社会の先生を目指している方にとって、必要な教員免許の種類や社会の先生の仕事内容を事前に知っておくべきことは重要です。
本記事では、社会の先生の役割から先生になるまでの流れなども解説しますので、現在社会の先生を目指している方は参考にしてください。
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目次
社会の先生になるためには、教員免許の取得が必要です。
3つの種類がありますので、どのような免許なのか一つずつ解説していきます。
大学を卒業して、学士を取得した人が取得できる普通教員免許状が一種免許状です。
先生として活躍している多くの人は、この一種免許状を取得しています。
短期大学士の学位を持っている人が取得できる普通教員免許状が二種免許状です。
短期大学を卒業すればこの二種免許状が取得できます。
中学校の教員にはなれますが、高校の教員になることはできません。修士の学位を取得した人が取得できる普通教員免許状が専修免許状です。
修士は大学院の前期課程を修了すると取得できる学位です。
一度一種免許状を取得し先生として活躍している人が大学院に入学して、ステップアップのために専修免許状を取得することもあります。
教員免許は教科別のため、社会の先生になるためには以下の教員免許が必要になります。
中学校で社会の先生になるために必要な教員免許です。
短期大学・大学・大学院前期課程を修了することで取得できます。またすでに卒業している場合や、大学で必要な科目の単位が取得できなかった場合は、通信制で必要な科目だけを学んで取得を目指すこともできます。
日本史A・日本史B・世界史A・世界史B・地理A・地理Bを高校で教えるための教員免許です。
大学もしくは大学院前期課程を修了することで取得できます。短期大学では取得できません。
大学を卒業している場合などは、通信制でも取得ができます。
現代社会・倫理・政治経済を高校で教えるための教員免許です。
大学か大学院前期課程を修了していれば取得できます。
短期大学では取得できません。
こちらも大学を卒業しているのであれば通信制で取得可能です。
社会の先生になるまでの流れを解説します。
中学校の社会の先生になる場合と、高校の社会の先生になる場合で若干異なりますので注意しましょう。
社会の先生になるために必要な教員免許が取得できる教職課程のある大学・学部に進学するのが最初の一歩です。
必要な免許が取得できるかは文部科学省のサイトで確認しましょう。
中学校の社会の先生を希望する場合は、短期大学もしくは大学で「教育職員免許法」に定められている社会の先生になるために必要な単位が取得できる学部への進学を目指します。
教職課程があって必要な単位が取得できれば何学部でも構いません。
高校の社会の先生を希望する場合は、大学もしくは教職課程のある大学卒業後に大学院前期課程を修了し、「教育職員免許法」で定められている必要単位の取得を目指します。
短期大学では高校の社会の先生を目指せないので注意しましょう。
教員免許は大学・短大・大学院(高校の社会の先生の場合は大学もしくは大学院のみ)で、「教育職員免許法」で決められた必要な単位を取得すれば教員免許を取得できます。
卒業後各自治体の教育委員会に申請すれば、教員免許が授与される仕組みです。
学校によっては中学のみ・地理歴史のみ・公民のみなど、3種全ての教員免許を取得できない場合があります。
その場合は通信制大学に編入し、必要な単位を取得すれば不足している教員免許の取得も可能です。
ただ、例えば「高等学校教諭免許状」しか取得していない人が中学校教諭免許状の取得を目指す場合、通信制大学でさらに期間が必要となるため、大学選びを慎重に行うことをおすすめします。
社会科は高等学校教諭免許状でも「地理歴史」と「公民」が別のため注意が必要です。
社会の先生として働きたい場合は、自治体の教育委員会などから教員採用試験の募集要項を入手しましょう。
募集要項に従って、教員採用試験に出願します。
この教員採用試験は、公立学校で社会の先生になるための試験です。
合格した場合は試験結果の上位者から「教員採用候補者名簿」に登録されて、上位者から順番に採用の内定が出されます。
定められた欠格事項に該当している場合は、教員にはなれませんので注意しましょう。
最近は社会人特別選考という枠があります。
これは社会人を一度経験している人のための教員選考枠で、筆記試験が一部免除になるものです。
ただその代わりにプレゼンテーションなどが必要になることがあります。
社会の先生に向いている人にはこんな特徴があります。
本格的に社会の先生を目指す前にご自身が向いているかどうかチェックしてみましょう。
学校で勉強する生徒としては、社会は暗記してテストに答えるものという印象があるかもしれません。
しかし社会はその背景にあるエピソードなどもしっかりと知り、それを生徒たちに教えていくことが大切です。
ただ暗記するだけでなく「どうしてこうなったのだろう」という知的好奇心を持っている人は社会の先生に向いている人と言えるでしょう。
