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一覧へ戻る入職後の不安を解消!我が校ではこのように教員を育てます!~京北中学校・高等学校~
平成26年12月14日(日)開催
教員人材センター キャリアビスタセミナー
京北中学校・高等学校の石坂先生と、木更津総合高等学校の真板先生にお越しいただき、教員研修についてお話を伺いました。
今回は、京北中学校・高等学校に関するお話をまとめさせていただきます。
講師・学校紹介
京北中学校・高等学校
校長 石坂 康倫 先生
本校は、1889年(明治32年)に京北尋常中学校として開校しました。
次年度から東洋大学の正式な附属校となります。現在は東京都北区赤羽台にありますが、文京区白山2丁目に建設している新校舎で新しいスタートを切ります。
初代校長は、東洋大学の前身「哲学館」の創設者である井上円了先生です。今年で創立115年を迎え、来年度に共学化します。
「諸学の基礎は哲学にあり」を建学の精神としています。哲学とは生き方を追求していくこと、どのように行動に移すかを考える学問です。真理を探究する中で、論理的思考力を養うことになります。全ての学問の基本は哲学にあるという考えのもと、「より良く生きる」をテーマに、哲学教育(私たちは生き方教育と呼んでいます)、国際教育、キャリア教育の充実を目指しています。
校風はのびのびとしていて、生徒もおおらかです。教員は生徒一人一人を大切に教育する姿勢を有していると思います。
=パネルトーク開始=
― 教員育成の様子について伺います。
まずは、私が教員育成の必要性を感じた経緯についてお話したいと思います。
最初に管理職として赴任した学校は都立八潮高校という夜間定時制でした。
その後立川高校に異動になりましたが、そこでは研修らしいことはほとんど行っていませんでした。多摩の雄と言われていた学校ですが、近隣の中学校等からは「殿様商売をしている」と言われ、評判は良くありませんでした。
ですが先生方は優秀で、生徒からの評判は良かったのです。そこが伝わらないというのは残念だと思い、研修の必要性を強く意識するようになりました。
まず授業をどのように行っているのかということに注目しました。また教員が中学校を訪問し、中学校の先生がどのように立川学校を見ているのか聞いてきてもらう、といったこともしました。厳しい意見も多くもらいました。これまで以上に忙しくなったことで、一年間で五年間分くらいの仕事をしたというベテランの先生もいました。研修を行って意見交換をしてみると、「自分自身がやらなければいけないことをうずもれさせていた」「自分の能力を十分に発揮できていない、また、そのことに気づいていない」ということが出てきました。その気づきを発見することが立川高校での研修でした。
その後、東京都立大学附属高等学校で校長を務め、桜修館中等教育学校の立ち上げに関わりました。そこでは授業研修を行っていました。新任の先生に対しても、4月1日~2日にかけて研修を行いました。
それから、日比谷高等学校の校長に就任しました。日比谷高校の先生は発言をせず、下を向いてしまう方が多くいました。そのため授業を観ることに加え、面接に時間をかけるようにしました。カウンセリングや大学受験に関する研修会も行いました。二年目には発言をしてくれるようになったのですが、多くは愚痴のような発言でした。そこで、もっと前向きな発言をしてほしいと伝え、三年目になってようやく、前向きな発言が聞かれるようになりました。
これは、先生方の中に気づきと芽生えが始まったことを意味します。自主性、自発性が先生方の中から生まれてくる。すると、人の話の聴き方が変わってくる。これもやってみようあれもやってみようと積極性が出てきて、学校が活気づきます。そのことが生徒に響き渡り、生徒が変わります。学校が変わります。先生の変化は生徒に大きな影響を与えます。だからこそ研修が大事だということです。
学校法人京北学園と東洋大学が合併してできた学校を「魅力ある学校にしてほしい」という依頼を受け、本校に着任しました。都立のときと同じように、新任の先生方には4月1日、2日と研修を行いました。生活指導、進路指導、教務指導、広報活動、その他本校の教員としてやるべき研修を2日間行いました。
研修によって変化した具体例をお話します。
元々、本校ではチャイムが鳴ってから教員が職員室を出て行くのが当たり前になっていました。10分経っても授業らしいものが始まっていない、ということもありました。
そこで研修を全員参加とし、チャイムは始業の合図であるという認識を共有させました。今ではチャイムを鳴らさなくなりました。教員も生徒も各自で時間を管理するようになり、チャイムが鳴らなくても一切混乱は起きません。以前は始業の5分後に先生が来るものという生徒の認識でしたが、現在は始業の5分前に来るものと認識しています。意識が変われば、行動も変わります。
また、かつては職員室内での会話は、退勤時間が来たらどこに行こうか、などといった話題が多かったのですが、今では学校経営に関する課題や生徒のこと、授業のことが主になっています。これは研修によってもたらされたプロ意識の芽生えだと感じています。
本校では、全体研修と、新任研修というものを行なっています。
全体研修では、40代くらいまでの若手の育成や、模試を利用した教科指導法の獲得、学校教育法など法的な事柄に対する理解等に重点を置いています。新任の先生もこれに加わります。
新任研修では、まず私立学校がどのような仕組みになっているのか、学校経営の注意点から、生徒指導、進路指導を含めた教務的なことまで教えます。一年目に研修を行うと、二年目からはかなりの仕事を任せられるようになります。研究授業に関しては、昨年は5回、今年も3回行います。まず授業案を見てから、授業を観ます。
教科指導力の研修については、基本的に全員参加です。最初の年は、授業観察後に一時間ずつ全員と話し、情報交換を行いました。それも管理職の仕事だと思っています。まずは校内の地盤を固めることが大切だと思います。
また、すべての研修にはふり返りが必要です。研修の成果について、分掌ごとに発表をします。研修は生徒のため、学校のため、そして自分自身のためにあるものです。
― 次に、求める人材像について伺います。
4点あります。
1点目は、意欲があること。生徒や学校のために力を尽くしてくれる人を求めています。
2点目は、良い所を見抜ける人です。良い所を見抜けるということは、そこを伸ばしていけるということだからです。
3点目は、授業力がある人です。あるいは、例え最初は力が足りなかったとしても、研修で伸ばそうという意欲を持てる人です。
4点目は、生徒指導力がある人です。生徒と友達になるのではなく、生徒の気持を汲んだうえで、適切な指導ができる人を求めます。
現在、本校が大きく変わる時期であり、お陰様で人気も出てきています。今後、非常勤や専任の募集をかけるかもしれませんので、ぜひホームページをご覧ください。
後半に続きます