社会人が教員免許を取得して教員を目指すためには?

#教員免許

監修者

田坂圭吾

教員人材センター キャリアコンサルタント

学校教育

社会人でも「教員への転職をしたい」と考えている人も多いでしょう。社会人から教員を目指す場合、すでに教員免許がある場合と、取得していない場合では方法が異なるため、自分の状況も把握しておく必要があります。


また、教員採用試験の難しさや年齢制限なども理解しておくことが大切です。この記事では、社会人が教員免許を取得する方法などを詳しく解説します。

社会人から教員になるにはどうすればよい?

社会人で教員に転職する方法は、受験者それぞれの状況によっても異なります。具体的には、すでに教員免許を取得しているケースでは、公立校、私立学校の採用試験を受験し、合格することで教員になれます。 公立校の場合、各都道府県や政令指定都市の教育委員会が開催する教員採用試験を受験します。私立学校の場合、各学校で実施される採用試験を受験する必要があります。


教員免許がないケースでは、働きながら教員免許を取得することになります。実際に、社会人として会社に勤務しながら教員免許を取得して、教員になっている人もいます。 方法はさまざまであるため、状況を確認し、自分にあった方法を選ぶことが大切です。

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社会人が教員免許を取得するための3つの方法

社会人が教員免許を取得するには、3つの方法があります。ここでは、それぞれの方法について具体的に解説します。


普通教員免許状を取得

大学や大学院などで教員免許取得に必要な単位を取得し、卒業すれば普通免許状を取得できます。そのため、学歴が高卒の場合は、大学などに入学し、必要な単位を取得して卒業する必要があります。 また、すでに大学を卒業している場合は、再度大学に入り、教職課程をとって卒業する方法をとります。


いくつか必要な単位を持っている場合は、「科目等履修生」という扱いで必要な科目のみ履修します。ほかにも、社会人で忙しく、大学に通うことが難しい場合は、通信制大学に通う選択肢もあります。 大学費用も安価で、自分でスケジュールを調整しながら勉強できます。


※参考

教員免許状に関するQ&A:文部科学省

教員資格認定試験を受ける

「教員資格認定試験」は、教職課程をとっていない場合でも、教員に必要な能力を身につけた人が、実際に学校で勤務ために行われます。 文部科学省のもとで行われており、「幼稚園教員資格認定試験」「小学校教員資格認定試験」「特別支援学校教員資格認定試験」などがあります。



これらに合格した場合は、合格証書を教育委員会に提出し、申請することで、普通免許状が取得できます。


※参考

教員資格認定試験:文部科学省

特別免許状を取得

「特別免許状」とは、教員免許状がない場合でも、経験や技能を有する社会人が教員として勤務することで、学校教育の活性化をサポートするための制度です。特別免許状を取得するには、「教育職員検定」に合格する必要があります。 無事合格すれば、小学校から高校までの全教科、そして特別支援学校で自立教科を教えられます。


「教育職員検定」に合格するには、豊富な実績があることが条件です。例えば、海外経験が豊富であったり、調理師といった専門的な技術を持っていたりする人が特別免許状を取得しているケースもあります。また、社会人経験が3〜5年以上のケースが多いです。


※参考

特別免許状制度:文部科学省

教員免許の種類

教員免許の種類には、3つの種類があります。教員になりたいと考えたときは、目的にあわせて種類を選ぶことが大切です。ここでは、それぞれ説明します。


「普通免許状」

「普通免許状」はメジャーな教員免許で、大学で教育課程を履修し卒業することで取得できます。授与申請の方法は、卒業後、教育委員会に申請します。


また、普通免許状は、持っている学位と教職課程をどのくらい履修してきたかによって、「専修免許状」「一種免許状」「二種免許状」の種別にわかれます。


「特別免許状」

「特別免許状」とは、先ほど説明したように、免許状を持っていないものの社会人として優れた経験や知識を持つ人が学校で働くために授与されるものです。これは、担当する教科に関連する専門的な知識、技能を持っている必要があります。


例えば、看護師として専門的な知識がある場合は、「看護科」の教員になったり、英会話学校の講師が、「英語科」の教員になったりすることなどが挙げられます。 特別免許状を取得するためには、まず教員として任命または雇用しようとする人の推薦が必要になり、取得した都道府県のみで有効です。


「臨時免許状」

「臨時免許状」とは、普通免許状を取得している人を事情により、採用不可の場合に限って授与される免許状のことです。有効期限は、3年と短いですが、特別なケースで6年に延長できる特別措置もあります。


