中学校の先生を目指す理由は人それぞれですが「なんとなく自分に合いそうだから」「将来が安定していそうだから」などと漠然と思っている人も多いかもしれません。
しかし、先生の仕事は授業を通して知識を教えるだけではなく、生活指導や進路指導もあり、難しい事柄に直面することも多くあります。そのため、しっかりとした志望動機と「先生になりたい」という強い気持ちを持っていないと、採用に結びつかないことがあります。
本記事では志望動機を考えるときのポイントを、例文とともに解説していきます。中学校の先生を目指している人は、ぜひ本記事の内容を役立ててください。
目次
志望動機をまとめる前に、中学校の先生を目指したきっかけについて思い起こしてみてください。
人によってきっかけはさまざまですが、先生になりたいと思った原点を見つめることは、志望動機を考える上でとても大切です。
人生は過去、現在、未来とつながっています。過去を掘り起こすと、その延長線上にある未来において、自分がやりたいことが見えてきます。そのやりたいことこそが、志望動機となるはずです。
中学校の先生を目指すきっかけや現在考えていること、理想とする未来の先生像を考えると、自ずと志望動機が見えてくるでしょう。
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では実際に、面接官にどのように志望動機を伝えたらいいのでしょうか。志望動機を考える際のポイントと、伝え方について見ていきます。
志望動機について話す時できるだけはっきりと具体的な言葉で伝えることが大切です。
たとえば「ステキな先生に出会ったから」などのようなあいまいな表現だと、相手に気持ちが十分に伝わりません。
ステキな先生について話すのであれば「いつも笑顔で優しく見守ってくれる先生」「厳しかったけれど間違ったことは言わない先生」など、できるだけ具体的に特徴を伝えることが大切です。ステキな先生に会ったことがない人でも、どんな先生だったかイメージができるよう工夫しましょう。
日本の教育制度の中には中学校以外に、小学校や高校などさまざまな教育機関があります。その中で「なぜ中学校を選んだのか」という理由を明確にするのも大切です。
多感な時期の中学生と接するのは、なかなか難しいものがあります。人格形成において大切な時期でもあることから、社会でも通用するようなマナーやルール順守の気持ちも教えなくてはいけません。もちろん、義務教育の中で教えるべき教科に関する十分な知識も求められます。
それでも中学生を指導したいという理由が伝えられると、面接官からの評価も高くなるでしょう。
志望動機を考える上で、一方的な自分の思いだけでなく、相手のニーズについても考えておく必要があります。そこで、中学校の先生に求められる資質を理解しておくことが必要です。
一般的に先生に求める資質としては、生徒に対して教育的愛情が持てることや、担当教科に関する専門知識を持っていること、一般的な教養があることなどが挙げられます。
ただし、自治体や学校によって求めている人物像は異なる可能性があります。自治体の中には、教員に求める資質についてホームページや採用試験実施要綱などに書いている場合があるので調べてみてください。
その人物像に自分とマッチしている部分を探して、志望動機でアピールするのもおすすめです。
「自分が何をしたい」という希望だけではなく、自分が先生になることで中学校や生徒に「何を提供できるのか」をアピールすることも大切です。
「みんなを明るくできる」「他の先生と協力しあいながら業務を進められる」「子どもたちの学力向上に貢献していきたい」など、学校というチームの中で、自分が貢献できそうなことを伝えてみてください。
志望動機については、最初にお伝えした「きっかけとなったエピソード」などの実体験を含めながら話せると、より話に幅が出ます。
たとえば、以下のようなエピソードが考えられるでしょう。
内容は人によってさまざまですが、自分ならではの思い出を交えることで、ありきたりではない志望動機を表現できます。
中学校の採用試験で志望動機を聞かれたときの例文3つと、NG例1つを紹介します。
