セミナーレポート

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2018.10.31

2018年8月8日開催 知っておきたい!教員の働き方とトラブル対応セミナー

平成30年8月8日(水)開催
教員人材センター セミナー

講師・学校紹介


品川エトワール女子高等学校 校長 藤原 秀樹(以下 品川エトワール:藤原先生)
私は山口県出身で、山口県の教員採用試験を受けました。そこで落ちてしまったのですが、 東京は受かりやすいと聞いたため、東京都の採用試験を受け教員になりました。都内で8校勤務しました。教頭職を5年勤めた後、校長になる際に「二十四の瞳」という映画に憧れて僻地の学校へ行きたいと志願したところ、生徒が12名の三宅島の中の学校へ赴任しました。なぜ僻地の校長になれたのかと疑問に思っていたら、元々火山が20年周期で噴火すると言われている島だからでした。着任した年の6月に予想通り噴火しまして、夏過ぎまでは避難所の運営を行っていました。その後、ガスが発生してしまったため東京都の秋川に島の3つの小・中学と高校が避難をして3年間は秋川高校で生徒と共に寮生活をしていました。 公立中学校を退職後、縁があって神奈川県の私立女子高校で勤務をし、現在の品川エトワールへ移りました。

品川エトワール女子高等学校は東京都品川区にある女子高です。最寄りは「大井町」と「青物横丁」です。アクセスが良い為色々なところから生徒が集まってきます。ちょうど私が三宅島に赴任した頃(2000年)に「町田学園女子高等学校」から「品川エトワール女子高等学校」に校名が変更されました。町田学園では小田急線沿いにある町田と被ってしまうということで校名に品川を入れました。教員には、生徒と一緒になって学び、生徒の考えを聴くように教えています
。 特色は4つのコースです。国際キャリアコースは8ヵ国の外国と交流があります。マルチメディア表現コースは、情報の上を行くメディアを目指しています。2020年オリンピックの品川区マスコットキャラクターのデザインにも選ばれています。また、ネイチャースタディーコースも特徴的で、農業を学ぶことが出来ます。昨年できたばかりのコースですが、東京では農業について学べる学校が大変少なく、今後は、自然と生きていくことを考えることが必要となるということで始めました。 「面倒見の良い学校」としての校風を更に高めるため教職員は日々生徒と接しています。
品川エトワール女子高等学校 HP

明治学院中学校明治学院東村山高等学校 副校長 大西 哲也 先生(以下 明治学院東村山:大西先生)
藤原先生は山口県出身でいらっしゃるということでしたが、私は兵庫県の出身です。大学が東京でしたので、そのまま東京で就職をしました。以前は関西弁が抜けなかったのですが、今では関西出身だというと驚かれてしまいます。 大学卒業後は旅行会社に8年間勤めました。旅行の企画や、国内は北海道から沖縄まで、海外は16ヵ国へ行きました。大学時代に教員免許を取得しましたが、そのころはあまりやりたいとは思っておりませんでした。しかし、30歳になった時にこのまま旅行会社に勤めていて良いのかと悩みました。そのころは結婚もして子どもがいたのですが、妻に相談をして旅行会社を退職しました。その後は夜間の大学に通い、日中は採用試験の勉強、午後は大学の授業に勤しんでいました。公立も受けたのですが、自分がクリスチャンということもあり、今の明治学院東村山に勤めました。 入職してからは、英語の教員として中学1年生から高校3年生まで指導しました。明治学院には、5年以上務めた専任教諭に1~1年半、国内外で研修が受けられる制度があるので、それを活用してイギリスの大学院で英語教授法(TESOL)の修士号を取得しました。取得してから、さぁ授業を頑張るぞと意気込んでから3年で現在の管理職になり、授業は持っておりません。少し寂しい想いをしています。

明治学院は、“医療宣教師”“ヘボン式ローマ字”で知られるヘボン先生が1863年に始めた英語塾が起源の学校です。大学が白金、横浜、高校が白金、東村山に中学と高校があります。独立した学校のため、人事交流はありません。 1963年に東村山高等学校が開学し、翌年白金にあった中学校が東村山に移り中高一貫教育となりました。元々は男子校でしたが、1991年より共学になりました。学院全体では「キリスト教による人格教育」という教育理念を掲げていて、東村山は「道徳人・実力人・世界人の育成」を掲げています。
系列の明治学院大学へは40%の生徒が進学をし、60%の生徒は他大学へ進学をします。中学は1学年4クラス、中学全体で約450名、高校は1学年6クラス、高校全体で約750名、全体で約1200名が東村山で学んでいます。キャンパスは広く、のびのびとした生徒が多いです。私としてはミッション系の学校で教えられるのが嬉しいです。ただ、課題は色々あるので、本日はそのことを話したいと思っています。

