セミナーレポート

一覧へ戻る
2014.10.26

私立と公立何が違うの?~元都立中高一貫校校長(現私立中高一貫校校長)から伺う私立学校の特徴・前半~

平成26年10月26日(日)開催
教員人材センター キャリアビスタセミナー

=パネルトーク開始=
― 公立学校のご経歴を中心に自己紹介をお願いします。

白梅学園清修中学校(中高一貫部)
校長 須藤 勝 先生(以下 須藤先生(白梅))

白梅学園清修中学校(中高一貫部)HP

35年間公立学校で勤務していました。初めは小中の行政職、その後都立高校で教員として17年、教頭(3年)、校長(10年)勤めました。都立練馬、小平西、新島で国語科教師として勤務し、大泉高校で全日制教頭の後、深沢高校で校長となり、三田、都立大付属、桜修館中等教育学校に校長として勤務し、4年前に定年退職し、1年間嘱託勤務後現職に就き、今日に至っております。

文教大学付属中学・高等学校
校長 星野 喜代美 先生(以下 星野先生(文教))

文教大学付属中学・高等学校 HP

初めから高校に教員として勤務しました。基本的に公立はいろいろな学校に配属されます。最初は定時制高校に勤務しました。新しくできた学校にも勤務し、学校を創るということでは大変勉強になりました。その後、改革推進校の校長を3年間努め、東京都の教育委員会を経て、白鷗高校・附属中学校で校長として3年間勤務しました。

― 私立学校のご経歴をお願いします。

須藤先生(白梅)

桜修館からいきなり私立学校に行くのは天下りみたいで嫌でしたので、1年間非常勤(嘱託)として都立校で働いた後に現在の白梅にきました。始めは「私立」かつ「女子校」に慣れずに苦労しましたが、公立教員の資質の1つである適応力のおかげか徐々に慣れてきました。創立9年目の新しい学校のため、古くからいる怖い先生もいなく20代、30代の若い先生が多い環境でした。そのため校長業務を円滑に進めることができました。公立の場合は教育委員会等が決める教育方針等に従うことになるが、私立は教育については任せてくれます。お金のこと以外理事会は口を挟みません。

星野先生(文教)

私は改革畑一本槍で、夢は60歳過ぎたら好きなことをすることでした。白鷗で勤務していた頃から文教から声がかかっていましたが、文教には引退したいから行けないと言っていました。ただ都立は制約が多いが私立ならやりたいことを試せるのではないかと思い、悩みに悩みました。悩んだ末、2年早く東京都を辞めて、文教は65歳が定年ですので65歳まで頑張ろう、雇われたからには思い通りにさせてもらいますと約束して入りました。今は子どもをよくするために学校を変えている段階です。先生方は理解し協力してくれています。順調に学校は変わってきています。次の人につなげるよう今頑張っています。

― 教員の仕事内容の違いについて伺います。

須藤先生(白梅)

本校には部活がありません。エリアコラボレーションという地域の専門家が指導してくれる活動が部活動の代わりにあり、いろいろなメニューを用意しています。教員は放課後の補講やマンツーマン指導、生徒の相談を受けるなどするので、この活動には加わりません。授業後に生徒対応をしてくれる非常勤講師の方も先生もいます。常勤講師は専任教諭と同じ仕事をやっています。でも非常勤も常勤も専任も生徒にとっては同じ先生です。その意識をもって指導にあたってくれています。

星野先生(文教)

全員で入試広報にあたらなければならない、入試問題自体も自分達で作るところが公立と大きく違うところです。私立は自校で売りを作っていかなければなりません。決めるのも早くすぐに実行することもできます。例えば国際交流部では、中長期の留学を考え、オーストラリアの教育省と連携して、半年で指導体制を完成させました。さらに、TOEFLの指導を自分たちでやれないかと取り組んでいます。また私立は部活動が強いです。部活も手を抜きません。ソングリーディング部が全国一位ですが、どんなに強い部活でも16時から18時には終わります。その道に精通している方が指導をしているため指導力が違います。

全体的に教員はよくやっていると思います。外部業者と連携しつつ学習指導もしていますが、その指示は教員がしています。都立はやる人はやるけどやらない人はやらない、やらなくても給料がもらえますので。私立は皆で分担してやっています。

― 生徒・保護者の雰囲気の違いについて伺います。

須藤先生(白梅)

全ての私立に該当はしませんが、都立の場合には学力に応じて身なりが乱れている子もいますが、私立の場合にはオール0点の子(そんな子はいないが)でも品格は保たれていて、きちんとしています。一定の経済力のある家庭のお子さんということもあるかもしれませんが、学校に対するプライドを教員以上に生徒が持っているように感じます。例えば、本校ではロッカーに鍵をかけません。校内で物が無くなったとしても、ロッカーにカギをかけるというルールが増えることを望む生徒はいません。そのようなルールをつくらないよう生徒自身が考えます。「カギをかけないこと」もプライドの一つの表れです。

少人数の学校でおっとりした生徒も多いですが、国立を目指す生徒もいるので、個別に細かく、丁寧に生徒に対応しています。しかし大学に入るまでには、自主性・主体性をもてるよう最後の仕上げはきちんとしています。

星野先生(文教)

学校によっても違うと思いますが、保護者が私立に通わせるだけのゆとりがあるので、温厚でのんびりしている生徒が多いのかなと思います。公立中高一貫校も私立の雰囲気に似ています。欲も無くのんびりした外見的に良い子が多く、言うことを聞かない子はどこにでもいますが、言っただけで従う生徒が多いです。家庭環境の良さだと思います。

私立はお金を頂いているので、保護者も比較的口を出してくる人も多いようです。もちろん学校の対応も早いです。本校では生徒から要望が出ることはあまりありません。保護者が生徒に指示を出している家庭が多いです。公立は親があまり子にかまわないためか自主性のある生徒が多い印象がします

後半に続きます