セミナーレポート

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2018.11.21

2018年9月9日開催 ICT先端校に聴く!効果的なICT活用法!セミナー(日本大学高等学校・中学校)

平成30年9月9日(日)開催
教員人材センター セミナー

講師・学校紹介


田中 忠司 先生
日本大学高等学校・中学校 教務副主任

「これからの教育を知ろう!授業でICTはどのように使われている?」

教員になって今年で18年目になります。非常勤講師も経験しており、専任になってからは15年です。現任校では4年目です。元は日本大学の別の高校で専任勤務していました。 教員免許は中高の英語ですが、公民と情報も取得しています。この夏に通信教育で小学校の2種免許の単位を取り、これから申請します。
本日は市ヶ谷に着いてから、書店に寄ってここに来たのですが、英語の先生だからと言って英語の本や英語教育に関する本しか読まない訳ではなく、色々なものに手を出しています。

本校は神奈川県横浜市にある学校で、最寄駅は日吉です。駅からは徒歩10分くらいです。 ちょうど綱島駅周辺や武蔵小杉、新川崎などの再開発が進んでいるおかげで人口が非常に増えており、本校の隣では横浜市立の小学校が新規建設中で、人がとにかく集まっています。ある意味、恵まれているのかな、と思います。
生徒数は2200名で、川崎市と横浜市からの生徒が70%を占めています。教員数は170名で、半分が非常勤です。
日本大学の内部進学率は約55%ですが、日本大学については、選ばなければ100%行くことができます。残りの生徒はもちろん他の大学に進学しています。
教育目標は「情熱と真心」「自覚と責任」ではありますが、より分かりやすく「常に高みを目指そう」という意味で「Aiming high」という教育のスローガンを定めています。
日本大学高等学校・中学校 HP

「ICT」は「いつも」「ちょっと」「トラブル/使える」

 
本校では、1人1台iPadを持っています。これは、生徒もそうですし、非常勤講師の先生もそうです。また、各教室にプロジェクターを置いて、太陽光が入らないよう遮光カーテンを付けています。この夏の間に無線LANの工事を行い、LTE回線でも無線LANでもインターネットに繋げられるようにしました。
日本大学がOffice 365とG Suite for education(Googleのサービス)の包括契約をしているため、生徒・(非常勤講師を含めた)教職員全員が無料で利用できます。それから、教科書はもちろん紙のものも使っています。ノートもありますし、紙の副教材も買っています。電子辞書の購入は自由ですが、購買部で販売しています。
授業は、50分間iPadを使い続けるようなものはありません。また、50分間話し続けるものも一切なく、どの教科でも必ず作業や活動を入れるようにしており、その内容によってiPadを使う使わないを判断しています。
ICTを使うことを目的とはしていません。あくまでも「活用」です。どうやってそれを上手く活用してより充実した授業を作るかを、先生方がよく考えていかなければならないと思います。 私が尊敬する先生がよくおっしゃっているのが、「ICT」は「いつも」「ちょっと」「トラブル/使える」の略だということです。ICTだけで全て完結するということは絶対にあり得ません。

三つの「ない」

 
私は現在中学校1年生を指導しています。
50分間ずっと話し続ける授業はしたくないと考えています。目指す授業は「生徒一人ひとりが頭と心で楽しむ授業」です。ただ、楽しむだけではいけないので、バランスを考えて授業を設計する必要があります。
その中でどんな力をつけてほしいかですが、まずは「知的好奇心」。それから「表現力」。「発信力」。これは意外と苦手な生徒が多いです。そして「協働」。どうしても1人でやりたがる生徒は多いので、必ずグループを組ませます。それから、卒業した後のことを考えると、やはり自分で勉強できる力をつけてあげないといけないと思っています。そのために、三つの「ない」に気を付けています。それは、「教え込まない」「与えすぎない」「先回りしない」ということです。
学校で使用しているアプリというものもあるのですが、汎用性のあるものを基本的には使うようにしています。例えば、OfficeやKeynoteなど。よく使っているのはロイロノートでしょうか。他校を見渡してみても、ロイロノートかMetaMoJi Noteが多いかなと思います。他にはKahoot!やQuizlet、iMovie、Classiなどを使っています。

“MetaMoJi Note”
http://product.metamoji.com/ja/anytime/

“Kahoot!”
https://kahoot.it/

“Quizlet”
https://quizlet.com/ja
 

実際の授業では


実際の授業では、PowerPointで資料を作り、pdf形式に変換したファイルをクラウドに載せて、ロイロノートで映しているということになります。中学校1年生なのでそこまでのことはしていませんが、毎回ウォームアップとして5分ほど、曜日や月日などの英語を生徒に発音させる時間を作っています。
時々小テストを挟むことで、ただ言えるようにするだけではなく書けるようにもしてあげます。特に今年の1年生は書くことが苦手なので、書く習慣をつけさせてあげることが大事だと感じています。
今のところ、授業では2コマで1つのPartを実施します。中学校の場合は高校と違って使用する文章が短いので、やろうと思えば1回で終わらせられてしまいますが、それでは意味がないので2回に分けて行っています。なお、1コマ目は内容把握、2コマ目は表現活動といったように、文章の内容ではなく活動内容で授業を分けています。
 

授業準備では目標設定が必要


目標設定が必要です。1年後にどういった力をつけていてほしいのかを考えて、授業設計をしています。先ほど目指す授業の話をさせて頂きましたが、生徒に自分で勉強する力をつけてあげられるように目標設定をしています。そのために何をすればいいのかを、次に考えます。
授業は1コマ50分しかないので、その中でできることを絞る必要があります。そして、それを実現するために教具(スライド、配布資料、ロイロノートの提出箱など)を作成する必要があります。紙ベースの資料はそれほど作らず、教科書データをフルに活用しています。