明治学院中学校明治学院東村山高等学校 HP

品川エトワール:藤原先生が挙げるトラブルの原因になる5つのポイント

 
①授業
1日8時間勤務をするとして、そのうち6時間は授業です。分掌もありますが、先輩と同じようにやるのは授業です。生徒は新しく入ってきた先生を試します。よくわからない先生に対しては生徒が質問をしてきます。あまりに質問が多くて授業が進まなくなり、授業の進度が遅くなります。そうなると他のクラスと進度が違って、定期テストで困ることになります。実際に遅れた時にはベテランの先生が補習でカバーしました。
②教員への伝言忘れ
教員は雑務が多いということに起因します。授業以外にも、掃除や業者に会う等。先輩から、伝達を頼まれることもありますが、そういった時に保護者から電話が入ると、メモをせずに対応をしてしまい、授業から戻ってきたら忘れてしまっていたりします。
③報告・相談の遅れ
最近の先生はグループで行動することが苦手なようです。「どこかへ行こう」と誘っても行かず、会費なども払いたがりません。そうなると人間関係が希薄になってしまい相談をする相手が出来ない場合があります。周りの教員も遠巻きに見ているだけになってしまいます。
④判断や動きが遅い
人間関係がうまくできないことにより、とっさの判断が出来ず行動が遅くなることがあります。 ぼーっと職員室にいるだけになってしまい、どこで何をやっているかわからずにいる。運動会でも、新しい先生は背広で来たりします。背広がいけないわけではありませんが、他の先生はジャージなのに目立ってしまいます。
⑤連絡先の交換
特に男の先生に気を付けて欲しいです。 女子校は若い男性の先生は大変人気があります。よく手紙をもらうことがあります。そこに先生の連絡先を教えてください、LINEを教えてください等と書いてあると、若い男性の先生は悪気なしに送ってしまうのです。悪気がなかったとしても、保護者の耳に入ると学校にクレームが入ります。行動する前にどういう問題が起こる可能性があるのかをよく考えて欲しいです。


明治学院東村山:大西先生が挙げるトラブルの原因になる5つのポイント

 
①教員と生徒との距離感
共学であっても若い先生は非常に人気が出ます。生徒から寄ってきて、最初の1、2回で「先生彼女いるの?」等の質問がきます。そこで一つ一つ答えるのではなく、教師と生徒は一線を引かなければなりません。友人ではなく、教員としての姿勢を持つことが必要です。それをしておかなければ、生徒との関係がなぁなぁになってしまい厳しくしたいと思った時にそうならなくなってしまいます。
②服装
明治学院東村山では、保護者会含め年に5回保護者と接する機会がございます。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとありますが、何かあった時に「あの服装では…」と言われてしまうことがあります。保護者はよく見ていますので、TPOに合った服装を心がけると良いと思います。
②SNS
今の子たちは物心ついた時からスマホを持っていますので、繋がることに抵抗はありませんが、繋がってしまうと難しい問題が出てきてしまいます。そして、その様な教員はいないと思いますが、Twitter等で学校のことを呟く等はやめていただきたいです。
③授業
授業は大切な業務です。進め方が教員によって異なります。ですので、自分の授業で、やってよいことといけないことを明確に生徒たちに伝えることが必要です。例えば、グループにして、盛り上げていくような授業の場合、授業中に話してもよいが、教員が手を上げたら静まる等の約束をきちんと守らせることが規律を守る上で必要になります。
⑤独自の判断
学校にはそれぞれ細かいルールがあります。 例えばうちでは、ひざ掛けを教室では使って良いが、移動教室では使ってはいけないことになっています。教室と教室の間を移動する際に生徒はひざ掛けを腰に巻き付けながら歩きとんでもない格好になってしまうため禁止になっています。そういったルールを知らず、生徒に持って行って良いか聞かれたときに良いと答えてしまうと「あの先生は良いと言ったのに」と言われてしまいます。わからない時には、「聞いてくるからちょっと待っててね」と答えて確認をして、独自で判断しないことです。
 

