【高校版】2022年新導入!高校の新学習指導要領の特徴や変更点を解説

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学校教育
【高校版】2022年新導入!高校の新学習指導要領の特徴や変更点を解説
全国どこでも一定水準の教育を受けるための基準となる学習指導要領が2022年に改訂され、高等学校での学習内容が大きく変わります。そこで本記事では、2022年の新学習指導要領の概要や変更点とその要点について解説します。

2022年から高校で実施される新学習指導要領

2022年から高校で実施される新学習指導要領 学習指導要領とは、全国の学校で実施する教育課程(カリキュラム)を一定水準に保つために文部科学省が定めた基準のことです。この基準が設定されていることにより、どの学校にいても一定水準の教育が受けられます。 学習指導要領は社会の変化やグローバル化など、時代の流れや技術革新に対応するため、およそ10年に一度改訂が行われています。 学習指導要領の改定時には科目の新設が行われることもあり、これまでの改訂を例にとると、直近の2015年の改訂では道徳が「特別の教科」となりました。その前の2008年には小学5・6年での外国語活動の導入、1998・1999年には総合的な学習の時間と高校での情報科が導入されています。 そして2022年の改訂では高等学校の学習指導要領が改訂となります。2022年度以降入学の高校生が対象で、現在高校2・3年生は対象外です。今回の改訂では、英語の5領域の強化、2025年の大学入試から導入される「情報Ⅰ」の必修化など、社会の変化に応じた内容となっています。

今回の改訂全体の概要

学習指導要領は、子供が何をどのように学ぶか、何ができるようになるかという観点で「主体的・対話的で深い学びの実現」をさせるという目標がありますが、2022年の新学習指導要領ではこれらを各教科の目標と内容の構成を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」という3つの柱で再整理しています。では、どのような改訂が行われているのか、以下で詳しく解説します。

学習の基準

深い学習内容の理解や資質・能力を身につけることで、将来にわたってアクティブに学びを継続する「主体的・対話的で深い学び」、いわゆる「アクティブラーニング」を実現させるため、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の3つの視点で基準を設けています。 「主体的な学び」では、学びに対する興味や関心を持ちながら将来的なキャリアを見据えて取り組み、振り返りをして次につなげることが実現できているかを指します。 「対話的な学び」は子供同士での協力や活動や教職員や地域の人との対話、先人の考え方などを手がかりとして考えることを通して自分自身の考えを広げ深めることが実現できているかを指します。 そして「深い学び」は「習得・活用・探究」の3つの学びを通して問題解決のために知識を総動員して見方や考え方を働かせること、思いや考えを元に創造することができているかが、基本となります。

新学習指導要領の特徴

「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱が、新学習指導要領で育成すべき資質と能力と定義されています。それぞれ、「社会の中で生きていくために何を理解して何ができるか」「どのような状況にも対処するために、理解していることやできることをどのように使うか」「学んだことを生かしてどのように社会と関わりを持ちより良い人生を送るか」という意味です。 新学習指導要領は、確かな学力を身につけて健やかな体と豊かな心を育む内容を構造化しており、3つの柱をバランスよく総合的に育むことを目指した内容となっています。

新学習指導要領で各教科は何が変わる?

新学習指導要領で各教科は何が変わる? 2022年度より改訂される高等学校の新学習指導要領ですが、具体的に各教科で何がどのように変わるのでしょうか。以下では、教科ごとの改訂要点を新旧の学習指導要領の比較表とともにご紹介します。

「外国語」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
コミュニケーション英語基礎 2
コミュニケーション英語Ⅰ 3 ○(2単位まで減可)
コミュニケーション英語Ⅱ 4
コミュニケーション英語Ⅲ 4
英語表現Ⅰ 2
英語表現Ⅱ 4
英語会話 2
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
英語コミュニケーションⅠ 3 ○(2単位まで減可)
英語コミュニケーションⅡ 4
英語コミュニケーション能力Ⅲ 4
論理・表現Ⅰ 2
論理・表現Ⅱ 2
論理・表現Ⅲ 2
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 「聞く」「読む」「話す」「書く」をバランスよく身につける科目として「英語コミュニケーション」、発信力強化のための「論理・表現」が新設されます。 小学校から高校まで一貫した学習でさまざまな場面に応じたコミュニケーション力を育成し、外国語能力の向上を図ります。

「数学」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
数学Ⅰ 3 ○(2単位まで減可)
数学Ⅱ 4
数学Ⅲ 5
数学A 2
数学B 2
数学活用 2
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
数学Ⅰ 3 ○(2単位まで減可)
数学Ⅱ 4
数学Ⅲ 3
数学A 2
数学B 2
数学C 2
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 社会や日常生活との関連を重視しながら、学ぶことへの関心を高めたり有用性を実感したりしながら、学習の質の向上を図ります。数学では必要なデータの収集・分析を行い、その傾向から課題を解決するための統計教育も充実させています。

