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教員を目指している方にとって、試験に関して気になることの上位にランクインするのは、「教員採用試験で複数自治体を併願できるのか?」という疑問ではないでしょうか。
結論からお伝えすると、教員採用試験で複数の自治体を併願することは可能です。
ただし、近隣の自治体は一次試験の日程が同日であることがほとんどです。
例えば令和2年度採用試験や令和3年度採用試験の場合は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県の関東地方の1都6県中、栃木県以外の一次試験が7月12日に集中していました。
栃木県は例外ですが、他の関東同士の併願は不可能ということがわかります。
併願する場合は、基本的には「関東と地方」といったように、離れた自治体に出願することになるでしょう。
併願方法自体は、各自治体の出願に必要な書類を用意・記入し、提出をするだけです。
日程さえ調整できれば、単願と同様のステップで併願の出願手続きは終わります。
ちなみに、近隣の自治体同士の併願は基本的に難しいことをご説明しましたが、近隣同士で併願が可能になる例があります。
それは「前年度に一次試験に合格している場合」です。
浪人限定の話になってしまいますが、前年度の一次試験に合格している場合、その自治体の一次試験は免除されますので、二次試験の日程調整を行うことができれば、近隣の自治体同士の併願が可能になります。
あまり無い例ではありますが、覚えておくと、いざという時に役に立つかもしれません。
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「場所は選ばないから、絶対に今年度合格したい!」という場合は、できるだけ多くの自治体を併願したいと思う方も多いでしょう。
併願して良い数には上限が無いため、ご自身が安心できる数の自治体を併願するのもひとつの戦略です。
ただ、併願の数が増えれば増えるほど、各自治体に合わせた試験対策や試験の申込み、実際に試験を受けるための移動など、時間や労力がかかってしまいます。
必要以上に体力を奪われ、メンタル的にも受験が辛くなってしまっては元も子もありません。
希望する自治体の試験日程をしっかりと確認し、無理のない受験スケジュールを立てることが、複数自治体を併願するにあたって大切なことです。
教員採用試験において複数自治体の併願を希望する方が多いということは、それ相応のメリットがあるということです。
具体的には、以下のようなメリットが挙げられるでしょう。
併願の第一のメリットは、やはり「安心感が得られる」という点ではないでしょうか。
高校受験や大学受験の時に経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが、「第一志望がダメでも、第二・第三志望がある」と考えると、心に余裕が生まれやすいです。
心に余裕が生まれた結果、第一志望の試験の際に緊張しすぎることなく、全力を発揮できるということもあります。
そのため、一部の自治体に強いこだわりがあるというわけでなければ、可能な範囲で併願しても良いでしょう。
いくつかの自治体を併願すれば、その分場数を踏むことができます。
特に面接などは、一度受けただけでは感覚を掴むことは難しいでしょう。
多くの自治体を併願することで面接を受ける回数も増えるため、どういったことがよく聞かれるのかがだんだん見えてきます。
回数をこなすことで、「面接会場の雰囲気に飲まれてしまう」といった状況に陥る可能性もグンと低減するでしょう。
複数自治体を併願することで、教育業界のトレンドを知り、次の試験に生かすこともできます。
例えば、平成28年度採用では、「学習指導要領の改訂」について試験に出題した自治体が多かったようです。
併願先で出た問題と似たものが本命に出ることもあるため、毎回しっかりと自己採点を行っている方であれば、回数を重ねるごとに得点率がアップするでしょう。
一方、併願することにはデメリットも存在します。
併願を後押ししてくれるようなメリットが多いのは事実ですが、気をつけなければ試験どころではなくなってしまうデメリットもありますので、ご確認の上、対策をされてください。
併願は基本的に離れた自治体同士となるため、金銭面の負担が大きくなる点がデメリットでしょう。
住んでいる地域と離れた位置にある自治体を受験する場合は交通費や宿泊費が必須です。
節約したいからといって鈍行列車を使っていると体力的に厳しいでしょうから、移動は新幹線や飛行機がおすすめですが、場合によっては片道だけでも数万円飛んでしまうことがあります。
併願をする際は、お金をうまく工面しなければいけませんし、時には併願を諦めなければいけないこともあるでしょう。
自治体によっては、複数のエリアを試験会場にしていることもありますので、応募する際に会場の確認をしましょう。
複数の自治体を併願すると、試験の対策にかなり時間を取られてしまう場合があります。
例えば、東京都の筆記試験内容は、「教職教養」と「専門教養」です。
