教職課程の履修に必須の教育実習。実際の実習現場では、どのようなことを行って何を学ぶのでしょうか。本記事では、小学校の教育実習で学べることを紹介していきます。後半では、教育実習を始める前と始まってからのスケジュールについても詳しく解説。これから教職課程で学ぼうと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
教職課程において教育実習は、教員免許を取得するために修得しなければならない必須の単位です。
教育実習は、生徒にとっての教育者という立ち位置で現場に立つことで、教員としての心構えや技術を学ぶ期間です。実際に小学校へ行って教員がおこなう授業を見て学び、実習の後半に研修授業として生徒の前で授業をおこないます。中学校や高校と違い、小学校の教員が担当するのは基本的に全教科です。そのため教育実習も全教科に関わります。
教職課程を履修するのは教員免許を取得する方法の1つです。免許状は中学・高校などと学校種ごとに分かれているため、小学校教諭の免許状を獲得できる教職課程を履修しましょう。小学校教諭の普通免許状を所持していれば、理科や国語など小学校教育の全教科を教えることができます。
小学校教員免許には、
・普通免許状
・特別免許状
・臨時免許状
の3種類があり、教育実習を含む教職課程を履修して取得するのは、普通免許状の教諭のみです。
普通免許状自体も、専修、一種、二種に分類されます。一種は4年制大学を卒業した人、二種は短大を卒業した人が取得できる免許状です。どちらも4週間の教育実習が必修となります。専修免許状は、一種の免許状取得者が大学院を卒業した場合に取ることのできる免許状です。
教職課程を終えて教員免許をとっても、公立小学校の場合は、教員採用試験に受からなければ教員として働くことはできません。正式には教員採用候補者選考試験(検査)などと呼ばれ、この試験に合格した人の中から公立小学校教員の採用者が選ばれます。
なお、私立小学校の場合は、多くの場合志願者がそれぞれの学校へ直接志願を出して試験を受け、合格した人が採用される仕組みです。
教育実習では、これまでに座学で学び理解した内容と現実とのギャップを確認したり、自分の適性や教育の在り方を再認識したりできます。法令や教育の役割を踏まえた考え方が、現場の判断にどのように影響しているのか、教員としてどのような行動を求められているのかを、指導教員の動きや自身の体験から知れるのです。そのため教員を目指す学生にとって、教育実習は大きな意義があるといえます。
実習内容としては実際の授業を見学したり、授業に参加したりします。指導教員からのフィードバックを貰いながらスケジュールをこなし、最終的には研究授業として1人で授業を実施するのが実習の課題です。実習全体への取り組み姿勢と、研究授業の内容が教育実習の結果として評価されます。
実習で学べる内容は多岐に渡ります。授業以外の休み時間や行事中、放課後などに生徒や他の教員たちと積極的に関わることで、教員としての責任感や求められる人間性、コミュニケーションの大切さを学べるでしょう。教養として、毎日の挨拶や身だしなみ、言葉遣いなどの社会常識を振り返るのにも良い機会です。また教員同士での報・連・相や勤務時間の遵守、個人情報管理など、学校以外の組織でも必要となるルールを体験できる機会となるはずです。
教育実習の実施時期は、卒業年度の5月~6月が一般的です。受け入れる学校の都合によっては9月~11月に行われることもあります。また、小学校の教育実習期間は4週間です。
実習の場所はそれぞれの教職課程の方針や、実習を受け入れてくれる学校の状況によって異なります。一般的には母校や在住学区内の小学校である場合がほとんどです。
実際に申し込みの手続きを行うには、まず実習を希望する小学校へ電話をかけ、実習が可能かどうか、また可能な場合は最初の訪問はいつがよいか確認をします。その後、教職課程を受けている大学などが発行する必要書類を準備。指定日時に小学校を訪問して先方のしかるべき人へ書類を渡します。実習を希望する小学校から受け入れ承諾の書類が郵送で返送されると、教育実習申し込みの手続き完了です。
書類確認には時間が掛かる場合もあるので、半年~3ヵ月ほどの余裕を持って申し込みを始めるようにしましょう。
実習の数ヵ月前には受け入れ先が決まるので、必要に応じて現地へ事前の挨拶をしに行きます。必要性が不明な場合は受け入れ先の小学校へ電話して問い合わせても問題ありません。また挨拶の際には、実習の服装やその学校独自の決まりごとなど、早い段階でわかっている内容を聞いておくのがおすすめです。
実習まで1ヵ月を切ったあたりのタイミングで、研究授業の教科と単元など詳しい内容が決まっていきます。教材研究をするために、担当する学年がわかったら使用する教科書・問題集を入手しておくのも良いでしょう。事前に分かった内容については可能な限り勉強しておくことで、より充実した実習期間を過ごせるはずです。
教育実習直前までには、印鑑や実習日誌、上靴など、必要なものを準備しておきます。初日の流れやスケジュールの詳細について、資料やこれまでの打ち合わせで聞いた内容を確認し、不明点が残らないようにしください。情報が不十分で慌てないよう、事前に実習先に問いあわせたり、教育課程を受けている大学などの先輩から情報収集したりしておくと安心です。
実習期間のうち、最初の1~2週間は見学が中心になります。指導教員のクラスや他クラスの授業を教室の後ろの方などで見学して、指導内容や指導のペース、生徒のリアクションなどを学ぶのです。3週目以降は実際に授業に参加したり、教員の補助をしたりし、場合によっては授業を担当させてもらうこともあるかもしれません。
授業の準備や指導教員との打ち合わせ、教育実習日誌の記入なども実習に含まれます。これらは始業時間前や放課後に、時間を設けて行うのが一般的です。研修の最後には研究授業として、担当教員以外の教員や大学教授が授業を参観し、教育実習生を評価します。
なお実習が終わった後は、受け入れてくれた小学校へ手紙などでお礼の連絡をしておくと丁寧で印象が良いはずです。
教育実習は現場でたくさんのことを学べる貴重な機会です。社会人としての責任感を持ちながら、1つでも多くのことを身に着けましょう。
無事に教員として採用され現場に出たあとに慌てないためにも、その他の教職課程で学んできたことを実践する場として教育実習を捉え、体験してみることも大切です。
教育実習へ行く際はぜひしっかりと準備を行って、実習期間を有意義なものにしてください。
教員人材センター編集部
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