「国語」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
国語総合 4 ○(2単位まで減可)
国語表現 3
現代文A 2
現代文B 4
古典A 2
古典B 4
改訂後
科目 標準単位数 必履修科目
現代の国語 2
言語文化 2
論理国語 4
文学国語 4
国語表現 4
古典探求 4
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 国語では、的確な情報の理解と表現力の育成を目的として、確実な語彙の習得、主張と論拠の関係、推論の方法などを科目の特性に応じて学びます。また、日本の言語文化に対する理解を深めるための学習充実として、言語文化や文学小奥語、古典探究が追加されます。

「理科」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目(※)
科学と人間生活 2
物理基礎 2
物理 4
化学基礎 2
化学 4
生物基礎 2
生物 4
地学基礎 2
地学 4
理科課題研究 1
※「科学と人間生活」を含む2科目または基礎を付した科目を3科目 改定後
科目 標準単位数 必履修科目(※)
科学と人間生活 2
物理基礎 2
物理 4
化学基礎 2
化学 4
生物基礎 2
生物 4
地学基礎 2
地学 4
※「科学と人間生活」を含む2科目または基礎を付した科目を3科目 ※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 数学と同様に、社会や日常生活との関連を重視しながら、学ぶことへの関心を高めたり有用性を実感したりしながら、観察や実験を通した科学的な探究を行う学習活動の充実で学習の質の向上を図ります。 さらに創造性豊かな人材育成を目指すことを目的として、「理数探究基礎」(標準単位数1)と「理数探究」(標準単位数2~5)の2科目が新設されます。

「地理歴史」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
世界史A 2
世界史B 4
日本史A 2
日本史B 4
地理A 2
地理B 4
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
地理総合 2
地理探究 3
歴史総合 2
日本史探究 3
世界史探究 3
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 地理歴史は政治経済、社会の変化との関係に着目した日本の文化の特色や世界の自然災害・防災対策、日本の領土や国土についての指導を充実させた科目に改訂されます。

「公民」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
現代社会 2 現代社会または倫理・政治・経済
倫理 2
政治・経済 2
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
公共 2
倫理 2
政治・経済 2
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 現代社会が「公共」という新設科目に置き換わり、必履修科目となります。この新科目は倫理と併せて、人間としての生き方、在り方に関する中核的指導と明記されており、各学校においても校長の元で道徳教育推進教師を中心としてすべての教員が協力して道徳教育を展開するよう、新たに規定されています。また、政治参加の在り方、防災を含めた安全な社会の実現などの教育も公民教育の重要事項です。

「保健体育」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
体育 7~8
保健 2
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
体育 7~8
保健 2
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 保健体育は科目と単位数、必履修科目すべて変更はありません。ただし教育内容の改善事項として、オリンピックやパラリンピックなどの国際大会が国際親善や世界平和への貢献や共生社会の実現に寄与しているなど、スポーツの意義や役割を学び、伝統文化として武道の充実も盛り込まれています。

「家庭」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
家庭基礎 2
家庭総合 4
生活デザイン 4
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
家庭基礎 2
家庭総合 4
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 和食や和服など、日本の伝統的生活文化の継承・創造に関する教育の充実、専門家庭における総合調理実習のほか、消費者の権利や責任を学ぶ消費者保護の仕組みについても公民と併せた教育内容として改善された点です。

「情報」の改訂要点

現行
科目 標準単位数 必履修科目
社会と情報 2
情報の科学 2
改定後
科目 標準単位数 必履修科目
情報Ⅰ 2
情報Ⅱ 2
※参考:【文部科学省】令和元年度地方協議会等説明資料「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について 情報の2科目は再編され、プログラミングや情報セキュリティを含むデータベースの基礎などを学ぶ「情報Ⅰ」をすべての生徒が履修します。また、他の科目も含めてコンピュータなどを活用した学習も充実させます。

新学習指導要領でテスト成績評価の観点も変わる?

学習指導要領が改訂されることにより、評価の観点も変わります。従来の学習指導要領では、「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」の4つの観点で評価が行われてきました。これに対し、新学習指導要領では、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的学習に取り組む態度」の3つの観点での評価となります。 高等学校におけるこれまでの4つの観点での観点別学習状況の評価は、地域や学校によって取り組みに差がありました。そこで、新学習指導要領では指導要録の参考様式を改善し、観点別学習状況の評価の質を高めて充実させています。 「知識・技能」では個別の知識や技能、「思考・判断・表現」は知識と技能を活かして課題の解決などに必要な思考・判断・表現力が身についているか、「主体的学習に取り組む態度」では主体的に学習に取り組んでいるか、興味や関心を持ったことについて進んで調べたり考えたりしているかなどが評価されます。

びす太(KJC-01)

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