「一般教養」の出題はありません。
同じように一般教養の出題がない自治体を選べば問題ありませんが、中には一般教養の出題が圧倒的に多い自治体もあります。
一般教養を勉強しないまま試験を受けることになってしまっては、対応できず、時間だけを費やすことになるでしょう。
併願をする際は各々の自治体の日程だけではなく、出題内容もよく確認するようにしましょう。
可能であれば、出題内容が被っている自治体を選ぶことで、勉強を効率的に進めることができるのでおすすめです。
併願する際は自治体同士の試験日程を確認し、一通りのスケジュールを把握することが大切です。
例えば令和3年度採用の東京都と宮城県を併願するとしましょう。
その場合は、下記のようなスケジュールになります。
【7月12日 東京都】第一次試験
【7月18日 宮城県】第一次試験(東京会場で受験が可能)
【8月21日 東京都】第二次試験(面接)
【9月3日 宮城県】第二次試験(面接)
【9月12日 宮城県】第二次試験(実技)
【9月13日 東京都】第二次試験(実技)
※参考サイト
<東京都:東京都公立学校教員採用候補者選考(3年度採用)>
<宮城県:宮城県公立学校教員採用候補者選考(3年度採用)>
宮城県の一次試験は東京会場で受験が可能であるため、関東圏内に住んでいる場合、計2回の遠征で済むことになります。
また、神奈川県と石川県を併願する場合は、以下のようなスケジュールです。
【7月12日 神奈川県】一次試験
【7月18日 石川県】筆記試験
【7月19日 石川県】実技試験
【8月01日 石川県】面接
【8月10日 神奈川県】二次試験(実技試験含む)
※参考サイト
<神奈川県:神奈川県公立学校教員採用候補者選考(3年度採用)>
<石川県:石川県公立学校教員採用候補者選考(3年度採用)>
令和3年度採用の石川県は一次試験・二次試験という分かれ方はしておらず、筆記試験・実技試験・面接で日程が分かれています。
先ほどご紹介した東京都と宮城県の併願同様に、例えば7月18日に石川県で宿泊すれば、スケジュール全体を通して石川県に行かなければいけない回数は2回で済むことになります。
上記でご紹介したように、遠征回数が少ない自治体を併願すれば、体力的に負担を減らすことができるはずです。
また、こうした余裕のあるスケジュールを組める自治体を併願すれば、場合によってはもうひとつ追加で他の自治体を併願できるかもしれません。
上手にスケジュールを組むことで、より多くの自治体を併願できるとともに、体力の消耗や交通費を最小限することができるでしょう。
各自治体の教員採用情報サイトをまとめました。
併願をする場合は、それ相応の準備が必要です。
先ほど少し触れたように、自治体によって出題内容が異なります。
もちろん内容が被る場合もありますが、希望の自治体同士で出題内容があまり被らない場合は、自治体ごとに試験対策をしなければいけません。
また、面接の場では、併願について質問される場合もあります。
どちらも合格したらどうするつもりかなど、合否に大きく関わりそうな質問もされることがあるため、回答の準備をしておく必要があるでしょう。
ただし、その自治体に媚びるだけの回答では、面接官に「他の自治体でも同じような回答をしているかもしれない」と思われてしまう可能性もあり、逆にその自治体への本気度を疑われてしまうこともあり得ます。
基本的に遠方の自治体同士でしか併願ができないので仕方のないことですが、自宅から遠い方の自治体では、「うちは滑り止めかもしれない」と思われてしまうこともあるでしょう。
もちろん、併願とは本来そういった役割である部分が多いですが、滑り止めの自治体であっても、働きたい理由や志望動機を整理し回答を考えれば、面接官に誠意が伝わるはずです。
教員採用試験では、時間と体力が許す限り、いくつでも併願できることをご説明しました。
「数打ちゃ当たる」と表現してしまうとあまり聞こえはよくありませんが、併願数が増えれば、それだけ合格のチャンスが増えるでしょうし、安心することができるのは事実です。
しかし、冒頭でもお伝えした通り、近隣の自治体同士では、基本的には併願ができません。
併願するのであれば遠方の自治体同士を併願することになりますので、移動や宿泊のことを考え、全体のスケジュールを把握した上で併願しましょう。
「この自治体を受けたい」という思いだけで併願してしまうと、試験日が被ってしまって、結局片方は受験することができなかった…なんていうことにもなりかねません。
併願をすることは安心材料を増やすという意味ではとても良いことですが、スケジュール組みにはくれぐれも気をつけ、効率的に受験できる自治体を併願すると良いでしょう。
また、最後の項でもご説明した通り、併願をしていると面接の場でそのことについて質問される可能性もあります。
通常の面接対策ではなく、併願に関する質問に対応できるような面接対策を講じておくと、より安心して併願をすることができるでしょう。
教員人材センター編集部
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