「臨時免許状」は、戦後の教員不足対策のために活用されていたといわれており、取得すれば、助教論として勤務ができます。


※参考

教員免許状に関するQ&A:文部科学省
特別免許状制度:文部科学省
教員免許制度の概要

大学等で普通免許状を取得するなら

普通免許状を取得する方法は、最も一般的です。そのため、この方法を採用して教員を目指そうと考えている人は多いのではないでしょうか。 ここでは、大学などで普通免許状を取得する場合の具体的なステップについて解説します。


教職課程を履修する

これまでの教職課程においては、「教科に関する科目」「教職に関する科目」「教科または教職に関する科目」の区分で取得する必要のある単位数が設定されていました。もちろん、小学校や中学校などによっては履修が必要な科目は異なりますが。


ただし、平成31年度に教育課程が新しくなったことで、区分に変更がありました。具体的には、以下の区分に変更されました。


・教科など指導法に関する科目
・教育の基礎的な理解に関する科目
・道徳や総合的な学習の時間等の内容及び生徒指導、教育相談等に関する科目
・教育実践に関する科目、
・大学で独自に設定する科目


上記の区分で、決められた単位数をとる形になります。


教職課程を履修する3つの方法

社会人が教職課程をとるには3つの方法があり、自分の目的にあわせて選ぶことが可能です。 1つ目が、大学に行き直すことです。大学に行き直す場合は、仕事を休職または退職する必要があります。大学に入学する方法は、「一般入試試験を受け、合格する」「社会人向けの入試を活用する」「学士入学する」といった方法をとれます。


2つ目が、科目等履修生で大学に通う方法です。すでに、大学などを卒業しており、教職課程も少し取っている場合は、必要な単位のみ取得するのです。


科目等履修生においては、通常大学通うよりも、費用を安くおさえられます。また、履修する必要のある授業が多くない場合、隙間時間を活用して通学が可能です。科目等履修生の入学選考は書類選考のみであることも多いことが特徴です。


3つ目が、通信制大学に通うことです。先ほども説明しましたが、通信制大学であれば、自分でスケジュールを調整しながら学べます。さまざまな方法があるため、自分の状況に照らし合わせて、最適な方法を選ぶといいでしょう。


教員資格認定試験を受けるなら

大学などで教職課程の取得が難しい場合は、「教員資格認定試験」を受けて、教員免許を取得する方法があります。


教員資格認定試験の制度は、教職課程を修了していなくても教員としての資質、能力を有する者に教員免許を与える機会を開くためのものです。 現在のところ「幼稚園教員資格認定試験」「小学校教員資格認定試験」「特別支援学校教員資格認定試験」の3学校種における試験が行われています。


ここでは、「教員資格認定試験」の受験資格や試験内容、合格判断基準、スケジュールなどを詳しく紹介します。


受験資格とは?

「幼稚園教員資格認定試験」の場合は、高校を卒業し、20歳以上で、保育士として3年以上働いた経験がある人です。


「小学校教員資格認定試験」は、高校を卒業し20歳以上で条件を満たします。


「特別支援学校教員資格認定試験」は、大学を卒業、または文部科学大臣が指定する教育養成機関や高校を卒業し、22歳以上の人が受験可能です。


試験内容とは?

「幼稚園教員資格認定試験」の試験内容は、大きく3科目にわかれています。具体的には、教育原理や教育法規など教育に関する筆記試験、幼児理解に関する筆記試験、共通課題をもとにした指導案の作成を行う論述式の試験で合計3科目です。 「小学校教員資格認定試験」は、1次試験と2次試験でわかれています。


1次試験では、択一式と論述式の2つの方法で実施され、教育の基礎的理解や道徳などが問われます。2次試験は、1次試験に合格した人に限り受験ができ、指導案の作成、模擬授業、グループ討議などを行います。「特別支援学校教員資格認定試験」も、1次試験と2次試験に分けて行います。


1次試験は、教職に関する専門的事項や特別支援教育に関する専門的事項が出題されます。2次試験は、1次試験を合格した人が受験でき、自立活動に関する科目の筆記試験と実技試験、また自立活動担当教員としての能力を測る口述試験が実施されます。


合格判断基準とは?

教員資格認定試験の合格判断基準は、「独立行政法人教職員支援機構」が発表している情報によると、筆記試験で満点のうち6割以上の点数が基準です。また、教員採用試験と比較すると、試験のレベルは高いことが特徴です。特に「教科に関する科目」においては難問が出題されているのです。


そのことから、合格率は低い傾向にあります。文部科学省の「教職員試験機構説明資料」のデータでは、幼稚園教員資格認定試験の合格率は約20〜30%で、小学校教員資格認定試験は約15%となっており、合格率は低いことがわかります。


有効期間と試験日スケジュールは?

