今では多くの人がスマートフォンを所有しており、インターネットやテクノロジーがより身近に感じられるようになりました。
そのため、これからの時代はプライベートや仕事を問わず、テクノロジーをうまく扱えることが求められています。
昨今では、情報の教科が必修として扱われるようになるなど、小学校や中学校、高校で教わることが当たり前になってきました。
そのため、それを教える教員も以前より需要が高まってきています。
本記事では、情報の先生になる手順や高校で必須となる業務内容を資格難易度と合わせて詳しく解説いたします。
必修教科の情報とは?いつから必修教科に?
ここ20年程度で情報が教科として特に注目されるようになり、近年では小学校や中学校、高校で情報の授業が必修教科として扱われるようになりましたが、ここからは情報の授業が必須教科になった現在に至るまでの経緯を見ていきましょう。
教科「情報」の始まりと経緯
1987年の臨時教育審議会の答申を受けて1989年に施行された高校の学習指導要項の中に、現代の情報につながるものが見られます。
教科として確立されていたわけではありませんが、数学や物理、家庭科の中で計算とコンピュータ、探求活動の報告書作成でコンピュータを活用、コンピュータの活用する形で含まれています。
高校で情報が必修教科になったのは2003年度から
高校で情報の教科が必修として扱われるようになったのは、2003年度からです。1996年7月の中央教育審議会の答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」をきっかけに、わずか6年半の準備期間で2003年から情報の学習が始まりました。
現在では、情報社会に対する課題やモラルの考え方を学ぶ「情報と学習」、プログラミングの技法も合わせて学習する「情報の科学」のどちらかを選びます。
選択制であることから、プログラミングも学んでいる生徒は全体の2割程度とされています。[注1]
さらに2022年度からは、この2つの教科を統合して新しい必修教科の情報が始まります。
[注1]総務省:次期学習指導要領と教育の情報化 p.30
https://www.soumu.go.jp/main_content/000525613.pdf (参照:2022-06-24)
2020年からは小学校でプログラミングが必修に
文科省による学習指導要項の改訂があり、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修となりました。
ますますデジタル社会として発展している現代では、その中で生活していくための基礎を作るための学習としての目的があります。
プログラミングの学習では、ネットワークやデジタルツールを最適な形で使えるようなスキルを身につけていきます。
こういったスキルを身につけていくことで論理的な思考を習得していき、直面した問題に対し、解決を目指してさまざまな過程や手法を細分化させられるようになるのです。
小学校で情報を学ぶことで児童たちの判断力や思考力を養い、情報社会で生きていく力を身につけていきます。
情報の先生になるために必要なもの
情報の先生になるためには、以下2つのものが必要です。
教員免許
高校で情報の教科を教える先生になるためには、高等学校教諭免許状(情報)を所持している必要があります。
この教員免許を取得するには、4年生の大学に通う必要があります。既に、大学を卒業しているのであれば、通信制大学で必修教科のみを学ぶ形で取得が可能です。
キャリアのためにプログラミングも重要!