― トラブル対応のポイント


品川エトワール:藤原先生
以前非常勤の先生と生徒との交際が問題になりました。そのことが周囲に広まり、生徒が学校へ来られなくなってしまい、ました。生徒が不登校になったのは、学校の対応のまずさと叱責され、学校として学ぶ環境を整えなかったことを含め、生徒が不登校になって学ぶことができなかった期間の授業料を返納しました。 こういったケースは初期対応が非常に大切です。できることとできないことをはっきりさせます。自分の感想ではなく、事実のみを時系列にして報告・連絡・相談をします。いじめも同じです。先輩たちに普段から対応方法を聞いておいた方が良いです。生徒へ目配りをし、関係が良好でなければなりません。 例えばカンニングなども、生徒は出来る先生と出来ない先生がわかっています。あとは、何かが起こった際に、自分は関係ないではなく、全て自分の問題としてとらえることが必要です。 そういったことに気を付けても起きるときは起きるので、初期対応や取り組む姿勢が大切です。

明治学院東村山:大西先生
トラブルというのは起こらないことが望ましいですが、起こるときは起こります。 藤原先生も仰っていましたが、起きたら初動が大切です。放っておかず、協議をすることです。 2つ目には傾聴です。まずは相手の話を聴くことです。生徒も保護者も話を聴いてもらえると安心します。なので、しっかりと話を聴くことです。 例えば、AとBの間にトラブルがあったとしても、AはBに思うところがあるかもしれないし、BもAに不満を持っているかもしれないです。1名1名に事情を聴いてから、1名1名に話すことが大切です。もし話を聴いて生徒に非があるようでしたら毅然とした態度でいることです。罪を憎んで人を憎まずと言いますが、生徒の成長を望み反省をさせることが大切です。 また、教員も1人でしょいこまない、相談をすることが大切です。教員も人間ですので、合わない子もいます。その子が他の先生と上手くいっているならば、別の先生に対応をお願いして、情報の共有を行えば良いのです。 そして、生徒をよく見ておくことです。授業以外でも、例えばお弁当は誰と誰が一緒に食べているのか、トイレに一緒に行くグループは誰なのか。グループの人数が奇数になってしまうとピンチです。1名が外れてしまうと疎外感を感じ、そのことでトラブルが起きる可能性があります。色々な先生と相談をし、チームで解決することです。

 

― 教員を目指す方へ


品川エトワール:藤原先生
私は面接で「夢は何ですか」と訊きます。教員は子どもたちの夢を育む仕事です。教員が夢を持っていないのに子どもに夢を持てと言うのは無理な話です。  今日、ここにきている先生方は夢を大切にしている人たちだと思いますので、2点程お伝えします。まずは、教員像をしっかりと作ってください。面接で、どうして教員になりたいと思ったのかと訊くと、昔ある先生に憧れてという話が多く、自分がどうしたいのかという話がありません。自己を確立して、自分がどうなりたいのかを考えてください。  もう1つは、教員は1年目からプロだということです。入職をすると実習とは違いますので、全てに責任をもってプロ意識を持つことが大切です。1年目であっても10年目であっても生徒から見れば皆同じ教員です。今教えているのは目の前に生徒であって、今日ダメだったから明日頑張るではダメなのです。目の前の事をしっかりやって、明日に繋げてください。

明治学院東村山:大西先生
教員になりたいという皆様は、“この先生が”という方が必ずいると思います。私もいまして、その先生少しでも近づきたいと思っていました。そのような皆様にはこれからお話をする2つのことを頑張っていただきたいと思います。  まず1つ目として、専門教科に関しては、これからも研鑽していってもらいたいです。私は教員になってから学んだことがたくさんあります。学校にはいろいろな学びがあります。例えば、私は以前黒板にチョークで書いて授業をすることが良いと思っていましたが、今は生徒同士でグループを作ってもらい話し合いをしながら授業を進めていくということを学んでいます。  2つ目は、生徒から学ぶ姿勢を持って欲しいということです。生徒の様子を見ながら学ぶこともたくさんあります。生徒から学び自分でも研鑽していって欲しいと願っています。