履歴書などに教員免許をはじめとした資格を記載する場合は、正式名称での記載が原則となります。特に教員の場合は、教員採用試験を受ける際、必ず履歴書が必要です。
ただ、ご自身がお持ちの免許の正式名称がすぐに思い出せなかったり、「専修」「一種」「二種」の区分が曖昧になってしまっていたりする場合もあるでしょう。 教員の採用は、履歴書から始まっていると言っても過言ではないほど、履歴書は重要な位置づけにあります。
もちろん、教員採用試験に限った話ではありませんが、そんな大切な履歴書で「一般常識をしっかりと理解した人物」という印象を与えるためにも、教員免許などの資格の正しい記載が必須であることは間違いありません。
そこで今回の記事では、教員免許の正式名称を紹介します。 ご自身の可能性をご自身で狭めてしまわないためにも、ぜひご一読いただき、履歴書記載にお役立ていただければ幸いです。
目次
教員免許の正式名称は「教育職員免許状」といいます。 教員免許にも様々な種類や区分が存在しており、それぞれの正式名称は後述いたしますが、「教育職員免許状」は、教員免許全般を指す言葉です。
この「教育職員免許状」は、そもそもサイズが賞状くらいあるため、運転免許証のように、教壇に立つ上で常に身につけていなければいけないものではありませんが、もちろん、自宅で大切に保管しておく必要があります。なお紛失してしまった場合、再発行はできません。教育委員会に申請することで、授与証明書が発行されます。
また、一言で教員免許と言っても、「普通免許状」「特別免許状」「臨時免許状」などの種類や、「専修」「一種」「二種」などの区分があるため、履歴書に記載する際には、種類や区分も含めて正しい名称を記載しなければなりません。
それでは、先述の3種類の免許状には、どういった違いがあるのでしょうか。 教員免許取得者にとっては基本中の基本ですが、下に詳しく記述いたしますので、改めて確認してみましょう。
普通免許状は、もっとも一般的な教員免許です。 学位に応じて「専修」「一種」「二種」の3つに区分されていますが、その3つの区分については後述いたしますので、そちらをご確認ください。 所要資格を経て必要書類を添え、申請を行うことで授与される免許で、多くの教員が所持している免許です。
有効期限は取得してから10年間となっており、全国の学校に適用されます。 そのため、この免許状を持っていれば、全国どこの都道府県の学校も受けることができるのです。
特別免許状も普通免許状と同じく「教諭」の免許状ですが、普通免許状よりも試験の難易度が高いと言われています。 この免許状を取得するには、社会的な経験を有している任命者か雇用者の推薦が必要で、教科に関する高い知見や社会的経験、職務に必要な熱意などが求められるのです。
それだけではなく、教育職員検定を経る必要もあり、授与は滅多にないものと言えるでしょう。有効期限は普通免許状と同様に10年間で、授与された都道府県の学校で適用されます。
臨時免許状は、普通免許状を所持していない人でも、期限付きで教員(助教諭)になることができる免許状です。 学校側の理由で、普通免許状を有した人物を雇用できない場合のみ、教育職員検定を経て授与されます。
有効期限は3年間と短いですが、学校が相当期間にわたって普通免許状を取得している人物を雇用できない場合は、都道府県が教育委員会規則を定めることで、有効期限を6年間に延長することができます。
さて、ここからは、一般的に多くの教員が取得している「普通免許状」にフォーカスしていこうと思います。 通常、「教員免許」と言われるこの「普通免許状」ですが、「教員免許」が正式名称ではありません。 幼稚園・小学校・中学校・高等学校、それぞれ名称が異なりますので、各々を確認していきましょう。
中学校・高等学校の採用試験を受ける方の中には、幼稚園や小学校の免許をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。 その場合は、もちろん履歴書にも幼稚園や小学校の免許所持の事実を記載しなければいけません。
幼稚園・小学校の免許の正式名称は、以下です。
区分 | 大学院修士課程卒業 | 4年制大学卒業 | 短期大学卒業 |
幼稚園 | 幼稚園教諭専修免許状 | 幼稚園教諭一種免許状 | 幼稚園教諭二種免許状 |
小学校 | 小学校教諭専修免許状 | 小学校教諭一種免許状 | 小学校教諭二種免許状 |
中学校の教員免許の場合も、幼稚園・小学校の記載を応用すれば問題ありません。 ただし、中学校からは教科を記載する必要があります。
具体的には以下のようになり、中学校の英語の免許を所持しているのであれば、
区分 | 大学院修士課程卒業 | 4年制大学卒業 | 短期大学卒業 |
中学校教諭専修免許状(英語) | 中学校教諭一種免許状(英語) | 中学校教諭二種免許状(英語) |
となります。
高等学校の教員免許の正式名称は、中学校の表記と変わりません。
具体的に、高等学校の国語の免許を所持しているのであれば、
区分 | 大学院修士課程卒業 | 4年制大学卒業 |
高等学校教諭専修免許状(国語) | 高等学校教諭一種免許状(国語) |
となります。 ただし、高等学校の教員免許に二種はありません。