社会では現在の状況と過去を比較し、その違いを分析することが必要になります。
日本史や世界史の先生でも過去を学び、現在との違いを把握する必要がありますし、政治経済ではどのように政治や経済が変わってきたのかを比較して指導する必要が出てくるのです。
そのため一つの時代にとらわれるのではなく、今と昔を比較して相違点などを見つけ出せる人は社会の先生に向いています。
社会の先生になるためには、今の社会情勢に敏感であることが求められます。
ニュースや新聞などをまめにチェックし、今日本や世界でどんなことが起きているのか、常にアップデートできる人は社会の先生に向いていると言えるでしょう。
社会の先生になると、担当する教科を教えること以外にもさまざまな業務があります。
どんな業務を行うのかも知っておきましょう。
クラスを受け持つ場合は、担任としての業務を行うことになります。
副担任になった場合は担任をサポートしながらクラス業務を行います。
朝や帰宅前に行う生活指導の時間や、一時限を丸ごと使って行う議論の場がホームルームです。
クラス担任はこのホームルームでどんなことを指導するのか、また話し合いの議題は何にするのかなどを決める必要があります。
先生が仕切って行うこともあれば、生徒に司会進行役を務めてもらうこともあります。
生徒と二人で行う進路相談や進路指導、保護者を含めて行う三者面談は担任の役割です。
学校や生徒指導部がまとめている進路データと生徒一人一人の状況を照らし合わせ、生徒の希望を聞きながら、最適な進路のアドバイスを行います。
体育祭・文化祭はもちろん、一年間で行われるさまざまな行事の準備を行うのもクラス担任の仕事です。
行事を円滑に行うための事務作業だけでなく、生徒と一緒になって制作物を作るという準備も必要になります。
教科ごとに科会が設置されているので、社会の科会に所属してリサーチをしたり準備をしたりします。
定期考査の作成・採点、各生徒の成績評価も教科担当業務です。
授業内容を深掘りしたり副教材を用意したりするのも教科担当の仕事になります。
学校施設の保全や学校運営に必要な事務、生徒の管理などが校務です。
全ての教員で校務を分担し、他の教員と連携をとって学校が円滑に運営できるように努めます。社会の先生を目指しているなら以下のポイントを押さえておきましょう。
中学校教諭免許状のみ、高等学校教諭免許状のみで先生を目指す人もいますが、どちらも取得していることを条件にしている学校や自治体が多いです。
特に現在増えている中高一貫校の場合は、どちらも取得している方を優先して採用する傾向があります。
また高校で社会の先生になる場合は「地理歴史」と「公民」で分かれていますが、どちらも取得していることが条件となっている学校や自治体が多いです
可能性を広げるためにも、すべての免許取得を目指すことをおすすめします。
大学には教育学を学ぶ教育学部がありますが、社会の先生になるためには必ずしも教育学部で学ばなければならないというわけではありません。
教職課程で必要な単位を取得することが前提ですが、歴史学や地理学などの学部でも大丈夫です。
興味のある分野を深掘りすることで、将来の授業にも役立つでしょう。
大学などを卒業するためには定められた単位を取得する必要があります。
ただ教職課程を取って教員免許取得を目指す場合、卒業で定められた単位より多くの単位を取得しなければいけません。
教職課程は1年生の時からどの程度授業を取っていくのか、きちんと計画して修了を目指しましょう。
社会の先生を目指している人が今のうちからできること・しておきたいことを解説します。
地理や歴史の先生になりたいなら国内外の遺産や史跡を実際に訪れましょう。
遺産や史跡に触れることで、実体験に基づいた説得力のある授業ができます。
特に海外などの遺産や史跡に行く時間を作ることは教員になってからでは難しいため、時間が確保できるうちに訪れて知見を深めましょう。
公民は現代社会・倫理・政治経済を指導することになりますが、それぞれの出来事の時代背景や土地が持つ背景などに興味を持ち、深掘りして知識を身につけることが重要です。
ただ暗記するだけではなく、どうしてそうなったのか、どのようにしてその考えが生まれたのかも学んでおきましょう。
社会の先生を目指しているなら模擬授業を行ってみたり、教材を作成してみたりしましょう。
先生になってからはさまざまな業務で忙しくなります。
時間のあるうちに練習して弱点や改善点を見つけておくのがおすすめです。
またボランティアや地域の活動、アルバイトなどで子どもと関わる機会を持っておけば、実際に先生になってから生徒とのコミュニケーションが上手に取れるようになります。
社会の先生は実際に教える社会科の教科だけではおさまらないことが多いです。
海外の資料を読むために英語が必要だったり、統計資料を読み解くために数学が必要だったりすることもあります。
もちろん社会に関する知識を身につけることは重要ですが、他の教科もしっかり学びながら幅広い知識を身につけていきましょう。
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