無料
就活・学校現場で活きる!
セミナー・研修情報
セミナーレポート
一覧へ戻る私立各校の教員採用責任者に聴く~採用のポイントはここだ!“模擬授業編”~
平成25年10月6日(日)開催
教員人材センター キャリアビスタセミナー
講師・学校紹介
鷗友学園女子中学高等学校
特任教員 西川 邦子 先生(以下 鷗友学園 西川先生)
本校は1935年に東京府立第一高等女学校の同窓生が母校の50周年を記念して世田谷に創立した当時から、女子教育一筋の学校です。雰囲気は、のびのびと家庭的で活発な学校です。
教員の雰囲気はトップダウンというより、ボトムアップの学校で、学校の情報は全ての教員が把握できるように教員間の情報共有が徹底しています。
教員採用についてですが、6月に学校で説明会を行いました。教育理念等を理解して応募していただきたいと考えています。
<教員採用の流れ>
1次選考:書類選考(履歴書・小論文)
2次選考:面接・模擬授業 教科によっては筆記試験(数学と社会)
※小論文は教科ごとに違うテーマについて1200字以内で400字詰めA4原稿用紙に横書き、冒頭に自筆で表題、記入者名を記入。
※6~7名が1次選考を通ります。
※筆記試験は難関国立大学レベルの問題を出題します。
城西川越中学校・城西大学付属川越高等学校
高等学校教頭 田部井 勇二 先生(以下 城西大川越 田部井先生)
高校は42年目、中学は22年目の男子校です。本校は埼玉県の川越市、川越駅からバスで15分~20分の立地にあります。開校5年まではほとんどの生徒が付属の城西大学に進学していましたが、5年目から国立大学にも入り始め、現在は完全な他大学への受験校になっています。
教員採用については本年4名の採用を行いました。
<教員採用の流れ>
1次選考:書類選考
2次選考:1次面接(教科担当の面接)
3次選考:校長・教頭面接、模擬授業
4次選考:理事長面接
※1次面接は教科ごとに行います。その際に、模擬授業の内容を伝えます。
※校長・教頭面接の結果から、推薦する先生を理事長に伝えています。
立教池袋中学高等学校
教頭 増田 毅 先生(以下 立教池袋 増田先生)
本校の創立は140年前、英語と聖書を教える私塾が発祥です。本校は池袋駅から徒歩10分、立教大学に隣接した立地です。「キリスト教に基づく人間教育を実践する男子校」です。
生徒数は1クラス36名程度、各学年4クラス制で更なる少人数化をスタートさせました。6学年が同じ建物の中で学びますので生徒どうし、先輩との距離も近く、先生との距離も近い温かみのある学校です。生徒の大半は立教大学に進学するので、大学受験以外のカリキュラムや自分探しに時間を使うことができます。
英語教育、ボランティア活動にも力をいれており、大学と連携した授業も行っています。
教員採用情報はホームページや私学公募などにアップしていますが、もっと多くの方に応募して頂きたいです。
<教員採用の流れ>
1次選考:書類選考
2次選考:教科担当面接、模擬授業
3次選考:校長、教頭、事務長面接
※書類選考は本校指定の履歴書です。これは普通の履歴書にエントリーシートと教科が必要とする情報を加えたものです。
※教科面接の際、同時に模擬授業を行う場合もありますが、2次選考通過後に模擬授業を行うこともあります。
=パネルトーク開始=
― 模擬授業の流れや重視するポイントをお願いします。
鷗友学園 西川先生
模擬授業は教科によって異なりますが一般的な選考についてお話しします。音楽や美術などの教科は実技試験が加わります。
2次試験の1週間前には模擬授業の内容をお知らせします。その際に単元と対象学年と授業の大まかなねらいを事前に指示します。指導する範囲の教案を事前に作成して下さい。
模擬授業は普段の教室で行い、時間は15分~20分です。授業の中のどの部分の模擬授業を行うかも指示します。
管理職を含め5~8名の教員が参加し、教科の教員が生徒役を行います。質問をする人、質問に答えられない人も決まっていることがあります。
教科のねらいを踏まえた教案作り、授業が求められます。
教案どおりに進まなくても大丈夫ですが一つのところに時間がかかりすぎるのはマイナスです。
また、生徒とのコミュニケーションを取りながら授業ができそうかも見ます。一方的に話を淡々とするのではなく、生徒とやり取りをしながら、早口にならないよう、生徒への視線、目配りなどもうまくできた方がよいでしょう。そのためには事前に練習しておいた方が良いと思います。
板書は線を引いて区別するなど生徒が見てわかりやすく、グラフや図はある程度正確に描けるようにして下さい。これも練習が必要です。色チョークの使い方や漢字の書き順もチェックしています。生徒に問題を解かせる時間は「やったことにします」で飛ばしてください。模擬授業でのアピールができなくなります。指示を逸脱したものは認められませんが、工夫して一味違う自分ならではの授業をしてください。
城西大川越 田部井先生
1次面接の際に、模擬授業の内容を指示します。例えば数学の場合には、教材と内容を指示し、50分間の指導教案の作成をお願いしています。