有効期限は、合格してから10年間です。そのため、10年の間で合格証書を教育委員会に提出すれば、取得可能です。


万が一、10年過ぎてしまった場合は、「免許状更新講習」の受講が必要です。また、スケジュールは試験によって異なり、参考として令和2年の試験日を紹介します。


「幼稚園教員資格認定試験」の場合、試験は9月13日の1日で行われます。


※参考

令和 2 年度 幼稚園教員資格認定試験 受験案内

「小学校教員資格認定試験」は、1次試験と2次試験をわけて行います。1次試験は9月13日、2次試験は、11月28日及び 11 月 29 日(日)の 2 日間、または年 12 月 5 日(土)及び 12 月 6 日(日)の 2 日間で実施されます。


「特別支援学校教員資格認定試験」の場合、1次試験は 9月13 日、2次試験は、11月29日に実施されます。


※参考

令和 2 年度 特別支援学校教員資格認定試験 受験案内

特別免許状を取得するには?

特別免許状を取得するには、「担当教科に関する知識などを保有している」「社会的信望や熱意がある」という条件を満たさなければなりません。取得のための手続きは、都道府県教育委員会などの推薦を受け、教育職員検定に合格することです。


検定の合否を決定する際には、教育委員会から学識経験者などへ意見聴取が実施されるのです。また、特別免許所の有効期限は、10年間で、取得した都道府県のみで活用できます。


教員免許取得にかかる料金はどのくらいか

教員免許取得にはどのくらい料金や時間がかかるのでしょうか。事前にこれらを把握しておき、自身で費用の確保やスケジュール調整を行うことが大切です。ここでは、具体的な教員免許取得にかかる料金や時間を紹介します。


普通教員免許状を取得

大学などで普通免許状を取得する場合は、先ほど説明した「大学に行き直す」「科目等履修生として通う」「通信制大学に通う」といった3つの方法によってかかる費用や時間は異なります。まず、大学に行き直す場合は、通う大学が私立や国立かによっても差があります。文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」のデータによると、私立大学は入学料25万、授業料年間80万円、国立大学は入学料23万円、授業料50万円かかります。


科目履修生の場合は、入学金は2万程度、授業は1単位1万円あたりが平均です。取得する必要のある単位が少なければ、費用も時間もさほどかからないでしょう。通信制大学の場合は、免許取得まで約30万円かかるといわれています。 ただし、単位取得に時間がかかってしまうと、授業料が加算されるため注意が必要です。


教員資格認定試験を受ける

教員資格認定試験を受ける場合は、持っている知識によっても勉強期間は異なりますが、2年前くらいから勉強をし始めることが大切です。


大学などで教育課程を履修していた場合は、知識があるため、勉強期間は少なくなることもあります。小学校の認定試験を受ける場合、実技試験もあり、そのための対策もしなければなりません。


試験自体の受験料は25,000円で、そのほかにも勉強のためのテキスト代や実技対策のための費用も発生します。また、この試験は幼稚園・小学校・特別支援学校のみの免許しか取得できません。


特別免許状を取得

特別免許状を取得の場合は、自分が持っている経験が認められるかどうかがポイントになります。もし、教育委員会から推薦を受ける場合は、その手続きに時間を要します。また、教育職員検定も受けなければならないことも頭に入れておきましょう。


教員採用試験を受ける

教員免許を取得したあと、実際に教員として勤務するために、教員採用試験を受験する必要があります。教員採用試験とは、各自治体が実施する試験で「筆記試験」「面接試験」「論文試験」などがあります。


多くは、1次試験が6月、7月、2次試験が8月、9月にあります。社会人の場合は、特別枠が用意されているケースも多くみられます。


これは、1次試験で行われる筆記試験の代わりに、面接などで対応するなど、忙しい社会人のために考えられた内容です。また、年齢制限を設けている場合もありますが、40代でも受験可能な自治体が多いです。


「学校教員統計調査」によると、平成28年9月の平均の月給は小学校の教員の場合、約336万円、中学校の教員は346万円、高校の教員は363万円というデータだとわかっています。データをもとに、平均年収を求めると、小学校の教員は約504万円、中学校の教員は約519万円、高校の教員は、約544.5万円です。


しかし、教員の給与は各自治体で異なるため、参考程度に見ておきましょう。私立校の場合は、学校で設定されているため、募集要項をチェックするといいでしょう。


社会人が教員免許を取得して教員を目指す

社会人が教員免許を取得するには、大学に行き直したり、通信制大学に通ったりなどさまざまな方法があります。そのため、自分の知識やかけられる時間や費用を考慮して最適な方法を選びましょう。


また、社会人は働きながら目指すことも考慮しなければなりません。そういった普段忙しい人は、専門的な機関でサポートを受けるのがおすすめです。


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