セミナーレポート

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2019.11.01

2019年10月6日開催 全ての教科がつながるSTEM教育を体験しよう!

2019年10月6日(日)開催
教員人材センター セミナー

講師・学校紹介


中島 遼 先生
駒込中学・高等学校
理系先進コース主任・理科教諭

全ての教科がつながるSTEM教育を体験しよう!
※ワークショップ中心のセミナーのため、中島先生の説明部分のみレポートにしています。

<講師自己紹介>
私は埼玉県と東京都の私立の高校で勤めた後、ご縁があり駒込学園に入職し、今年で4年目になります。
教員としては11年目です。修学旅行で海外に行くとガイドさんなどに高校生と間違われます。文化祭などでクラスTシャツを着ていると、「気付きません」とよく保護者の方からも言われます。

<駒込中学・高等学校のSTEM教育>
理系先進コースは様々なところから取材や訪問者が絶えません。朝日新聞からも取材を受けて、6月15日に記事が掲載されました。他にも経済産業省の方や企業の方、色々な高校の先生が訪問されます。遠い所だとスリランカから来る方もいます。

「人生100年時代」「ダイバーシティ(多様性)」などが現代のキーワードな気がします。その「多様性」というものには色々とあるかと思います。例えば、「性別」「障がい」「年齢」「人種」「国籍」などです。
それなら、これからの教育も多様化して良いのではないかと考えました。
私には1歳と4歳の息子がいますが、息子たちが高校生になった時に、今の駒込や、皆さんが勤めている学校が果たして存在しているのかとよく思うのです。
日本で1番生徒数の多い学校をご存知ですか?実は通信制のN高等学校に、10,000人ほどの生徒がいます。通信制の高校が日本で今最も生徒数が多い、というのが現状なのです。ということは、やはり学び方も変わっているのかもしれません。
最近よく考えるのですが、例えば私の息子が高校生になる頃には、私はキャンプ場でバーベキューをしながらオンライン授業をしているかもしれない。教え方も学び方も、多様性が生まれてくるのではないかと私は感じています。
経済産業省では「学びのSTEAM化」「学びの自立化・個別最適化」※を柱に方針を打ち出していて、やはり学び方はこれから変わってくるのではないかと思います。

私なりに今後社会に求められる人材を図にしてみました。



私の定義では、「得点力」とは「答えのある問いに取り組む力」です。「答えのない問いにどう取り組むか」というのが「研究力」の軸だと思ってください。
昔はきっと、答えのある問題でも良かったのだと思いますが、図の「得点力」と「研究力」の優先順位はこれから切り替わってくるのではないでしょうか。図のように縦軸・横軸に綺麗には分かれないかもしれませんが、重視するものは少しずつ変わってくるのではないかと思います。
1番は変わらないですよね。勉強もできて、研究もできた方が良いというのは変わりません。しかし2番と3番の優先順位は非常に重要になってきます。そこで、「問題解決する力」について考えましょう、ということで、駒込では「STEM教育」というものに取り組んでいます。

STEM教育を行う際に、意識していることは3つです。
①教科横断・合教科
②生活の関わりの中
③問題を発見し、解決すること

日頃の生活の中で、不自由することが多々あるかと思います。それを自分たちで発見し、解決するということを日頃の授業を通じて行います。
問題を発見し、解決法を出し、それを振り返るというプロセスをたくさん踏んでいきますが、解決する方法はたくさんあった方が良いですよね。
ニールス・ボーア※という科学者は、気圧計を使ってビルの高さを測る試験で、様々な方法をやってみせました。彼は天才なので様々な方法をぱっと思い付いたのかもしれませんが、色々な解決策を次々に出せる、その力がとても大事になってくるのかな、と思います。
理系先進コースでつけたい力は、「問題解決力」と「探究力」です。この2つの力は以下のような力だと考えています。

問題解決力
・問題を発見する力
・複数の解決法を思考する力
・実装する力

探求力
・「なぜ」を追求
・作り続け、変わり続ける心

もっとシンプルに言えば、「答えのない問題にどう取り組むか」ということです。 答えのある問題ももちろん扱いますが、「では別解はどうなっているのか」と考えます。
最初のうちは方法が1通りでも、習っているうちに解法が2通り3通りと出てくるようになります。
学校で行っているSTEM教育の授業をご紹介します。1番のメインになるSTEMの授業では、例えばレゴブロックをスクラッチで制御して、自動ドアを作ったりしています。自動ドアにも種類が色々とありますよね。1枚の扉のものもあれば、2枚の扉が左右に開くもの、観音扉や回転するものもあります。どういうものを使えば良いのかは場所によって変わります。例えば、電車のドアが観音扉になっていたら、確実に事故が起こりますよね。「どこで何を使うのか」ということも考えていきます。
初めは答えのある問題を扱いますが、最後には答えのない問題に取り組みます。先日、高校3年生の発表がありました。その際、成田空港と関西国際空港の空港内の移動時間(距離)の短縮をテーマにし、仕組みをレゴで実装し、検証結果等発表する生徒がいました。

また国内・海外のキャンプを通しても学んでいます。1年生の時は全員が、2年生になると希望者が海外に行くことになっています。先日は香港の深圳に行ってワークショップを行ったり、企業を訪問したりしてきました。例えば、画像加工アプリの「SNOW」や「ホンダセンシング」の技術提供をしている会社に行ったり、STEM教育の機材を作っている会社に行ったりしています。

本校でつけたい力は「問題解決力」や「探究力」です。
理系先進コースはできて3年目で、今もアップデートを続けています。私たちも発展途上であることは自覚しているので、今回得たものを通して、より良い授業や取り組みを提供できたらと考えています。

※経済産業省「未来の教室~未来の教室ってなに?」
https://www.learning-innovation.go.jp/about/

※ニールス・ボーア(1885年10月7日~1962年11月18日):デンマークの理論物理学者

セミナーでのご質問とご回答

質問:知らないだけで実際は答えがあるのに、生徒たちが考え込んでしまうような場面はありますか?

回答
あります。そういう時は、検索しなさいと言い、はじめから答えを教えることはなるべくしません。
例えば論文などがあります。高校生が読むのは難しいかもしれませんが、このような情報があると調べ方等は伝えています。
もしかすると駒込の教員が知らないだけで、社会では答えが出ているという問題もあるかもしれません。そのため私自身も常に学ぶ姿勢を忘れないようにしています。

質問:中島先生が考える「生きる力」とは?

回答
難しい質問ですが、一番重要な力は判断力だと思います。時代の変化に対応するためには、変化に適応する力が必要です。そのためには、今の自分が何をすべきなのか?を常に判断して行動に移すことが大切です。そのため私の中では、生きる力=判断力というのがしっくりきます。そして、この判断力はどの時代においても普遍的であり、STEM教育で十分に養うことができると考えています。

駒込中学・高等学校 HP