理科の先生を目指している方にとって、必要な教員免許の種類や理科の先生の仕事内容を事前に知っておくべきことは重要です。
本記事では、教員免許の種類や教員免許を取得するまでの流れについて、理科の先生に向いている人の特徴についても解説します。「理科は好きだけど先生に向いているのか不安がある」という方も、ご自身の性格と照らし合わせながら参考にしてください。
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目次
先生になるために必要な教員免許には、以下の3種類があります。
それぞれについて、詳しく解説します。
一種免許状は学士の学位を持っていることを基礎資格とした普通教員免許状です。
学士とは、大学を卒業して得られる資格のことです。
現在活躍している多くの教諭はこの第一種免許状を取得しています。
二種免許状は、短期大学士の学位を持っていることを基礎学力とした普通教員免許状です。
短期大学を卒業していればこの免許状を取得することができます。
ただし、高校の教員免許を短大で取ることはできません。
専修免許状は修士の学位を持っていることを基礎学力とした普通教員免許状です。
大学院の前期博士課程を修了すると、修士の学位を有することができます。
大学から大学院に進学して専修免許状を取得する人もいますが、現役で教諭として働いている人がキャリアアップのために取得することも多いようです。
上記で解説したのは普通教員免許状と呼ばれる教員免許です。
小学校・中学校・高等学校の教諭に加えて、特別支援学校教諭・養護教諭・栄養教諭などの区分があります。
有効期限が10年で、取得すれば全国の学校で適用される教員免許です。
それ以外に、特別免許状と臨時免許状というものがあります。
教育職員検定で合格する必要があり、高い専門知識や社会経験、職務に必要な見識なども求められる資格です。
特別免許状は普通免許状より難易度が高く、授与されるためには任命者か雇用者の推薦が必要になります。
臨時免許状は「助教諭」・「養護助教諭」として働くために必要な教員免許状です。
学校が普通免許状を持つ人物を採用できない時にのみ授与され、教育職員検定に合格ならなければなりません。
有効期限は基本的に3年ですが、学校が長期間普通教員免許状を取得した教諭を採用できない場合は最大で6年に延長が可能です。
理科の先生になるまでの流れを大学進学から解説します。
理科の先生になるためには、まず教育課程のある短大・大学・大学院のいずれかで決められた科目を修得する必要があります。
大学の進学先を決めるときは、まず教育課程が設置されているかどうかをしっかりチェックしましょう。
なお、大学の学部は、必ずしも教育学部でなければいけないわけではありません。
中学校の理科の先生を希望する場合、短大・大学・大学院のいずれかに進学することになります。
中学校の教諭には一種免許状・二種免許状・専修免許状がありますが、どの免許状を取得して教諭になったからといって、職務の内容が変わることはありません。
中学校の教諭になるためには、「教育職員免許法」で決められている教科に関する科目・教職に関する科目・教科または教職に関する科目・その他の科目で一定数以上の単位を取得する必要があります。
取得しなければならない単位数は、どの学位を取得するのかによって異なるため、必ず確認しておきましょう。
高校の理科の先生になりたい場合は、大学もしくは大学院のいずれかに進学して教員免許の取得を目指します。
ただし、高校の教諭には二種免許が存在しません。
短大に進学しても高校の理科の教員免許は取得できないので、注意してください。
なお、理科の先生になるには、必ず履修しなければならない科目があります。
進学先や学部を選ぶときは、理科の教諭になるための教科に関する科目が履修できるのかを確認しましょう。
中学教諭と同じく、「教育職員免許法」によって、教科に関する科目、教職に関する科目、教科または教職に関する科目、その他の科目で取得しなければならない単位数が定められています。
学士なのか修士なのかによっても異なるので、必要な単位数をしっかり押さえておくべきです。
普通教員免許を取得する際は、短大・大学・大学院(高校教諭の場合は大学・大学院)に進学し、「教育職員免許法」で定められた単位を取る必要があります。
※参考:教育職員免許法 | e-Gov法令検索教育学部以外の学部、あるいは教育学部の教員養成課程以外で学ぶ場合は、卒業に必要な単位とは別に、教職課程を履修して単位を取らなければなりません。
必要となる単位数は通常よりも増えるため、計画的に単位を取得しておきましょう。
教員免許は短大・大学・大学院を卒業した後、各都道府県の教育委員会に申請することで授与されます。
中高一貫校の場合や、一部の都道府県では中学校・高等学校の二つの免許を持っていることが出願資格の場合もあるため、どちらも取得しておくことをおすすめします。
希望する自治体の教育委員会などで募集要項を入手して、教員採用試験に出願します。
教員採用試験は都道府県や政令指定都市の都市が設置している公立学校教諭になるための試験です。
教員採用試験に合格すると、試験結果の上位者から「教員採用候補者名簿」に登録され、上位から順番に採用内定が出ます。
自治体によっては年齢制限に上限があることもあるので確認が必要です。
また、欠格事項に当てはまると教員になることはできません。
近年は、社会人特別選考もあります。
