学校でICT導入の実務的な支援をする、ICT支援員。ICT教育を進めるにあたって、新しい仕事として将来性が期待されている仕事です。
学校で働いていたり、教員を目指していたりするなら聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
聞いたことがあっても、業務内容や必要性についてはよく知らない人もいるでしょう。
本記事では、ICT支援員の仕事やなり方を解説します。併せてICT支援員に必要な資格やスキルも紹介するので役立ててください。
目次
ICT支援員とは、学校でICT教育を推進するための実務的な支援を行う専門スタッフのことです。
すべての子どもたちの情報活用能力を伸ばすための役割があります。
主な仕事内容として、児童・生徒や先生がICT機器をスムーズに使えるようにサポートしたり、ICT環境の運用管理をしたりすることが挙げられます。
また文部科学省は、2022年までに全国の小中学校で4校に1人のICT支援員配置を目標に掲げています。ICT支援員は文部科学省が推進する、新しい教育の仕事です。
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次はICT支援員になるために必要な条件を解説します。
ICT支援員は特定の資格や免許が必要な業務独占資格ではないため、ICTの活用能力や高いコミュニケーション能力があれば採用されるチャンスはあります。
しかし、採用のチャンスを増やすためにICT支援員試験に合格しておいた方がいいでしょう。
ICT支援員認定試験は、年に2回(6月・11月)に実施されています。
試験はA領域とB領域、2つの領域から出題されることが特徴です。両方で合格点に達する必要があります。
まずA領域の試験は手書きでの回答ではありません。試験当日に受験会場を訪れ、コンピューター上で実施するCBT方式のため注意しましょう。試験内容は実践的な知識が求められるものがメインです。
教育現場や情報技術の用語や操作方法、情報モラルの指導など、実際の教育現場で想定されるさまざまな問題にすぐ対処できるかどうかを判断する内容です。ICT支援員は教育現場の仕事のため、情報やICT関連だけでなく、子どもとのコミュニケーションや職務など学校特有の問題に対する理解も求められる内容となっています。
一方、A領域試験の1週間後、A領域の合否結果とともに送られてくる課題を動画で提出するのがB領域です。ICT支援員として教育現場で起こりうる問題に対応ができるか、技術的な内容を児童・生徒や先生にわかりやすく説明できるかが問われる課題です。
問題の起こった場面を的確に把握し、先生にその状況や対応を的確に説明できるかが評価の分かれ道となります。なお提出期限は課題提示日も含めた5日以内です。
ICT支援員認定試験の受験には、特に必要な免許はありません。
原則として20歳以上で、ICTに抵抗がなく、人の役に立ちたいと考えている人ならだれでも受験できます。
ICT支援員認定試験の受験料は13,800円(税込)です。クレジットカードやコンビニ(Pay-easy)などで支払えます。
ICT支援員認定試験の受験申し込みは、インターネット受付のみです。パソコンやスマートフォンで申し込みできます。
申し込むには、まず試験を実施しているCBT-Solutionsで受験者登録をし、ユーザーIDとパスワードを取得します。登録後、ユーザーIDとパスワードでログインし受験予約を行いましょう。
受験料の支払方法を選択すると、受験予約が完了します。登録したメールアドレスに予約完了のお知らせが届くため、内容や支払方法、試験会場の確認を忘れずに行うとよいでしょう。
ICT支援員認定試験を受ける上で、気になるのが合格者数と合格率です。2021年の前期試験では299名、後期試験では275名と発表されています。また合格率は非公開ですが、およそ65%とされています。
ICT支援員認定試験の難易度はそこまで高くないのが現状といえるでしょう。
ICT支援員として働く人のなかには、ICT支援員認定試験だけでなくICT支援員上級認定試験を受験している人もいます。
ICT支援員上級認定試験は、2019年からスタートした試験です。受験の条件は、ICT支援員に高得点で合格してから4年以内で、ICT支援員として2年以上の実績があることです。ICT支援員認定者のなかでも特に優秀で実績のある人のための資格といえます。
試験にはC領域の内容が出題されます。試験内容は問題解決やコミュニケーション能力に関する実践的な課題と面接です。合格後はICT支援員上級として認定され、キャリアアップに役立つでしょう。
ICT支援員になるにはICTに関する知識や技術は必要ですが、教員免許は不要です。自分が直接授業を担当することはないため必要ありません。教員免許は取得していないものの、教育現場で子どもたちの役に立ちたいと考えている人にはおすすめの仕事です。
