教員採用試験とは?難易度が高いといわれる理由と対策を解説
教員採用試験の関門のひとつである「模擬授業」。 教員を目指している方の中には、模擬授業が一番緊張する、一番苦手意識がある、と感じている方も少なくありません。何しろ、面接官を相手に授業を行うのですから、相応の強いメンタルが必要になるでしょう。
しかし、
模擬授業で面接官がどういった点を見ているのか、ということをしっかりと把握しておけば、事前準備もはかどりますし、準備が盤石である分、本番の緊張も軽減するはずです。今回の記事では、模擬授業の基本情報に触れつつ、授業中に意識したい姿勢や、面接官が着目しているポイントなどを徹底的に紹介します。
模擬授業に不安を抱いている方は、ぜひご一読ください。
模擬授業とは、教員採用試験の際に、合否を決める判断基準のひとつとなる課題です。 多くの場合は教員採用試験の最後に設けられており、教員志望者は、実際に学校の教壇に立ち、授業を行います。
それでは、この模擬授業はどのような形式で行われるのでしょうか。授業時間なども併せてご説明します。
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先述の通り、教員採用試験の模擬授業は、実際に普段授業で使用している教室を使って、面接官3~5人に対して授業を行うことが一般的です。 あまり多くはありませんが、中には、その場に生徒をおき、生徒に対して授業をしている様子を面接官が評価する、といった形を取る場合もあります。
面接官は、その教科を担当する教員をはじめ、校長や副校長が同席する場合もあるため、一層気が抜けません。
通常の授業と同様に60分前後の長丁場になると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際の模擬授業の時間は、短ければ3~5分程度、長い時で10~15分程度です。模擬授業自体は長くありませんが、模擬授業の後に面接が加わると、合計で45分程度になる場合もあります。
課題や内容については、当日与えられる場合と、事前に伝えられる場合とがあります。一般的には「教科指導」、いわゆる普通の授業が課せられることが多いですが、時には「朝の会」や「生活指導」など、教科指導以外のものを課題として与えられる場合もあるので、いずれにも対応できるように準備を進める必要があるでしょう。
模擬授業で意識すべきことには様々な考え方が存在しますが、多くの考え方に共通して言えることは、「授業に対する責任感と誠実さを大切にすること」です。中には「模擬授業はパフォーマンスのように楽しさを演出したほうが評価される」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、その模擬授業を受けた面接官に「生徒にワクワク感を与える。もっと学びたいと思わせるような授業だった」というように受け取ってもらえる授業だったのであれば、問題ないどころか加点に繋がる可能性もありますが、ただ大げさな身振り手振りだけで中身のない授業であったり、ジョークを頻発したりすると、面接官に「授業に対する考え方が甘い」といったような印象を持たれてしまいかねません。
また、少々お堅い雰囲気が良いのか、ある程度フランクな雰囲気が良いのかなどは、教科にもよるところがあります。 例えば、これは小学校の例になってしまいますが、道徳的な心情を育むための道徳の授業などで、教員があまりにもフランクな態度であると、中には不信感を抱く児童もいるはずです。
逆に、英語の授業が抑揚なく淡々と進められていっては、英語に苦手意識を持っている子はついていくことができず、授業をきっかけに、さらに英語から遠ざかってしまうかもしれません。
中学校・高等学校の教員が道徳教科のことを気にかける必要はありませんが、教科によっても内容ごとに授業の雰囲気に緩急をつけると、生徒も飽きずに授業に取り組めるのではないでしょうか。そうした点も、面接官は見ています。
また、重ね重ねになりますが、基本姿勢は「責任感を持つこと」「誠実であること」です。「これはちょっと無難かもしれない」くらいの授業にとどめ、「責任」「誠実」を欠くことのないよう意識しながら、模擬授業に臨んでください。
それでは、ここからは具体的に、模擬授業で面接官に評価してもらうためのポイントを「声量」や「黒板のわかりやすさ」など、いくつかの項目に分けてご説明します。
模擬授業をスムーズに進めていくためには、導入や構成がかなり重要になってきます。 授業の始まりである導入では、第一声が肝心です。 堂々と、教室全体にはっきり伝わる声で挨拶をし、注目を集めましょう。
また、15分と長い模擬授業ではもちろん、3~5分の短いものでも、「起→承→結」の流れが大切です。授業ですので、「転」は必要ありません。内容を順序だてて、脳にスッと入ってくるような構成を意識し、授業を組み立ててください。話がいったりきたりしていては、面接官に「わかりにくい授業だ」と評価されてしまいます。
声量に関しては前項でも少し触れましたが、基本的には全体指導であるため、教室のどこにいても、生徒たちが少しザワザワしていても響きわたる程度の声量で授業を進めましょう。
適切な声量で授業できているかも、面接官の評価基準です。ちなみに、これは「叫ぶ」こととは違いますので、覚えておくようにしてください。
昨今の教育業界では、生徒たちの「主体性・対話的で深い学び」が求められています。これまでよく目にした「教員が教壇で独り言を話しているような授業」では、面接官から評価を得ることはできません。
面接官は、教員が生徒の主体性を引き出せているかもよく見ています。
主体性を引き出すためには、生徒が安心して自分の考えを伝えていいと思える場を作ることが大切です。 例えば、質問する際も答えが多様なオープンクエスチョンと答えが限定されるクローズドクエスチョンの両方を使うように心がけましょう。
「あなたはどう考えますか?」のような問いかけはオープンクエスチョン、「今日の天気は?」のような問いかけはクローズドクエスチョンです。
また、「答えは何ですか?」という問いかけは、生徒に「正解しなければ」というプレッシャーを与え、結果沈黙させてしまう、もしくは「わかりません」の一言でやり取りが終了してしまう場合が多いことを、面接官はよくわかっています。
「あなたはどう考えますか?」と、自由な返答を促すことで、生徒との対話が生まれやすくなるのです。
黒板のわかりやすさも、面接官が注目するポイントと言って良いでしょう。
現在の教育現場でもよく見かける例ですが、黒板内の遠い位置に書いてある情報同士を、長い矢印で繋げるといった黒板の記載方法……ひとつやふたつであれば構いませんが、長い矢印があちこち飛び回っていると、非常に見にくい黒板になります。
歴史の教科であれば、時系列に沿って黒板の左から右に、重要な出来事や関わった人物などを記載すると良いでしょう。目立たせたいポイントは色を使ったり、枠で囲ったりする工夫も必要です。
その際、関係する事柄同士はなるべく近くに記載する意識を持ってください。マインドマップなどと同様の考え方です。黒板を三等分してより見やすくするなどの工夫を取り入れるのも、面接官からの評価に繋がります。
また、これは基本中の基本ですが、上手でなくても構わないので、字は丁寧に書くように心がけてください。
模擬授業は、教員採用試験の事実上、最後の関門です。私立学校の場合はこの後に理事長面接などが設けられる場合もありますが、それも模擬授業で面接官に「この人は気になる」と思わせなければ、到達できません。そう考えると、かなり緊張してしまうのも無理はないでしょう。しかし、冒頭でもお伝えした通り、対策をしっかり行い、万全な準備をすれば、心にある程度余裕が生まれ、本番で持てる力を出し切れるはずです。
もし不安が残るようであれば、「教員人材センター」が、模擬授業へ向けた準備をサポートいたします。模擬授業対策研修で、学校が重視するポイントなどをより詳しくご説明いたしますので、重要な模擬授業で力を遺憾なく発揮したいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
教員人材センター編集部
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