私は子どもたちの可能性を引き延ばしたいと、先生を志しました。中学3年のときの担任の先生は運動が苦手な子に「授業に向かう態度がとてもよい」と褒め、勉強が苦手な子には「いつも運動がんばっているね」と声をかけそれぞれの個性を伸ばしてくれました。
私も、生徒一人ひとりをしっかりと見ながら、それぞれの個性を伸ばせる先生になりたいと思います。
恩師との思い出を具体的に語ることで、話に深みを出せています。また、自身がどういう先生になりたいと思っているのかが明確に分かります。
生徒に数学の楽しさをいっぱい知ってもらいたいと思い、教員を志望しました。
私はもともと算数や数学が苦手な子どもでした。ところが中学2年生のときの先生は、公式の丸暗記ではなく、公式そのものを生徒が発見できるように丁寧に導いてくれました。やがて、私はどんどん数学の楽しさにはまり、もっと勉強したいと思うようになっていました。
私も、生徒から積極的に学びたいと感じてもらえるような授業がしたいと考えています。
中学時代の数学教師のことを具体的に伝えることで、どんな先生を目指したいのかを明確に伝えられています。
人のつながりの大切さを伝えられる先生になりたいと志望しました。
私は中学時代にバスケットボール部に所属しました。3年の県大会ではあと一歩のところで決勝で敗れ、とても落ち込みました。しかし顧問から補欠の生徒も含めチームが一つになれたことを、とても褒めてもらえました。今も、そのときの仲間と先生とは交流が続き、私の財産となっています。
その経験から、子どもたちに大切な仲間とともに思い出深い中学校生活を送ってもらいたいと考えている次第です。
中学時代の部活のエピソードを入れることでオリジナリティのある志望動機になっています。
中学2年生のときの担任は国語の先生でした。授業の課題とは別に、さまざまな文学作品を紹介してくれ、特にその中で私は森鴎外に強く惹かれました。最初に読んだ作品は「舞姫」で、以降、すべての作品を読破し、そのときに感じたことは今も大切な財産となっています。
その先生のように、思春期に大きな影響を与える文学作品を生徒たちに紹介したいと思い先生を目指しました。
この例文では、わざわざ舞姫という作品を出しながら、それがどのように志望動機につながったのか、具体的なことが分かりません。
自治体により採用試験の内容は異なりますが、個人面接や集団面接、そして模擬授業が行われることもあります。具体的にどのような内容なのか見ていきます。
中学校教員の面接では個人面接と集団面接が行われます。
個人面接では、志望動機や、学生時代のエピソード、専門教科をどう生徒に教えたいと考えているのかなどについて聞かれることが多いようです。
一方、集団面接では、他の人も回答ができるように時間的な気配りができるのかといったことも見られる他、グループの中でリーダータイプなのか、調整役タイプなのか、協調性は豊かなのかなどが評価されます。
個人面接と集団面接では内容やチェックされている点が異なるので、それぞれのシミュレーションを行っておくことが大切です。
自治体によっては模擬授業を採用試験に加えている場合があります。テーマは事前に伝えられる場合と、採用試験当日に聞かされる場合があります。また、課題も専門教科に関するものや、学活や進路指導などがテーマとなる場合もあります。
実際に生徒がいると仮定した試験のため、板書の書き方や声の大きさ、トーン、言葉遣いを意識しつつ、ときには生徒と双方向にやりとりしているような場面も取り入れるといいでしょう。
持ち時間は10~15分であることが多いです。限られた時間内で授業を完結できる構成力も試されるため、あらかじめ過去問題を確認しておきましょう。
教員採用試験では、明確な志望動機を伝えることが大切です。また採用担当者に志望動機を伝える際には、漠然とした表現ではなく、具体的な言葉で具体的なエピソードと共に話すことが大切です。採用試験当日には個人面接の他、集団面接が行われ、さらには模擬授業をしなければならないことがあるので、その点も事前に確認しておきましょう。
今回は志望動機の例文も紹介しましたが、もちろん、自分のエピソードを用いて、自分の言葉で伝えることが大切です。先生になりたいと思ったきっかけから思い起こしてまとめてみてください。
教員人材センター編集部
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