ICT教育を推進するために、学校に出向いて子どもたちの情報活用能力を高めるサポートをするICT支援員。仕事内容は多岐にわたりますが、主な仕事内容は以下のとおりです。
ここで挙げた仕事内容はほんの一例です。ICTに関する多岐にわたる仕事を担当すると考えていいでしょう。いずれも高いICTスキルやコミュニケーション能力が求められる業務ばかりです。
また毎日発生する仕事だけでなく、ときにはICT機器やネットワークの突発的に発生するトラブルにスピーディな対応を求められることもあるでしょう。児童・生徒だけでなく、多忙な教員が滞りなくICTを活用できるよう、あらゆる細やかなサポートをする仕事と考えるとイメージがしやすいでしょう。
雇用形態にもよりますが、ICT支援員として雇用されると一度に複数の学校を受け持つことがほとんどです。自治体や学校によって仕事内容に差があるだけでなく、ICT教育がどの程度定着しているかによっても仕事内容が変わってくるでしょう。
次にICT支援員の雇用や勤務形態について解説します。ICT支援員の雇用や勤務形態はさまざまですが、まずは大きく直接雇用と業務委託に分けられます。
それぞれの勤務形態の特徴やメリット、デメリットをみていきましょう。
直接雇用は自治体(教育委員会)や学校側(私立学校を運営する学校法人)が嘱託職員として直接採用する方法です。ほとんどがフルタイム勤務で、収入の目安は月収20~27万円ほどです。
フルタイム勤務であっても夜遅くまで働くということは少なく、契約にもよりますが、学校の業務時間内の勤務のため基本的に土日は休みです。
なお嘱託職員のため正社員のように無期雇用ではありません。契約期間が定められているケースがほとんどです。
ICT支援員になるには直接雇用だけでなく、業務委託で働く方法もあります。業務委託として、ICT支援員を斡旋する委託業者に登録をしておいて、自治体や学校側から依頼があった場合に派遣する形で勤務する方法です。フルタイム勤務ではなくシフト制がほとんどです。収入の目安としては、時給1,350〜1,800円ほどになります。
業務委託の場合は、契約以外の校務を行うケースはあまりありません。そのため、子どもたちへの生活指導や残業も少ないと考えていいでしょう。
次は、ICT支援員になるにはどのような能力が必要かを解説します。主に必要な能力は以下のとおりです。
必要な能力についてそれぞれ解説していくと、まずICT支援員として必要不可欠なのはITに関する知識の高さです。サポートする児童・生徒や先生よりも高いITリテラシーが求められる仕事です。
加えて教育現場で使うICT機器を問題なく活用できることも必要な能力です。ネットワークの保全や機器の納品・工事に関わる対応までは求められていなくても、基本的なICT機器の使用スキルは必要です。
なおICT支援員になるための必須資格はないものの、高いITリテラシーやICT機器の基本的な使用スキルを証明するためにICT支援員認定試験に合格しておくのは効果的といえます。
ICT支援員の仕事は、子どもたちや先生と直接コミュニケーションを取る仕事です。ICTの知識やスキルも大切ですが、高いコミュニケーション能力も欠かせません。子どもたちや先生のICTスキルは人によって差があるため、質問されたときにはどんな人にも適切に受け答えできるスキルが求められます。
またICT支援員の役割は、ICTを活用するためのサポートがほとんどです。そのため人をサポートすることが得意な人が活躍できる仕事です。児童・生徒や先生のICT活用サポートをすることに、やりがいや楽しさを感じられるような人が向いているといえるでしょう。
ICT支援員を目指す人のなかには、将来性のある仕事かどうかが気になる人もいるでしょう。
ICT支援員は将来性の高い仕事です。事実、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想においてICT支援員は必要不可欠な職業といえます。GIGAスクール構想において、児童・生徒と教員がICTを活用できるようになるためには、ICT支援員のサポートが欠かせません。
またGIGAスクール構想は新型コロナウイルス感染拡大を受けて前倒しで進められており、その重要性は高まりました。よってICT支援員は、将来性のある仕事だといえるでしょう。
学校に出向き、ICT教育推進の実務的な支援をするICT支援員。文部科学省を挙げて整備を進めていることもあり、将来性のある仕事といえます。
ICT支援員になるためには教員免許は不要ですが、ICTの活用を支援できることをアピールするための認定試験の合格は必要不可欠といえます。まずはICT支援員認定試験合格を目指すところからスタートしましょう。
なおICT支援員が活躍するのは教育現場です。知識や資格だけでなく、コミュニケーション能力の高さなども求められることを覚えておきましょう。
教員人材センター編集部
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