MOOC(ムーク)とは大規模に開かれたオンライン講義!その内容とは?

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#教育ICT

監修者

田坂圭吾

教員人材センター キャリアコンサルタント

学校教育

大学の授業が無料で受けられるサービス、MOOC。貴重なサービスではありますが、日本ではまだ認知が広がっておらず、利用している人数も少ないです。そのため、実際はどんなシステムなのかわからないという方も多いでしょう。

そこで本記事ではMOOCとはどんなサービスなのか、どのような大学が講義を提供しているのか、メリット・デメリットについてもお伝えします。


MOOCとは無料で受けられるオンライン講義

MOOCとは、世界中の教育機関の講義を無料で受けられるサービスです。MOOCという名前はサービスの特徴を表した単語の頭文字からつけられています。

・Massive(大規模)
・Open(開かれた)
・Online(オンラインの)
・Course(講座)

MOOCは2008年頃にアメリカで誕生し、今や世界中に広がっているサービスです。


MOOCの仕組みと日本の状況

MOOCは大学と映像配信のWebプラットフォームが提携することで実現されたサービスです。MOOCで講義を受けたい場合は、メールアドレスなどを登録するだけで簡単に受講できます。

日本で利用する人はまだまだ少ないです。しかしながら、MOOCには東京大学や早稲田大学を始めとした多くの大学が講義を提供しています。

日本最大のMOOCであるJMOOCでは、1回10分程度の動画が週5~10本程度配信されます。小テストやレポートなどの課題も出されます。また、講師へ質問できたり、他の受講者との交流ができたりと講義に参加したくなるような仕組みが整えられているのです。


MOOCはこんな人におすすめ

オンライン学習のプラットフォームMOOCには、様々な活用方法があります。個人的な趣味で学びを深めることもできれば、仕事に活かすこともできます。次のいずれかに当てはまる人は利用することをおすすめします。

・通ってみたい大学がある
・深く学びたい学問がある
・プログラミングなどのスキルを習得したい
・教員として働きたい

気軽な気持ちで学びたい方から、スキルを身につけて人生を好転させたい方までMOOCは対応しています。講義を修了した人が得られる有料の修了証は就職先にも提示できます。

また現役の教員の方や、教員として働きたい方にもMOOCはおすすめです。専門機関の深い知識を得ることができるため、上質な教材研究ができるでしょう。得た知識を授業に活かせば、子どもたちに世界最新の知識を提供できます。

教員を目指している方は、面接や模擬授業などでMOOCのことを話せば「勉強熱心な人だ」と認められ、採用に一歩近づくかもしれません。特に私立学校ではICT教育に力を入れている学校もあるため、うまくアピールすることができれば必要な人材とみなされることもあるでしょう。


MOOCのメリット

教育界の革新的なサービスであるMOOCには様々なメリットがあります。


学びたい人が無料で学ぶことができる

MOOCでは「学びたい!」という意志さえあれば誰もが無料で学ぶことができます。「学生の時にもっと学んでおけばよかった」と後悔し、もう1度学び直したい社会人にとって最適なプラットフォームです。

また、無料であるため、様々な事情で大学に通えなかった人も気軽に大学の講義を受けられます。MOOCは、教育格差も是正してくれるサービスなのです。


世界中の講義が自宅で受けられる

MOOCは世界中の講義が自宅で受けられます。スタンフォード大学やハーバード大学など世界的に有名な大学、GoogleやAmazonなど現代人を支える大企業、英国国立博物館など世界有数の専門機関がMOOCに講義を提供しています。もちろん、講義のほとんどが英語です。英語の勉強をするつもりで受けてもいいかもしれません。海外のサービスの中にもわずかながら日本語で受講できる講義もあるため、気になる人はそちらを見るといいでしょう。日本版MOOCであれば言語の心配は必要ありません。


質の高い講義が受けられる

世の中には「講義」と呼ばれるサービスがたくさん存在します。しかし、その品質には大きな差があります。MOOCに提供される講義は、前述したように大学などの教育機関や世界的な企業であるため、高品質であることが保証されています。


MOOCのデメリット

ここまで魅力的な部分を紹介してきましたが、いくつかのデメリットもあります。


モチベーションの維持が難しい

MOOCの講座を最後まで継続して受講するには、モチベーションの維持が必要です。しかし、このモチベーションの維持が難しいのです。

自宅から無料で受けられることが大きな理由です。お金を払っていれば「受けないともったいない」という意識が働きます。しかし、無料なら受けなくても受講者にとって損はないのです。

最初はやる気があった受講者でも日常生活が忙しくなったり、講義の内容が少しでもつまらないと思ったりするとすぐに離脱してしまいます。


修了率が低い

モチベーションを維持することが難しいため、必然的に修了率が低くなってしまいます。講義を修了する人はなんと全体の10%未満しかいません。しかし、MOOCを修了して有料の修了証を受け取れば、就職の際に提示できるため、就職の幅が広まります。

有料サービスを利用してもらえれば、サービスの拡充に進めることができるでしょう。それにも関わらず受講者の10%未満しか修了できない状況は大きな課題です。


MOOCを導入している大学・機関・企業

世界中のたくさんの大学や機関、企業が講義を提供しています。MOOCを通して日本ではあまり知られていない情報を入手できるかもしれません。導入している大学や機関をいくつかご紹介します。


スタンフォード大学Coursera

スタンフォード大学は「シリコンバレー発祥の地」と呼ばれ、政財界やIT産業、宇宙飛行士など世界で活躍する人材を生み出す名門校です。Couseraはスタンフォード大学が始めたMOOCです。


ハーバード大学 edX

ハーバード大学は1636年にアメリカで設立された長い歴史を持つ名門校です。edXは2012年にハーバード大学とマサチューセッツ工科大学によって提供開始されたサービスです。


オックスフォード大学 edX

Times Higher Educationの世界大学ランキングで1位を獲得しているオックスフォード大学。文学界、政界、経済界などで活躍する著名な卒業生がたくさんいます。2016年よりedXに参入しました。


Google Udacity

UdacityはIT分野を中心にデータサイエンスやプログラミングなどの講義を配信しているMOOCです。GoogleやIBM、Amazonなど有名な企業の講義がUdacityで受けられます。


大英博物館 FutureLearn

FutureLearnはイギリスで初めて誕生したMOOCです。世界最大級の博物館である大英博物館や大英図書館などが講義を提供しています。日本の慶応義塾大学も参加するMOOCです。


東京大学Coursera

日本においてトップを誇る東京大学。東京大学は世界でMOOCが広まり始めた頃に日本で初めてMOOCに参入しました。日本の文化や医療、IT産業などの講義を提供しています。


今すぐ世界を広げてくれるMOOC

MOOCを使えば、誰でも今すぐに世界が広がります。日常生活では得られない専門知識や専門スキルを身につけることができるので、まだ知らない自分の可能性に気づけることもあるでしょう。 MOOCは「学びたい」「成長したい」という意志に寄り添ってくれる心強いサービスです。

びす太(KJC-01)

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