セミナーレポート

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2014.09.28

私立各校の教員採用責任者に聴く~採用のポイントはここだ!“②面接・模擬授業編”~

2014/11/14 平成26年9月8日(日)開催しました、第一線の授業を知る!グローバル教育で実践される英語教育とは?の際に出ましたご質問の回答を掲載いたします。

― 面接について伺います。

かえつ 石川先生

最初の面接は私一人で行います。教員への志望動機や、最近の社会問題の質問をしますが、本音を伺いたいと考えているので、雑談が主になることが多いです。ダメだと感じた場合は10~15分で終了します。いいと思えば雑談含めて50~60分になる場合もあります。幅広く興味、関心を持っている人は将来性があると感じます。

NGポイントについては、時間より早く来すぎる方は空気が読めないと思ってしまいます。15分前でも早いです。10分前ぐらいがちょうどいいです。

また正門から面接を行う部屋まで受付や守衛の方など多くの職員に会います。会う方々に感じが悪い対応をする方はNGです。

その他雑談の中で今いる組織の悪口を言う方、逆の場面で本校の悪口を言われてしまうと思うと信用ができないのでNGです。

等々力 落合先生

2次選考の面接は模擬授業の後に行います。面接は30分程度、3~4対1になります。この面接では法人課長や教科の先生も同席します。英語の場合はネイティブの先生が同席する場合もあります。

面接ではパーソナリティとイングリッシュを見ています。具体的にパーソナリティは、「きちんとしている」「元気のよさ」「社交性」「安定感」「自信」「コミュニケーション能力」があるかを見ています。またイングリッシュは「発音」「海外経験」「異文化への理解」「英語レベル」などを見ています。

4次の面接は10対1で行われます。理事が多いですが現場の先生の質問として「泣いている生徒に対しどう対応しますか」など場面指導に関する質問もします。

話す内容も大切ですが、私たちと目線を合わせて対応できるかなど見ています。

また学習障害の生徒も全体の6%程度いると言われているので、そうした生徒にどう対応をするか質問をすることもあります。

広尾 池田先生

模擬授業後に面接をします。私と管理職の2名で平均20分程度行います。

主な質問事項は、①学園に応募した理由、②担当教科への熱意・思い入れ、③過去の指導経験から学んだこと、④将来の目標、⑤配属希望学年とその理由、⑥学園に対する質問の6つになります。

最近はiPadを使用した学園のICT教育などを理由に応募してくる方も多いため話題になることもあります。これらのやり取りの中で応募者のコミュニケーション力を見ています。

全く目を合わさない人は生徒の目を見て話さないと思われるのでNGです。また聞いている事一つに話し過ぎないこと、またよそいき過ぎる言葉もNGです。本人のキャラクターを見せたほうがうまくいくでしょう。また本校の教員とうまくいくかどうかも見ています。自分の本来の姿を出して下さい。

― 模擬授業について伺います。

かえつ 石川先生

模擬授業は教科の先生2~5人で見ます。時間は30分程度、事前にテーマは発表します。サプライズはありません。授業準備が本質なので、前後の部分も含めてどのように準備をしてくるのか、30分どう切り取るのかを見ています。

等々力 落合先生

模擬授業は事前に教材を提示し、管理職及び教科の先生が生徒役として参加します。時間は30分程度です。プリントを使用して授業をするなどやり方はおまかせしています。ポイントとして教材の理解度、授業の入り方・展開、言語が明瞭か、板書の工夫などを見ています。生徒役の先生が眠ったふりをする場合もあるので、その対応も見ます。

広尾 池田先生

教材は事前に提示します。授業準備は非常に重要です。時間は20分程度ホームルーム教室で行います。教科部長1名、教科の先生1~2名及び管理職1名で見ます。

ポイントは、要旨を捉えて理解し説明ができているか、板書がわかりやすいか、パワーポイントを使用した授業を希望される方はそれもOKです。また、生徒を引き付けるトーク・間合い、言葉の明瞭さも含めてキャラクターも見るポイントです。

学園の求めるレベルをクリアし、教科が必要と考えている適正に合った先生が先の選考に進みます。

②面接~模擬授業編に続きます

― 模擬授業でNGポイントはありますか。

広尾 池田先生

一生懸命準備して全てを見せたいという思いは一方通行の授業になりがちでNGです。

かえつ 石川先生

授業の準備をきちんとして熱意を持って授業を行っていただき、黒板に向かったままでなければ大丈夫です。

等々力 落合先生

緊張は差し引いて見ていますが、教卓にはりついて動きが無い人、必要以上に動く必要は無いけど生徒役の先生を見ていない方はNGです。

また思いっきり字を間違えるのは致命的です。可能ならば10回程リハーサルして、人にも見てもらってから臨んでほしいです。

また話の度に、「あ~」「う~」「え~」をはさむことは禁止です。

②面接~模擬授業編に続きます

― 教員を目指す方へメッセージをお願いします。

かえつ 石川先生

15~20年後の学校を創っていくことができる人、教育の本質・社会の変化を考えていくことができる人を求めています。社会の情勢を含めて幅広く興味をもち、よく考えている方を求めています。線が太い細い、声が大きいかどうかは求めていません。

未来の子供達に熱い思いを持っている人、それを面接で感じとることができた人、今言った事に共感してくれた人を求めています。

等々力 落合先生

熱意を持って飛び込んできてほしいです。入ってから丁寧に育てていきます。まだまだいい先生を採用したいと思いますので皆様もご縁があればぜひ来ていただきたいです。健康に気をつけて頑張って下さい。

広尾 池田先生

教員は大変な仕事ですし、選考も大変ですが勝ち抜いてほしいです。一度書類選考で落ちても年ごとに求める人材が異なる場合もあるので、何度でも応募して下さい。10月以降に採用を開始するのでぜひご応募下さい。

― 以上でパネルトークを終わりにいたします。先生の皆様、貴重なお話をありがとうございました。

― 質疑応答

留学経験がない場合は選考に不利になりますか?

かえつ 石川先生・広尾 池田先生:留学経験が無くても不利にはなりません。

等々力 落合先生:影響はあります。特に、英語の場合には大いに見られます。また、グローバル社会の進展のなかで、他の教科にも留学経験は参考としております。

大学の成績(優・良・可 等)は選考の際どの程度考慮されますか?

3校:ほとんど見ていません。

学歴(研究歴)を重視するように感じましたが、大学院でより専門的に研究した方がいいのでしょうか?

かえつ 石川先生・広尾 池田先生:大学院等で専門的な研究をしていたというは、一つのアピールポイントになることは間違いありませんが、それが全てでは無いという点も事実です。加点対象になるというような考えでよろしいかと思います。

等々力 落合先生:理系の場合には大学院進学も一つの選択肢と思います。文系の場合には決して大学院進学が有利になるとは限りません。

模擬授業の指導案はどのような点に注意して記入すればいいでしょうか?

かえつ 石川先生:専門の教科ではない人が見てもある程度はわかるようにしてもらいたいです。

等々力 落合先生:導入~展開~まとめの流れは大事です。ただ、導入に時間をかけ過ぎず、スーッと授業に入ることが大事。展開では山を二つ作り、強調すること。まとめもすっきりさせることだと思います。

広尾 池田先生:起承転結がはっきりしていることと、授業の目標(ここまで進める・ここまで理解させる)が明確になっていることは大切です。