が仰っていましたが、生徒と向き合うことが大切です。色々と大変なことがありますが、今の気持ちを大事にしていってほしいと思います。

明中八王子
学校説明会に来ている生徒、保護者の方を見ていると、3年もしくは6年通う学校を選ぶために、ものすごく情報を集めています。一方で、先生方は40年以上務める学校についてどれだけ情報を集めているか、そして学校は先生方にどれだけ情報を提供しているか考えてほしいところです。40年以上勤めることになるわけですから、専任になるためには、自分で学校を選ぶくらいの意識をもってほしいと思います。先生向けの説明会がなかったら生徒向けの説明会に行ってみるのもよいと思います。僕は体育教師ですが、広くてきれいなグラウンドでサッカーを教えたい、という希望があるのに、サッカー部のない学校を選んではいけないですよね。受験生の子どもたちにも言っていますが、入りたい部活がその学校にあるかちゃんと確認してほしいと。
講師の先生は勤めている学校の内部状況を知ることができます。本校の講師の先生を見ていると、ものすごく遠慮している気がします。昔、本校の講師の先生が、「この部活を指導したい、本校に勤めたい」と強い思いを持っていた先生がいますが、教科の先生達と積極的に関わり合うことをしなかったため、専任募集をするときに教科の先生方が「この先生を取りたい」と思わないことがありました。せっかく講師として勤めることができているなら、積極的に教科の先生と関わり、授業見学に行き、授業を見てもらい、常に自己研鑚をしてもらいたいと思います。特に専任になりたいと思える学校ならなおさらです。 今教員希望者が少なくなっていますが、日本の未来を担う子どもを育てるという教員という職業は素晴らしい仕事です。