学校勤務の基礎知識

学校には「公立学校」の他に「私立学校」があり、1都3県だけでも約450校もあるため、就職先として私立学校に目を向けないのはもったいないことと言えます。本格的に就職・転職活動をスタートする前に、まずは私立学校と公立学校の違いを知り、目指す働き方や希望する勤務環境から私立・公立のどちらがよりご自身に向いているかを考えましょう。

公立、私立、それぞれの学校数の割合は都道府県によってさまざま。例えば東京都では約430校ある高校の約55%(234校)が私立学校です。

公立学校

設立者
  • 地方公共団体(公立学校の場合)
  • 国(国立学校の場合)
学校の種類
  • 中学校
  • 高等学校
  • 中高一貫教育校
    (中等教育学校を含む)〈原則共学校 ※1
教育内容

教育内容や方針は教育委員会が統括しており、
その方針に従って各校の教育内容が決められる。

採用について
  • 各都県の教員採用試験
  • 各都県の教育委員会の講師登録 ※4

私立学校

設立者
  • 教育的な理念をもった個人または団体
学校の種類

公立学校と同様の種類に加え

  • 男子校、女子校、男女別学校 ※2
  • 大学付属校 ※3
  • ミッション系、仏教系などの宗教教育校
教育内容

設立者(創立者)の建学の精神に基づき、
独自の教育内容を各校で実施している。

採用について
  • 各学校がそれぞれ募集・採用
  • 各都県の私立中学高等学校協会の履歴書委託ならびに適性検査
  • 1 一部の県では男子校・女子校があります。
  • 2 男女別学校は共学校と同様に、男女が通学しますが、授業は男・女別で行い、行事は男女共同で行う形の学校です。
  • 3一部国立大学の付属校もありますが、付属の大学に進学できる、いわゆるエスカレーターではありません。付属校に進学できる仕組みがあるのは私立学校のみです。
  • 4 各都県で名称が異なります。
  1. 建学の精神と特色教育 公立学校の教育方針や教育内容は教育委員会によって統轄されており、その教育は画一的にならざるを得ません。私立学校は創立者の建学の精神を基に独自性を発揮し特色ある教育を実践しています。
  2. 小学校~大学の一貫教育 私立学校の多くは、中学校と高等学校を併設しています。なかには幼稚園から大学までを併設して一貫教育を目指す総合学園もあります。
  3. 共学と男女別学の教育 私立学校には共学校のほかに男女別学の学校があります。特に東京は中学校約17%が男子校、約39%が女子校、高校(全日制)では男子校が約14.5%、女子校が約36.3%を占めています。
  4. 宗教教育 私立学校には宗教教育、宗教活動への制約がなく、自由な宗教教育が行われています。キリスト教(旧教、新教)、仏教、神道など宗教的な雰囲気のもと生徒指導や各行事等を行っています。
  5. 授業時間数 公立学校も土曜授業の再開が検討されておりますが、中高一貫の私立学校の授業時間数は公立学校の約1.5倍といわれています。
  6. まとまった生徒層 各私立学校には、それぞれの建学の精神のもと、多彩な校風があります。それらの校風に魅力を感じ、入学試験に合格した生徒が集まります。
  7. 広範囲の通学区域 公立学校では原則的に学区制が制定されていますが、私立学校では学区制はありません。生徒は様々な地域から通学しています。

授業について

教員の最も大切な仕事は授業です。
私立では公立よりも授業時間数が多く、特に主要5教科は授業の進度が速くなります。また各学校それぞれ特徴あるシラバスを作成しており、そのシラバスを基に授業が行われています。
「授業が分かりやすい先生の話は生徒もよく聴く」と言われており、“どのように授業を行うか”は教員になったら常に考えることになります。

生活指導について

授業とともに教員は常に意識しています。
私立学校では男子校・女子校・共学校・宗教系学校それぞれ学力以外の面でも“どのような生徒に育てたいか”が教育理念等に表れています。
その理念が挨拶の仕方や服装、行事の進行、学校によっては特別な授業(礼法や宗教)に反映されています。
勤務している教員はこれらを意識しながら、各学校の方針にあった学校生活の態度を指導していきます。

校務分掌について

校務分掌とは学校の運営上必要な業務分担です。名称等は各学校により異なりますが、各組織は○○部、○○課のように呼ばれています。各組織の責任者は「部長」「課長」「主任」等と呼ばれます。
非常勤講師以外の教員は何らかの分掌を担当します(複数担当する場合もあります)。
また各部以外に学年主任・教科主任が設けられます。

校務分掌図

主な担当部署

総務

年間日程調整、式典(入学式・卒業式など)の企画、保護者団体・同窓会との連絡・調整、学校広報紙の作成などを行います。

教務

カリキュラム(教育課程)の検討、時間割の作成、生徒の成績評価の処理、教科書に関する事務処理、定期考査の運営などを行います。

生徒指導(生活指導)

校則などの検討、生徒の校内生活・校外生活上の指導指針の作成、指導、交通安全指導などを行います。

進路指導

進学・就職活動の支援、進学・就職情報の収集や発信、模擬試験・模擬面接の計画・実施などを行います。

保健

保健室の管理、健康・身体に関する調査・発信、身体測定・各種検診の計画・実施、学校医との連絡・調整などを行います。

研修

教職員の研修の計画・実施(教育実習も含む)などを行います。

広報

受験対象者(保護者)等に向けた学校の情報発信、塾等の受験指導を行っている機関への情報発信、各種イベントの企画・実施を行います。

※“広報”は公立学校では設けていない場合もありますが、私立学校ではほぼ全ての学校が設けています。

教員の1日

教員の1日の勤務の様子をご紹介します。私立学校をイメージしておりますが大きな流れは公立も変わりません。

教員の1日

一般的に言われる教員免許状は「普通免許状」といいます。
普通免許状には「専修」、「1種」、「2種」の3種類があり、修士(大学院修了)の方は「専修」を取得でき、学士(大学卒業)の方は「1種」、短期大学士(短期大学等)の方は「2種」を取得できます。
「専修」、「1種」、「2種」と分かれていますが、職務上の違いはほとんどありません。また免許状は「幼稚園」、「小学校」、「中学校」、「高等学校」や各科目が別々にあります。

教員免許取得について

免許状の授与を受けるための教員養成は、大学等で行われており、免許状を取得するもっとも一般的な方法です。
具体的には、大学等において学士の学位等の基礎資格を得るとともに、文部科学大臣が認定した課程において所定の教科及び教職に関する科目の単位を修得することが必要です。

近年中高一貫校等が公立・私立問わず増えており「中学校」・「高等学校」や「小学校」・「中学校」・「高等学校」など複数取得していることが応募の条件に設ける学校が増えてきています。これから取得される方は複数取得することが望ましいです。

教員免許更新について

2009年4月1日から教員免許更新制が導入され、免許の有効期間は10年となりました。

教員採用の基礎知識