日本は現状、教える側の人材が不足していることなどが原因で、海外水準と比較すると情報の学習が遅れています。
したがって、プログラミング技術と教員免許を取得している人材は高い需要があると考えられます。
教員免許を取得したあとのキャリアを考慮すると、教える側の先生がプログラミングの技術を身につけておくことはとても重要です。
情報の先生の仕事内容とは
担任のクラスを持つ情報の先生を参考に、情報の先生の1日のスケジュールを見ていきましょう。
朝、他の先生と同じように生徒たちが登校する1・2時間前に出勤してコマ数と時限を確認します。
続いて、受け持つクラスの教室の換気や清掃、連絡事項の記入などを行うのが一般的です。
次に、授業のために準備を行います。
まずは前日までに準備してきた資料のセッティングです。
続いて担任として行う業務や提出物の確認、成績の管理を行います。
先生たちで朝のミーティングを行い、ミーティングが終了した後に教室へ移動してホームルームの時間です。
授業の時間がきたら、授業がある場合はコンピュータのある実習室へ、授業がない場合は職員室で休憩し、並行して翌日の授業資料も作成します。
1日の授業がすべて終わったら担任の教室でホームルームの時間です。
生徒たちが下校したら、教室の換気や清掃、消毒を行い施錠します。
部活動の顧問を担当している場合、部活動の指導に行くことも多いようです。
翌日の授業資料を作成したり、成績処理を行ったり、提出分の確認をしたりなど翌日の準備を行い、帰宅します。
高校の情報科の先生になって大変なこと
これまで当たり前のように扱われてきた国語や数学、理科、社会などの教科と情報科では異なる部分が多くあります。
ここからは、高校の情報科の先生になって大変なことを3つ見ていきましょう。
学校に情報科の先生が1人しかいない
昨今では、学校側の教員不足が問題として挙げられています。特に情報科の教員不足は深刻で、実際に320名の生徒に対して1人で情報の授業を行っているケースもあるようです。
教員免許を取得しており、プログラミングの技術も取得している情報科の教員は、かなり貴重な人材といえるでしょう。
先生は授業をするだけでなく試験問題を作る必要もあり、さらに担任として受け持つクラスがあれば、ホームルームや学校行事、進路相談なども行わなければならず、その分過酷さは増してしまいます。
スマートフォンに頼りっきりでパソコンの使い方がわからない生徒が多数いる
デジタル社会として発展が進む現代では、ICT(情報通信技術)は使えるべきという考え方が益々進んできています。
しかし、キーボードでローマ字を打ったり、タイピングができなかったり、最低限の用語もわからなかったりなど、コンピュータに関するスキルを持っていない生徒が多数いるのが現状です。
情報科の授業ではエクセルやワード、パワーポイントの使い方を教わりますが、スマートフォンしか触ったことがない生徒たちにとっては難しいと感じる人も多くいるでしょう。
校内のオンライン化を担うこともある
新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、学校の授業もオンライン化が進められています。
情報科の授業も同様です。これまでであれば、授業で先生が黒板やホワイトボードに書いたことを、生徒たち自身にノートへ写させていましたが、オンライン授業となるとスクリーンで共有用資料をあらかじめ作らなければいけません。
自分が受け持つ情報科だけならまだしも、他の教員からも資料作成を頼まれた場合、自分が持っていない他教科の資料も作ることになり、資料作成に膨大な時間を要してしまうこともあるでしょう。
一方で、もともとICTが求められる教科を担当していたこともあり、オンライン化への順応も比較的スムーズにできるかもしれない点には、不幸中の幸いかもしれません。
情報の先生を目指す人へのアドバイス
情報科の先生の場合、その学校に在籍している人数が1人のことが多く、1人で多くの生徒に教えなければいけないという点で大変に感じられるかもしれません。
特に試験問題は、作成した上で受け持つ生徒すべての採点などを行わなければならないため、より過酷な場合があります。
一方で、大変な部分があれば面白かったり楽しかったりなど、やりがいを感じられるシーンは多いです。
最新のテクノロジーを扱う教科であることから、常に新しい気持ちで授業に取り組めます。
生徒だけでなく、自分自身の成長にもつなげられる部分があるのです。
情報科の先生はなることも大変ですが、なってからも大変です。
だからこそ、感じられるやりがいや自分自身が成長していると実感できる部分が多くあります。
情報科はこれからの時代に求められる重要な教科
これからは、ほとんどの人がテクノロジーに触れ、活用して生きていく時代が益々進んでいきます。
この時代の変化に対応していくためには、小学校や中学校、高校の段階から情報を学んでいくことが大切です。
2022年からは高校の情報に関する授業がこれまで分けられていたものを統合して、リニューアルされます。
情報の授業はこれからの時代に求められる重要な教科です。情報科の先生は、日本の未来を背負っている重要な使命を持っているのです。
教員人材センター編集部
教員人材センターでは、教員の方、教員を目指している方に、教員採用や働き方、学校教育に関する情報を発信していきます。