セミナーレポート

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2016.08.07

選考突破に向けたマナー講座

平成28年10月7日(日)開催
教員人材センター キャリアビスタセミナー

日本大学豊山女子中学校・高等学校
校長  柳澤 一恵先生

日大豊山女子中学校・高等学校 HP

「先生」とはどんな人か~マナーを考える前に~

マナーを考える前に、まず「先生」とはどんな人でしょうか。文字の通り生徒たちの先に立って導く人だと思います。そのためには生徒たちから信頼されることが大切です。

ではどんな人が信頼される先生だと思いますか?「礼儀正しいこと」「嘘をつかないこと」「話を聞くこと」などが挙げられるかと思います。このようなやるべきことを当たり前に行うことが大切です。普段の様子をそのまま出すことが学校では難しいこともあります。そのため“学校ではどうふるまうか”が大切になります。

私も学校では先生として動きますが、家庭では普通のお母さんになります。そのため、私の娘の同級生がわが校に来た時に、「普段と全然違う!」と思ったそうです。

信頼されるためにどうすべきか3点挙げます。

①人に厳しく自分に甘いことではいけない。

②言ったことには責任をもって行動する。

③常に勉強する。(専門教科・時代の流れ・人としての成長)

先生は普段生徒に対して「時間を守りなさい」「挨拶をしなさい」と言います。しかし先生自身が行わなければ生徒から信頼されません。また先生は生徒へ常に勉強するように伝えています。そのためその先生自身が勉強をし続けることが大切です。教科の内容はもちろん、授業の方法等、様々なことを学ぶことが大切です。今後は新しい学習指導要領に向けてアクティブラーニングやICT化など、今まで習ったことがない方法等で授業を行うことになります。学校では授業以外の仕事もありますが、勉強をし続けるよう努めて下さい。

先生と信頼関係が構築された生徒は自分から動くようになります。一例を挙げます。中学1年生の面談の時です。その生徒に対して「期待している!頑張って!」と伝えたところ、成績が学年トップになり、クラス活動も積極的に動くようになりました。私からの言葉がうれしく、自分から行動するようになったのだと思います。

文章から人柄が見えます

「文は人なり」という言葉があるように、文章はその人の人となりが表れやすいです。普段物静かな方が文章だと過激な内容を書くこともあります。文章を読むことでその人がどのようなことを考えているのかということも分かります。自分の書いた文章を客観的に見ることが重要です。

また、履歴書は自筆で書いて下さい。ペンの色は黒が望ましいでしょう。字の癖などを通じても人となりを知ることができますが、みなさんはまず一字一字丁寧に書くことを心掛けて下さい。

特に誤字・脱字には注意して下さい。誤字で書かれてしまうと何を伝えたいのかも分からなくなります。また、自筆文字は教壇に立ち、板書するときの文字を想像させます。書き順も大事にして下さい。

内容でよく見たいところは、自己PRや特技、志望動機です。これらから面接の質問を決めることもあるので、書いた以上はそのことを聞かれるつもりでいて下さい。志望動機については教員への思い入れを知りたいので、熱意が伝わるように書いてほしいです。また趣味などは質問されたときに答えられるものを書いて下さい。趣味に読書と書きながら詳細を質問すると答えられないのでは、どうしようもありません。また、資格や特技もきちんと書くようにしましょう。学校ごとのそれぞれの採用担当者がどんな目で履歴書を見ているか分かりません。たまたま特技で書かれている部活動の担当を探していたということもあります。写真においても、身だしなみ・服装を整えて準備してほしいです。なお女性は髪をすべて後ろに止めた方が、印象もよく見えます。

面接から垣間見られる勤務姿勢

先ほどの履歴書にも言えますが、選考で気を付ける点は働く際に注意する点と共通します。

そのため、実際に勤務で気をつけてほしい点を選考でも重要視しています。その点を踏まえて確認して頂ければと思います。

まずは時間にゆとりをもって学校に来るようにして下さい。ぎりぎりに来て汗だくで面接をするような人もたまにいますが、印象が良くはありません。学校は時間割等、決まった時間で働くことが多いです。そのため教員は時間厳守が大切です。

学校での勤務が始まると分かりますが、朝の始業前は家庭から欠席連絡などの電話が来ることが多いです。そのためゆとりをもって出勤していると慌てずに仕事を始められます。

次に服装・頭髪等の身だしなみについてですが、髪の長さや色も注意してほしいです。特に私学の教員の場合、生活指導に厳しい学校も多いです。「先生」と呼ばれる以上、生徒に手本を示せるようであってほしいです。女性の場合は華美過ぎると、生徒とのトラブルの元になりやすいので、注意して下さい。

面接時の態度も大切です。初めのお辞儀から、帰っていく後ろ姿までチェックしているので気を抜いてはいけません。「よろしくお願いします」の言葉、声の大きさなどもチェックしています。正しい礼は“挨拶のあとにお辞儀をする”です。

面接時に質問されたら「はい」と答え、質問した人の方にきちんと身体を向けて答えることも大切です。顔だけ向いて答える人もおりますが、良い印象ではありません。答えられないような質問があったり、いじわるな質問があったりするかもしれませんが、誠実に答えているかどうかを見ています。そのため、めげるようなそぶりを見せずに自分の答えられる範囲で一生懸命答えることが大切です。

最後は「ありがとうございました」と答え、部屋を出ますが、出るところも見ています。そこで気を抜かないように注意して下さい。

学校勤務の注意点を知ることがマナーにも通じます

ここからは入職後の話になりますが、ぜひ前もって知っておいてほしいことがあります。

入職1年目は分からないことだらけかと思います。学校の雰囲気や先輩にもよりますが、いろいろ教えてもらえることもあれば、そうでないこともあります。どちらの場合でも、自分から進んで学ぶという姿勢を持ってください。その際は、その姿勢を目に見える形にしましょう。自分から動くこともそうですし、「お手伝いできることはありませんか」と声をかけることもその一つだと思います。

保護者への対応は”話を聞くという姿勢”が大切です。クレームが入った時は主任と相談をして、すぐに学校に来てもらうようにしましょう。保護者は話をしたくて来るのですから、まずは誠実に聞くことが大切です。ただし何でも要求に答えることはありません。できないことはできない旨を伝えることが必要です。

こうしたクレームは一人で抱え込んではいけません。必ずチームで対応するようにします。

生徒への対応は一人ひとり誠実に対応することが大切です。表向きは大丈夫そうでも、実際はそうでないこともあります。いつも一人ひとりを気にかけ、変化を見逃さないようにしましょう。

最後に、マナーもそうですが、仕事を覚えるためには“分かる”ことが大切です。面接時に入退出も担当者が見ていると分かれば、礼の仕方も変わってくるでしょう。また勤務中のテスト返却時に起こりそうなトラブルが分かっていれば、返却の仕方が変わるかもしれません。このように“分かる”ということは“行動が伴う”ということです。そのためにも、周囲に気を配り“分かる”を増やしていくことを心がけましょう。