セミナーレポート

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2015.09.13

私立各校の教員採用責任者に聴く~採用のポイントはここだ!特徴ある女子教育実践校~

平成27年9月13日(日)開催
教員人材センター キャリアビスタセミナー
今回はセミナーの内容から、「女子教育の特徴」について掲載いたします。

女子特有の性格や学び方がある

田園調布学園中等部・高等部
校長  西村 弘子 先生

田園調布学園中等部・高等部HP

女子だけという単一の構成ですので、気を遣うことなく、本音で話せることが魅力だろうと思っています。

生徒に小学生の頃、男子がいてどうだった?と聞くと、男子は子どもだとか、うるさいと言います。発達段階が違うので、ここでいう「うるささ」とは何かにつけて口出しをするとか、関心を持つとか、そういった煩わしさがあるようです。

もし男子と女子とがいた場合、例えば、何か役割を決める時に「男子から何人、女子から何人」と言ったような決め方があるかもしれません。女子校の場合にはそのような決め方はありませんので、当然体験が増えていきます。

それから、男子と女子は学び方が違うということが、最近脳科学の世界でも言われていますが、女子は具体的なもの、男子は抽象的なものから学んで理解するという違いを実感してきました。例えば道を歩く時、男子は「南へ何km」といったような情報で頭の中に地図を描けますが、女子は「花屋さんのところまで進んで」という具体的な目印によって理解していく、ということがありますので、例えば数学、図形の授業などでも、実物から入るか、コンピューターグラフィックから入るか、というような方法の違いを意識しています。

そのように、学び方が違うということ、具体的なことから理解することに長けているということ。それから、仲間意識が強いので、競争するよりも一緒にやろう、というところにも表れてくるということも感じています。また、一夜漬けのような学び方には弱いですが、地道にこつこつと、というようなやり方に強いという特徴がありますので、それを活かした教育活動、女子だけに焦点を当てた教育活動ができるということが、女子校の魅力だと思います。

一言で言うと女子校はパワフルで自律心があります!

藤村女子中学・高等学校 
校長 矢口 秀樹 先生

藤村女子中学・高等学校HP

私は共学校で31年間、それから男子校で約3年間、そして藤村に来てまだ1年と4ヶ月というところです。共学、男子校、女子校と経験してきて、比較という観点でいうと、西村先生のおっしゃった通りのことを感じています。

特に、共学にあっても、歴代の生徒会長を並べてみると、7割は女子です。なので女子と男子の違いというものは、共学にいた時にも感じました。女子校に来て、それをもっと痛切に感じています。

一言で言うと、女子校は非常にパワフルで、自律心が自然に育っていきます。

例えば、女子校で何かの会場準備をしようとした時、当たり前のように女子が手分けをして荷物を運びます。重そうなので私も手伝おうとすると、「先生、大丈夫です。私たちでやりますから」と言います。

女子校では人に何かを頼るということがほとんどありません。共学の場合はほとんど話し合わなくても「これは男子、これは女子」と自然に分かれてしまいますが、女子校の場合はそれらを全て行っているという点で、自律心や、新しいことにもどんどんチャレンジしていくという姿勢が身につくと思っています。

何か分担するにしても、何か動かすにしても、本音で納得しない限り、絶対に女子は動きません。だから、教育をする時にも、本気でそれが良い教育だと思わなければ、動きません。

従って、女子教育をしていく上で、教え方の違いというものはあるかと思いますが、教員として女子校に勤めようと思った時には、自分自身がパワフルで、かつ色々なことに意欲的に、興味を持って接する姿勢が必要だと感じています。

女子は公平性をとても大事にします

三輪田学園中学校・高等学校
校長 吉田 珠美 先生

三輪田学園中学校・高等学校HP

私自身が、ずっと母校の教員として勤めて、今校長をやっております。

秘密の花園なのかな、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ、自立した女の子が育つ場だと思っています。

先日卒業生がゼミの話をしてくれました。ゼミの催し物で、大きなものを運ばなければいけない時に、本校の卒業生は日常的にそういったことをやっていたので、当たり前に荷物を持って運ぼうとしました。そうすると、都立高校から来たお嬢さんが、「いいのよ、それは男子の仕事だから」とおっしゃったそうです。「それって女子校では考えられませんよね。私は運びました」と言っていました。

発達段階が違うというのは確かにそうです。特に中学生になると非常に大きな違いが出ます。

女子は、中学1年生の終わりから中学2年生くらいの段階で、ほとんどの子が二次性徴を迎えます。体が大人になると、それに従って心も大人になっていきますので、いわゆる思春期に入っていく訳です。

ところが男子の場合、二次性徴が始まるのが中2くらいから、あるいは中3くらいからというお子さんが多いと聞いています。この1年から1年半くらいのずれが、行動面の違いにも出てくるようです。それが、女の子達の、男の子に対するちょっとした面倒くささのようなものにかかってくるのだと思うのですが、その煩わしさが全くないというのは、ストレスの軽減された状態で、自分のやりたいことをできるということだと思います。

それから、女子はどちらかというと帰納的な理解の方が得意です。例えば、同じ英文の解釈をするにあたっても、女子の場合は大体の子どもが一つ一つの単語を調べて、文法的な成り立ちを調べて全体を訳していく、というようなやり方をしますが、男子は知っている単語だけを拾って、全体像を掴んでから理解を深めていく、というような理解の仕方をするようです。

男女別学だと、それぞれの特性に沿った教育ができます。女子は耳がとても良いので、耳を使った教育が効果的だと言われています。語学学習の方が有利だとよく言われますけれども。

そういった特性を活かした教育を、積極的にできるということ。それから、何でも人に頼らず自分でやるといこと。そういったところに、女子校の大きな特徴があると思います。

思春期の自己形成の中で、女の子は外からどう見られているかをとても気にします。自己形成の中で、自分を映す鏡を周囲に探すのですが、そういう時に、周りが皆女の子で、ちょっと素敵な先輩がいたりだとか、女性の先生がバリバリ働いていたりだとか、そういう姿が自己形成のカギになることがよくあると思います。

一人の教員が、一人の子どもの人生に関わることができる期間は本当に短いと思いますが、その短い間に、とても大きな印象をその子に与えることができるということが、女子ならではの教育の醍醐味だと思っています。

最後に、女子校の教員が、すごく気を付けなければならないといつも思っていることは、公平性です。女の子は、公平性をものすごく大事にします。ですから、いわゆる贔屓ですね。「○○ちゃんだけ」とか、あるいは逆に、本校は携帯体電話を校内で使ってはいけないことになっているので、使っていたら取り上げるんですが、「○○ちゃんの時は取り上げられなかった、注意だけだった」という事態が起きると納得しなくなってしまいます。

だから、当たり前のことですが、誰に対しても公平に接するということを、女子校では特に意識しなければいけないと、いつも先生方と話しています。