社会人経験がある人のための選考で、筆記試験が一部免除されたり、プレゼンテーションが実施されたりすることがあるようです。
理科の先生に向いている人の特徴を解説します。
ご自身の適性を見極めるヒントにしてください。
理科は教科によって暗記型のものや応用型のものがありますが、どの教科でもまず正確な情報をアウトプットできなければいけません。
したがって、正確な情報をインプットする能力も必要です。
理科の授業では特定の内容に関して深掘りした調査を行ったり、研究を行ったりする必要があります。
こうした探究心は、学生のうちだけでなく、先生になってからも必要です。
調査や研究の思考を持っており、楽しみを見出せることが、理科の先生に向いている人に欠かせない条件といえるでしょう。
先生は多くの人と接する仕事です。
生徒と積極的に関わりをもったり、生徒の話をきちんと聞くことができたりというコミュニケーション能力は理科の先生に限らず、先生にとって必要な能力です。
理科の先生に限らず、普段から周囲の人に平等に接することができる人は先生に向いています。
生徒のなかには手のかかる子どももいるかもしれませんが、先生はどんなときでも、すべての生徒と平等に接することを求められます。
理科の先生になった場合、理科の教科に関わる業務以外もおこなう必要があります。
どんな業務があるのか知っておきましょう。
学級を受け持つクラス担任になった場合は、クラス担任業務を行います。
副担任の場合も類似した業務を行う必要があります。
ホームルームとは一日の始まりや終わりに行う生活指導や話し合いの場です。
クラス担任になると、ホームルームを運営することになります。
当番制にして生徒に仕切らせることも多いようですが、内容などは教員が決めなければいけません。
授業と同様、生徒たちと信頼関係を築く大切な時間です。
進路相談や進路指導はクラス担任にとって大切な業務です。
生徒と二人で行うこともありますが、保護者を交えた三者面談を行うこともあります。
進路に関するデータを集めている進路指導部と連携をとりながら、生徒の希望・学力などに応じて適切な指導を行うことが大切です。
学校ではさまざまな学校行事があります。
クラスごとに行事に参加するケースが多いため、担任はそれを取りまとめる役割を行わなければなりません。
事務的な作業をするのはもちろん、モチベーションを高めたり、生徒と一緒になって必要な準備をしたりします。
学校では教科ごとに科会と呼ばれるものがあり、理科の科会に所属して授業内容の質を高めたり、準備を行ったりします。
毎回の授業ごとに生徒が教科内容をしっかり理解できるような流れを考え、プリントや副教材を用意することもあるでしょう。
また、中間テスト・期末テストの作成や採点も行い、成績を評価するのも仕事です。
生徒の管理や教室・学校施設の保全管理、学校教育や行事に関する事務などが校務業務です。
他の先生と分担して、校務業務を行います。
理科の先生になりたい人は、ぜひ以下のポイントを押さえておきましょう。
理科の先生になるためには、大学の学科が大きく関係します。
とくに高校の先生は、物理・化学・生物・地学と教科が分かれるため、専門分野の知識が必要です。<
教育学部から先生を目指すのも一つの方法ですが、専門分野の学科ではなかった場合、どの分野が得意か確認されます。
ぜひ、自分の専門教科を作っておきましょう。
小中学校の理科の先生になる場合、介護課程以外で教育実習の他に7日間の介護実習が義務づけられています。
内容は介護施設での実習が5日間、特別支援学校での実習が2日間です。
排泄や入浴介助を行う実習ではありませんが、さまざまな生徒に対応するために必要な実習です。
幅広い対応力を身につけるためにも、真剣に臨みましょう。
ここでは、理科の先生になりたいと考えている人が今のうちからできること、しておきたいことについて解説します。
先生になったら、授業や教材を作成するのが毎日の日課となります。
採用が決まってからも模擬授業や教材作成をする時間はありますが、担当教科以外の業務もあるため、今のうちから行って慣れておいた方が安心です。
先生になるということへのモチベーションにもつながるので、ぜひ模擬授業や教材作成をしてみましょう。
大学でも学科によっては頻繁に実験や研究を行って論文を作成しますが、そうでないのであれば自主的に実験や研究をする経験をしておきましょう。
とくに理科は、授業で実験を行う機会の多い教科です。
先生自身が多くの実験を行っておけば、豊富な経験を授業に活かすことができるでしょう。
教員免許を取得するためには必要な単位数を取得しなければなりません。
教育学部でない人は通常の単位に比べて教育課程での単位を取得する必要があるため、学習にとられる時間も多いです。
単位を取得して卒業しないことには先生になることはできませんから、普段からしっかり単位を取得して教員免許が取得できるよう勉強しておきましょう。
アルバイトやボランティアを通して子どもと接する機会を作っておけば、先生になってから必ず役に立ちます。
目指したい先生が指導する生徒と同じくらいの年頃の子どもと接する機会を作り、コミュニケーション能力を鍛えましょう。
理科の先生になりたいと考えている人は、理科のなかでも特定の分野に興味を持っている人が多いはずです。
まずは、自分の得意な分野を大学などで学び、伸ばすことをおすすめします。
積み重ねた経験を活かして、理科の先生を目指しましょう。
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