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一覧へ戻る私立各校の教員採用責任者に聴く~採用のポイントはここだ!“面接編”~
平成25年9月23日(月・祝)開催
教員人材センター キャリアビスタセミナー
講師・学校紹介
穎明館中学高等学校
副校長 橋本 好広 先生(以下 穎明館 橋本先生)
東京八王子市、高尾駅からバスで10分程度の場所にある自然に囲まれた学校です。
中高一貫の共学の進学校で、生徒は皆大学受験をします。生徒数は全学年で1,100名程度です。
教員数は専任・非常勤合わせて90名程です。
教員と生徒の関係が密であり、教員間のチームワークも取れています。
<教員採用の流れ>
1年目から専任教員として採用することは控えています。最低でも1年間は常勤講師として勤務していただき、校務分掌などの様子を見てから専任教員として採用をしています。
告知方法:10月からホームページや私学ネット
1次選考:書類選考
2次選考:面接選考
※非常勤講師の場合には募集も遅く、1月ぐらいから書類選考を始め、面接、採用となります。
専修大学松戸中学校・高等学校
高等学校教頭 徳山 斉 先生(以下 専修大松戸 徳山先生)
千葉県の常磐線沿線、北松戸駅から徒歩10分の場所にある生徒数約1,870名の学校です。
本校は部活動も盛んですが進学実績も伸びています。現在専修大学への進学数は12%程度で、国公立及び難関私大にも多くの生徒が進学しています。
また本校は“小さな親切運動”に団体加入しています。人のため、社会のためといった相手の立場を考えた行動ができる人物になれるよう教育をしています。
教員は専任・非常勤を合わせて160名程です。
<教員採用の流れ>
1年目から専任教員として採用することはせず、最低でも常勤で1年間勤務していただき、人間性・授業スキルなどをみて専任採用しています。
1次選考:書類選考
2次選考:学科試験・小論文
3次選考:模擬授業及び面接
※非常勤講師も同様の流れです。
東京電機大学中学校・高等学校
教務部長 吉場 章二 先生(以下 東京電機大 吉場先生)
本校は東京都の小金井市、東小金井駅から徒歩5分の立地にある、「人間らしく生きる」が校訓の学校です。
生徒数は全校で1,300名程、教員数は専任・非常勤合わせて100名程です。
<教員採用の流れ>
1次選考:書類選考
2次選考:学科試験・小論文
3次選考:面接・模擬授業
3次選考の時点で決まらない場合は、校長面接を行います。
※私学適性検査を利用していますので、受験者から該当する方へ連絡をします。
※採用に関しては私立出身でなければならないといったことはありません。
※非常勤の採用に関しては1月以降から開始し各科目の主任にまかせています。面接と模擬授業により決定しています。
=パネルトーク開始=
― 面接選考の流れや重視するポイントをお願いします。
穎明館 橋本先生
校長・副校長・教科主任との3対1で30分程度行います。
伺う主な内容は「本校の志望理由及び教員の志望理由」「教科指導に自信があるか」「生徒指導で心がけること」等です。
予め回答する内容を用意して臨む方もいますが、会話を通じてその方自身の“本当のところ”を聴けるようにしています。
教科指導に関しては仮に「難関私大の受験指導ができる」と答えた場合は、根拠を示してもらいます。教科主任はこの点を重視しています。
生徒指導は中学生の方が大変な面があるため、中学生の生徒指導で気をつける点なども伺います。また、教えた経験や子どもに触れた経験を伺い、その時の状況を細かく聞きます。
この方が本校で教壇に立つ姿、他の教員とうまくやっていけるか、生徒をひっぱっていけるかなどを考慮し、全体で評価します。面接官3名が一致した方を採用します。
専修大松戸 徳山先生
中学・高校の各教頭・教科主任等7(8)対1で、面接と模擬授業を一緒に行います。
言葉として発せられるものは面接も模擬授業も同じと考えています。
教科の内容は模擬授業も含め、成績証明書や2次試験で大学入試程度の学科試験を課しますのでそれらで判断します。
面接では経歴・経験・部活動についても伺います。注目しているポイントは、表情・言葉・論理性です。
よくコミュニケーション能力と言いますが、子どもたちの表情等で気づくこと、子どもたちに誤解を与えないことがコミュニケーション力と考えます。また情熱も見ています。
6名の評価を総合して判断します。
東京電機大 吉場先生
8対1で模擬授業を15~20分程度、その後30分面接を行います。
面接では志望理由や2次選考で行う小論文の内容を聞きます。
主にみるものはやる気と人間性です。声がでている等は当たり前のことです。