さて、ここで気になるのが「専修」「一種」「二種」の違いかと思います。 取得できる免許状にも関わってきますので、よく確認しておくようにしてください。
専修とは、修士の学位を保有している、つまり、大学院の前期博士課程を修了していることを前提とした免許状となります。 以前は3種類の中でもっともステップアップしやすいと言われていましたが、現在ではそのような傾向は薄いようです。
一種とは、学士の学位を保有している、つまり、4年制大学を卒業したことを前提とした免許状です。 4年制の大学を卒業すれば、一種の免許状を取得する資格が与えられます。
二種とは、短期大学士の学位を保有している、つまり、短期大学を卒業したことを前提とした免許状です。 この後詳しくご説明しますが、短大卒では取得できない免許状も存在します。
「専修」「一種」「二種」の教員免許についてご説明してまいりましたが、実は、二種、つまり、短大卒では取得できない免許状があります。 それが、正式名称一覧の項目でも少し触れた、高等学校の教員免許です。
高等学校の教員免許取得を目指している場合、大学、もしくは大学院を卒業する必要があるため、注意する必要があります。
また、先ほどもお伝えいたしましたが、専修だからといって「採用されやすい」「出世しやすい」といったことは、現在ではほとんどありません。 実力・人物重視の採用や出世となりますので、「少しでも早く現場で経験を積みたい」「中学校の免許だけ取れればいい」とお考えの方は、二種の免許状でも特別問題はないでしょう。
ただし、二種を取得後に一種に切り替えたい、となった場合、所持する免許状に相当する学校の教員として、所定期間、良好な成績で勤務し、その上で大学や通信教育等で決められた単位を取得する必要があります。 一種から専修に切り替える場合も同様です。
今後一種や専修に切り替える可能性が拭いきれないのであれば、最初から一種や専修を取得してしまうのも手でしょう。
教員を志願する方で、教員免許の正式名称が一番必要になる場面は、やはり履歴書を記載するときです。 ここでは、中学・高校の教員免許を履歴書に記載する場合の正しい書き方についてご説明します。
履歴書には、「教員免許を取得した年月」「教員免許の正式名称(教科)」「取得」を一行で記載します。
例えば、取得年月が2015年3月、4年制大学卒業、教科が数学の場合、
「2015年3月 中学校教諭一種免許状(数学) 取得」
とするのが正しい記載方法です。
中学や高校の場合、教科まで記載してはじめて正式名称とみなされますので、忘れずに記載するようにしてください。
複数の免許を所持している場合は、一行にひとつずつ記載しましょう。 一般的には、取得年月の古い順に記入します。取得している資格によっては、強調したい資格を上に記載しても問題ありません。運転免許など、強調する必要がない資格は下にするなど、書き方を工夫して上手にアピールしましょう。 以下に例を示します。
2015年3月 高等学校教諭一種免許状(英語) 取得 2017年3月 中学校教諭一種免許状(英語) 取得 2015年6月 TOEIC 870点 2014年8月 普通自動車第一種運転免許 取得
教員免許は卒業と同時に取得できることが多いことから、卒業前に記載する履歴書には「取得」と断定で記入することはできません。 卒業前に履歴書を作成する際は、「取得見込み」として記載するようにしましょう。
2021年3月に卒業(取得見込み)の場合は、
「2021年3月 中学校教諭一種免許状(社会)取得見込み」
といったように記載するのが正しい方法です。
先述した通り、教員免許には有効期限があります。 普通免許状の有効期限は取得から10年で、10年ごとに講習を受けて更新する必要があるのです。 ただし、実際に教員として働いておらず、免許状だけ所持している、といった方は、原則としてその講習を受けることができません。 当然、免許を更新することも不可能です。
免許状は持っているがこれまで教員として働いていなかった、といった場合に履歴書に記載する際は、
「2010年3月 中学校教諭一種免許状(数学) 取得(更新講習未受講)」
と記載するようにしてください。
多くの方が簡略的な「教員免許」という言い方をするため、教員を目指している方でも免許の正式名称を忘れがちです。 教員採用試験は何度も受ける方も少なくないため、その度に履歴書の記載で時間を取られていることでしょう。
「教員人材センター」は、私立学校との強固なネットワークで学校と求職者とをマッチングさせることだけが特色ではありません。 履歴書への記載や、正式な書類への記載に不安が残る場合も、「教員人材センター」がアドバイスや添削を行うことが可能です。
多くの教員志望者の履歴書添削を行ってきたその道のプロが、履歴書での正しい記載方法・アピール方法をお伝えいたします。
何事にも言えることですが、履歴書は、教員として本格的に歩んでいくための第一歩。 「教員人材センター」が細やかにサポートいたしますので、ここでつまずかないためにも、教員免許の正式な記載方法をしっかりと身につけておきましょう。
教員人材センター編集部
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