模擬授業は教室で行い、時間は15~20分で説明の途中でも打ち切ります。管理職、主任、副主任、その他教員数名が見ます。質問をすることはなく、生徒役はいません。質問を行う場合はやり取りがあった体をとります。教材を研究し、内容を説明してもらえれば大丈夫ですが、教科書どおりに教えてもおもしろい授業にはなりません。
授業の内容(説明や板書)が授業の目標に合っているかが大切なポイントです。
具体的には男子校は声が大きい方が良いので“しっかりとわかる声か”“立っている位置”“板書”“用語の誤りがないか”“説明の仕方は適切か”“スピード”“何を伝えようとしているか生徒側に伝わるか”等です。授業を通じて教科に対する自分の哲学を持っているかどうかみたいと考えています。対象生徒の想定レベルは偏差値60以上です。
立教池袋 増田先生
模擬授業の場所は教室、会議室、理科の場合には実験室です。教科担当者と採用に関わる人5~10名で見ます。数学は一人芝居、他の教科は先生が生徒役をし、質問も行う予定です。
課題内容は1次選考の結果を伝える際にお伝えしています。毎年課題は変わらない予定で、国語は詩歌、社会は地理・歴史等求める専門領域について、数学は因数分解、理科は化学の実験演示、英語は間接疑問文となっています。
評価のポイントとなるところは、“教材研究をしているか”“内容を理解しているか”“与えられた課題を生徒にどのように伝えるか”“どうアプローチをしたらよいか研究しているか”“板書・プリントなどの工夫”“生徒の興味、関心を引き出す工夫をどのようにしているか”等です。
技術的なことができているかよりも、伝えたいことが伝えられているか、生徒がいる想定ができている模擬授業か、を大切にしてみていきます。過剰な演出をする必要はありませんが、子供たちに発問を投げかけ、その反応に対しての表情なども教員には必要な資質ですので、評価の対象はなります。
― 将来的に可能性を持っている方であると判断するポイントはありますか。
立教池袋 増田先生
テクニカルな部分ではなく、教員としての情熱やビジョンがあるのかどうか、またそれを私たちの学校でどのように発揮出来るのかという視点で見ています。
技術的なことはもちろん大切ですが、人柄、男子校の先生としてやっていけるかどうかはもっと大切な部分です。
城西大川越 田部井先生
私は国語が専門ですが、「国語ってなんですか」という問いに、1年目でうまく説明ができませんでした。1年目から分かるわけがありません。
しかし、「国語を何であるか」を分かろうとしている人を採りたいと思っています。目的をしっかりと持って、そして自分の教科に愛情を持っている人、それが感じられればOKです。
鷗友学園 西川先生
本校の生徒は皆、大学に進学をしますし、国公立大学進学希望者も多くいます。ですから、指導する上で授業の基礎となるような学力は必要です。また、生徒に真正面から取り組み、この学校でやっていきたいという想いがあるかどうかということを見ます。最初から専任教員として採用するので、気持ちを強く持っている方が多いように思います。
― 教員を目指す方へのメッセージをお願いします。
鷗友学園 西川先生
教員は人間を相手にした魅力のある仕事です。他の人とコミュニケーションをとろうとする粘り強い態度、生徒の心に寄り添える柔軟な気持ち、感情に流されない強い意志などが必要ですが、すべてはこの魅力のためにあります。
教えることは学ぶことなのだと考え教員自身が学び続けること、1時間1時間を生徒とともに楽しみ生徒と創造していく、学校生活も生徒のために充実したものにしてあげたいという気持ちを持つことです。
学校以外の人とも交流を持ちましょう。気持ちの切り替えの意味でも、自分の考えを広げる意味でも大切です。
私の知っている方には講師を長く続けてようやく専任教員になれた人もいます。自分の目標に向かってチャレンジしてください。
立教池袋 増田先生
「子どもが好き」「教えることが好き」、それだけでは教員という仕事は難しいです。専門分野だけでなく、幅広い視点が必要になります。大学までに何を経験してきたかがその人の人間的な厚さになります。そして、それがアピールになります。
アルバイト以外でも、遊び、趣味、ボランティア、公立学校のサポートなど、人間的な幅を広げられるような体験をして欲しいと思います。採用試験のときだけが試験ではなく、普段から体験を重ね、人とのつながりを持っていることが採用につながるということは十分に考えられます。教員は個人プレーに思われがちですが、チームプレーです。周りからの声に耳を傾ける、周りを見る、周りとの関係を作る、そういった人とのコミュニケーション能力が最も必要です。
城西大川越 田部井先生
教員は一度勤務したらやめられない仕事です。教員の日常生活では色々なことが起こります。生徒と向かい合っていく中で、それぞれに臨機応変な対処をしていく必要があります。卒業した生徒たちは立派になっていきます。生徒たちに教わることが多いです。
当然のことですが、先生の「教材研究不足」や「授業への情熱のなさ」が露呈した時、生徒は全く授業を聞かなくなります。生徒たちの反応ははっきりしています。だからこそやりがいがあります。教員生活は辛いことが6割、楽しいことが4割。でも、この楽しいこと、感動が毎日の糧になります。
本日参加の全員が教員になれる事を祈っています。頑張って下さい。