それぞれの質問に対し自分はどれだけ生徒を教えていけるかという点を、表情や言葉から判断します。
また校風に合うかどうか、職員室や教壇に立つ姿の合う合わないは学校によって違います。
若い人を採用したい時は今後勉強ができる方と判断すれば採用します。
また中堅で専任教員として採用するということは、全てができていなければなりません。
本日セミナーに来るにあたり校長と高校教頭に話を聞いてきました。
校長は信念がある人、しかし我が強い人ではなく柔軟性を備えている人を、教頭も校長と同じく柔軟性を備えている人でさらに社会性・一般常識のある人、幅広い知識のある人を採用したいと考えているようです。
8名で評価し、話し合いをして総合的に判断します。
2名残ってしまった時は校長判断となります。
しかしかなりの確率で8名の意見は一致します。学校に先生が合っているかがポイントになります。
―面接選考で印象に残った方で、採用した方がいたら教えて下さい。
穎明館 橋本先生
書類から面接にいたるまでの電話応対がきちんとしている方はぜひ合ってみたいと思います。
書類の次の電話はポイントが高いです。電話応対がぞんざいな方にはがっかりしますし期待はできません。教員は保護者に電話を入れることもあるので、電話応対は生徒指導を行ううえでも重要となります。
専修大松戸 徳山先生
柔軟性がある方は本校に合うと考えています。自分の信念が強すぎる人、ハキハキと語尾は強いが我が強すぎる人は難しいです。
我々教員も生徒と変化していかなければならないと思います。
全体から受ける印象、話し言葉、人間としての魅力、表情、付け焼刃や背伸びはいりません。その人の中身をだしていただければそれでいいです。
東京電機大 吉場先生
あまりに定型文の回答の方には意地悪な質問をします。
印象深い悪い例は、言葉に詰まって会話がそこで終わってしまった、パニックって何を言っているのかわからなくなった場合などがあります。
この人と一緒に仕事をしていきたいかをみています。
大学生は自分をみがいて下さい。自分をみがくためにも専門書以外の本も読んで下さい。
― 最後に各校の求める人材像及び教員を目指す方へのメッセージをお願いします。
東京電機大 吉場先生
今までの話のまとめになりますが、私学は学校の校風、特色があるので、外れていたら採用はされません。これが私学の特性です。
公立私立に共通していることは教員の仕事であるということ。クラブ活動で例えると、指導で生徒がうまくなると教員冥利につきますし、大学、社会人と立派になっていく姿、校内でも中1が高2、高3になるにつれ成長が見えたときには教員冥利につきます。
目の前にいる子どもたちに何をすべきかを考えられる人は教員に向いています。
教育現場は常に変化しています。極端な例かもしれませんが昔と違って体罰はありません。変化に対応できる方が求められています。
専修大松戸 徳山先生
「なぜ教員になりたいのか」「自分はこのために教員になる」というものを自分の中に持っておいて下さい。その原点がエネルギーになります。また私立はそれぞれの学校で校風があります。自分に合った校風の学校を探してください。
穎明館 橋本先生
まず健康であること。これは大事です。
授業の穴を空けるのは周りの教員はもちろん生徒にも迷惑をかけます。健康で明るく元気よく、体力はもちろん精神的にもタフな方が求められます。
また、聞き上手であること。これも重要です。不登校、発達障害などいろいろな問題もあります。保護者の方、生徒の話をきちんと聞くことができる方が求められています。
最後に授業力のあること。授業がしっかりしている先生の言うことは生徒も聞くものです。
また、教育以外でもご自身の縁を大事にして下さい。
うまくいかない事もあります。私学には特色があり、合う合わないもあります。あきらめずにチャレンジして下さい。合う学校があるはずです。
健闘を祈ります。
<参加者からの質問回答>
Q1 大学附属の学校はその大学出身者が有利になることはあるのでしょうか?
A1 特にそのようなことはありません
Q2 生徒の成長を見守ることに大切な仕事として興味をもっていますが、教員になることに現時点で自信がまだもてません。これはどの先生方もそうだったのでしょうか?
A2 自信は現場で生徒からもらうものくらいに考えたらどうでしょうか。経験もないのに自信がある人間は傲慢に見えます。教師として一歩一歩学んでいく謙虚さと、一人前の教師として堂々と生徒や保護者と向き合う姿勢のバランスこそが、大切だと思います。
A2 自信満々では困りますが、自信がないと言うことでは信念がないというのと同じに聞こえます。目標とする教師像がイメージできていれば、自信がないという言葉ではない表現がでてくるはず。